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#108 強いVC:フォロー投資家 vs リードインベスター

先週末はサンフランシスコの隣にあるイーストベイにある友人宅にお邪魔をしました。イーストベイはサンフランシスコからベイブリッジを渡ったところで、バークレー市やオークランド市があるところです。名門のバークレー校もそこにありますし、初めて野球で初めてデータを取り入れて大成功を収めたOakland Athleticsのホームでもあります。私の大好きな映画の一つであるマネーボールという映画でも描かれましたね。次回サンフランシスコにいらっしゃることがある方々は是非イーストベイも寄ってみるのをお勧めします!

友人宅からの写真。遠くにサンフランシスコのダウンタウンが見えます。

VCは「フォロー投資家」と「リードインベスター」という2種類に分けることができます。国によって定義が違うかも知れないですが、米国ではリードインベスターというと、バリュエーションなどの様々な条件を決めてディールのオファー出すVCを意味します。スタートアップがその条件に同意し、そのVCと一緒に仕事をすることを決めたら、そのVCがディールのリードインベスターになります。フォロー投資家とは、リードインベスターによって条件が定まった後に、そのディールに参加する投資家のことを指します。フォロワーともいいます。

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一般的には、フォロー投資家より、リードインベスターになることが難易度が高いです。バリュエーションを決め、スタートアップと条件を詰めて交渉し、最終的にディールをクロージングすることは、簡単なことではありません。多くの経験と様々なスキルが必要です。さらに、必ずしもではありませんが、普通はリードインベスターはラウンドで最も大きな投資額を出すため、小規模なファンドの場合、適切な経験とスキルがあったとしても、そもそもリードインベスターなれない場合もあります。

また、リードインベスターは、最初にスタートアップに対するコンビクション(信念)を構築する人たちでもあります。投資機会をソーシングし、きちんとデューデリジェンスをして、優良スタートアップかどうかを判断していきます。他の投資家が誰かをみて投資を決めるのではなくて、白紙の状態からそのスタートアップの可能性を信じて投資を決めるのです。

ただ、リードインベスターはボードメンバーとして参画する場合も多く、投資前だけでなく、投資後も多くの時間と労力をかける必要が出てきます。ですので、リードインベスターとして成功するためには、目利きだけではなく、時間とリソースに対する適切なROIのバランスを見つける能力が必要です。多くがリードインベスターを目指しますが、みんながうまくいくわけではありません。

とはいえ、フォロー投資家が魅力的でないことを意味するものではありません。違う戦略やスキルセットが必要です。例えば、シリコンバレーのトップクラスのVCたち全員と仲良くしているVCがいたとして、何らかの理由で皆がそのVCとディールを共有するのであれば、フォロー投資家としても成功できます。「ユニコーン」という言葉を作り、著名VCであるクライナー・パーキンスで働いていたアイリーン・リーが率いるカウボーイ・ベンチャーズは、フォロー投資家としての成功事例の一つです。

しかし、最近のFTXの破綻のような出来事を見ると、フォロー投資家の戦略がいかに危険なものかが浮かび上がりました。リードインベスターのデューデリジェンスが十分でない場合、あるいは間違っている場合、それらのフォロー投資家は真正面に影響を受けることになります。さらに悪いことに、リードインベスターがデューデリジェンスに失敗した場合、しっかりと振り返りをすることで、同じミスを犯さないようにデューデリジェンス能力を向上させることができます。しかし、フォロー投資家の立場では、改善できる余地があまりないのです。

しかも、以前書いたこちらの記事「#88 ベンチャー業界でコモディティ化する「関係性」」でも触れたように、VCコミュニティにおける関係のあり方は変わってきています。単純な仲良しクラブから、より合理的になってきているのです。従って、フォロー投資家は、自分たちが提供できるものがあることを証明し続けられなければ、その戦略を引き続き成功させることはますます難しくなっていくはずです。

それぞれの戦略が持つチャレンジは異なります。しかし、たとえフォロー投資家だとしてもリードインベスターとしての能力を持つことは、VCとして長期的に成功するために重要です。リード・インベスターは市場の状況に応じて臨機応変にフォロー投資家にもなれますが、その逆はなかなか難しいです。

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