見出し画像

自分に似ているアバターを作るには?最近のアバタークリエイションサービスを体験してみました

皆さんこんにちは。VRC note編集長の八重樫です。

最近メタバースにも注目が集まってきており、アバターという言葉も浸透し始めたのでは?と思っています。
実は皆さんの身近なサービスでも簡単にアバターが作れることをご存じですか?「アバター」と一括りにいうのをためらうくらい、最近はいろいろなアバターを作れるサービスがあります。
今回は、いろいろなサービスで自分のアバターを作ってみて、画像などを比べながらアバターって結局なんなのか?について考えてみたいと思います。

<そもそもアバターとは?>
アバター(英: avatar)とは、ゲームやネットの中で登場する自分自身の「分身」を表すキャラクターの名称。ユーザーは、画面上の仮想空間で、自分が設定した(または指定された)キャラクターの外観を選んで、意思表示や行動を行うことができる。現実世界と同じように、仮想空間で出会う人にアバターが物を渡したり会話をしたりといったことが行える。
【アバターの語源】
文学や宗教、哲学などで用いられたサンスクリット語の「avataara」が語源。英語化したものが「avatar(アバター)」で、「化身」という意味を持つ。

Weblio辞書(実用日本語表現辞典)より

■いろいろなサービスでアバターを作ってみた

アバターを作る上でイメージとして揃えたのは
・人型
・女性
・黒髪ロング
・メガネ
・ちょっとつり目
という点です。作り方としては、それぞれ自分で「似ているかな?」というパーツを選んで作ってみました。
※今回はある程度リアルさを出したかったので、ケモミミとかモノとかは含んでいません。
※客観的に似ているパーツを選んだつもりですが、できあがりが若干美化も入ってるのはご了承くださいw

そして、これができたアバターたちです!

これらはどれも八重樫アバターです!

こうやって並べてみるとおもしろい!!
それぞれのサービスによってテイストが違いますが、それぞれにどこか八重樫らしさがあるでしょうか…?

実写と比べるとあまり似てない?

では、それぞれどのサービスを使って作ったのかご紹介しながら比較してみたいと思います。

■ゲームで使うアバター

・Nintendo Mii

Miiは有名なのではと思うのですが、今はWebで作ることもできるのはご存じでしょうか?
Nintendoアカウントと連携させて自分のMiiを作ることが可能です。作り方としては、用意されているパーツを選んで、位置や大きさ、色などを調整して配置することでオリジナルのものが作れます。
SwitchではMiiが主人公のRPGなどもでているので、自分や家族など知っている人のMiiを作って遊んだ経験のある方もいるのでは。
二頭身のデフォルメされた形式ですが、なんとなく可愛らしいなと思います。

・あつまれどうぶつの森

私が過去にプレイしていた時の写真です

あつまれどうぶつの森も、コロナ禍で一大ブームになりましたし、メタバースというワードが話題になる前からアバターを作って、みんなで集まって交流するという遊び方がされていました。アバターの作り方としては、Miiと同じで用意されたパーツを選んでカラーを選んでいくというやり方です。こちらも二頭身で可愛らしいですよね。髪型や服装などのアイテムはゲーム内のショップで売られているものもあれば、マイデザインという機能で自分で作成することもできます。有名なアパレルブランドが実際にある服のマイデザインを配布して話題などにもなりました。

【ゲームのアバター:まとめ】

ゲームで使用するアバターは、ゲームによって2D、3Dの違いはありますが、基本的にはパーツが決まっていてその大きさや位置調整をすることでカスタマイズできる、という仕様が多いと思います。
Miiのようにデフォルメされたものもあれば、3DCGでリアルなキャラクターを作れるものまで、ゲームの世界観によってさまざまあります。
Fortnightでは、スキンと呼ばれる体型から外見まで含めたコスチュームが販売されており、高額課金するユーザーもいるそうです。あつ森や後述するZEPETOもそうですが、最近はこういったゲームやSNSプラットフォームにアパレルブランドなどが進出してコラボする事例は増えてきていると感じます。

■SNS系サービスのアバター

・Meta(Facebook・Instagram)

MetaのアバターはFacebookアプリから作ることができます。3D表示で、こちらもパーツを選ぶのですが、少しリアルに近いけどデフォルメされているので怖さはあまり感じないです。服装はいろいろありますが、アメリカ仕様なのか派手なものが多い印象は受けました。
個人的な感想としては、立ち絵だと似ている気がしたのですがポーズをつけたらなんだか別人だなと思いました。似せて作るのは難しいですね…

・LINE

LINEにもアバター作成機能があります。LINEアプリのプロフィール画面から作ることができます。2Dっぽいけど3D表示です。パーツを選んでいくのですが、デフォルメされているので、なんとなく雰囲気を寄せる、という感じかなと思いました。服装や背景もいろいろ用意されています。

・Snapchat

Snapchatのアバターは作る時は2Dですが、プロフィールで表示されるときは3Dっぽい感じでした。これもデフォルメ調なのですが、なんとなく怖い感じがします。服装はインナー、アウターなど結構細かく選択できました。ナイキやリーバイスなど有名ブランドとコラボしている衣装があったのも一つの特徴かもしれません。

・ZEPETO

ZEPETOは3Dアバターを利用したソーシャルアプリで、若い女性の間で人気があります。今回初めてインストールして触ってみたのですが、アバターを使ったインスタグラムという感じで、新しいなと感心してしまいました。アバターの髪型、衣装、パーツなどはさまざま用意されており、一部は課金しないと使えない仕様になっています。ZEPETOでもアパレルブランドなどのコラボがたくさん展開されており、アバターアイテムだけでなく、独自のワールドを公開している企業も多いです。(グッチ、ブルガリなど)オリジナルのワールドで、ブランドのアイテムを身につけたアバターで写真を撮って、UPしてもらい拡散を狙う、という手法が最近のトレンドのような気がします。

アバターは可愛らしいので、女子ウケはとてもいい気がしました。この世界観では、なりたい自分になって、可愛くオシャレで映える投稿をする、というのがステータスな気がします。ワールド機能もあり、交流などもでき簡単なのですが、最新のスマホでないと処理速度や画面の大きさなどでストレスを感じるなと思いました。(私のスマホは古いので、ワールドに入ったら固まってしまいました笑)

・REARITY

REARITYは3Dアバターでライブ配信できるアプリです。アバター作成自体は簡単で、パーツを選んでいくとリアルタイムに反映され、髪の揺れなどの動きも確認ができます。(配信するときはフェイストラッキングで動きなどが反映されます)
衣装などのパーツは、アプリ内のガチャで手に入れることもできますが配信してポイントを稼いだり、課金などが必要です。ガチャの種類も多くイベントも頻繁に行われています。ちなみにソーシャルVRのClusterとも連携しているので、同じアバターを使うことも可能です。

【SNS系アバター:まとめ】

SNS系のアバターも、基本は用意されたパーツを選んで作る形式で、大きさや位置などの調整をすることでカスタマイズしていきます。SNSでのシェアを想定して、アバターにポーズをつけて撮影ができたり、表情をつけたりできるようになっているのが特徴です。できたアバターを使ってSNSのアイコンとして設定したり、スタンプなどにすることもできます。
ZEPETOやLINEでは、友達のアバターを呼び出して一緒にポーズをつけて撮影するという機能もありました。どのくらいこういうのが流行っているのかはわからないのですが、一人で何かポーズをつけて撮影するよりも、複数でやったほうがおもしろいし、絵的にもいいなと思いました。

エモいポーズで撮影するのはおもしろい

MetaやLINEではリアル友達とつながっているので、実際の自分に似ていた方が視認性もいいし、盛り上がるのではと思いましたが、ZEPETOやREARITYのような世界観では、なりたい自分になって楽しむ、という方が強い気がしました。

先ほども書きましたが、SNS系は日常的に使うので、新しいマーケティング手法としてブランドコラボは進んできていると思います。Metaもアバターの衣装でプラダやバレンシアガとコラボしていますし、ZEPETOもSnapchatでも複数のブランドがコラボをしています。デジタルファッションを使うことで、リアルな服の購買に繋がるのか?は気になるところですが、少なくともファン獲得には効果がありそうです。

SNS系のアバターでは季節ごと、イベントごとなどで見た目を変えたり衣装を変えたりという使い方がされているので、ユーザーがアバターを着飾りたいという欲は高まりやすいでしょう。そこにマッチするように新アイテムを発表することで課金などをしてもらうチャンスも増えると思います。ZEPETOでは初期からコインが付与されているのでアイテムを購入するハードルを下げる設計になっているなと感じました。やりこめばやりこむほど、デフォルトのアイテムでは我慢できなくなり課金する流れになっていくのだと感じました。(周囲と差別化したい、友達が使っている有料アイテムを自分も使いたいなど)

■アバタークリエイトサービス

仮想空間で使うのを想定して、アバターを作ることに特化したサービスもいろいろでています。今回は3つご紹介したいと思います。

・MakeAvatar

MakeAvatarはスマホアプリで簡単に3Dアバターが作れるサービスです。用意されているパーツを選んで作ります。複数のプラットフォームとID連携でアバターをアップロードして使うことができます。アニメ調のアバターや二頭身のデフォルメアバターなど複数種類のアバターを作ることができます。
昨年の冬には、サンリオのバーチャルフェスとコラボして、サンリオキャラクターの服などを模したアイテムを販売して話題になりました。

・ReadyPlayerMe

ReadyPlayerMeは写真を登録してその画像からAIが近いパーツを選んで3Dアバターを作ってくれるサービスで、Webサイトで作ることができます。衣装などもいろいろ用意されていて、ブランドコラボの衣装だったり、民族衣装だったり、ゲームの戦士風のものだったり様々でした。出来上がったアバターには表情をつけたり、ポーズをつけたりしてSNSに画像シェアもできるようになっています。現在、3500以上のプラットフォームと連携しているそうで、サービス提供者であるWolf3Dは先日大型の資金調達もしていました。

・VRoidStudio

VRoidStudioはパソコンアプリで3Dアバターを作れるサービスです。用意されているパーツを選んで、配置や大きさなどを細かく調整していくことができます。出来上がったアバターはVRM形式で保存でき、VRoidHUBというプラットフォームに登録することで、連携しているサービスにアバターを呼び出して使うことができます。
試しにVRoidモバイルというアバターを使った撮影アプリに呼び出して撮影してみました。

撮影場所の3D空間を選んで、ポーズをつけて写真が撮れます

動画配信や、VRChatなどのソーシャルVRなどでVRoidStudioで作ったアバターを利用している人も少しずつ増えてきている気がします。

【アバタークリエイトサービス:まとめ】

仮想空間を横断して、同じアバターを使いたい!というニーズに応えることができるアバタークリエイトサービスも増えてきている印象です。今回ご紹介はしていませんが、ソーシャルVRのClusterでもオリジナルアバターを作る機能を昨年リリースしています。

まだアバターを自前で作るよりもBOOTHなどのショップで購入する人も多いですが、アイテム課金と同じでオリジナリティを追求したくなってくると、アバター改変だけでなくこういったアバタークリエイトサービスで自分のオリジナルのアバターを作るのかなと思います。複数のプラットフォームを同じアバターで横断して使えるというのはプラットフォームごとにアバターを用意する必要もないですし、自分らしさを簡単に表現できるので魅力的だなと思います。

〜過去に八重樫がVRChat用に自分のアバターを作った記事〜

■最新の論文ではどうなっているのか?

最近の研究論文では、3Dアバターに関してどんな発表があったのか?についても簡単に触れたいと思います。

今年の6月にはMetaがスマホで撮影した動画から簡単に3Dアバターを作る技術を開発中であることを発表しました。GIZMODOの記事によれば「ユーザー側の操作は、スマホで顔を撮りながら指定される65種類の表情を作ったり、指定される方向に視線を向けたりするだけです。研究チームいわく、このプロセスは3分半ほどで完了します。」ということです。

今年の7月には、シンガポールのNanyang Technological University、中国のSenseTime Research、中国のShanghai AI Laboratoryによる研究チームが、テキスト入力だけで3Dアバターを作り出す技術を発表しています。技術がなくても単語からAIが推察して3Dアバターを作ってくれます。

またVRCでも大学とのコラボをし、1台のカメラの映像から3Dアバターを生成する技術について6月に行われたCVPR2022に論文を提出しました。

このように、技術がなくても簡単に画像から3Dアバターを作り出す技術は日々進歩しています。AIの進歩も著しいので、こういった最新研究がサービス化していく日も近いのではないかと思います。

VRCの重視しているのは一瞬で正確な情報を取得できるところであり、今まで紹介したようなデフォルメ調のものとは異なり、自分自身のサイズや見た目など実際のリアルな情報を取得して3Dアバター化することにこだわっています。
それは大元のデータを使って、アバターや身体情報をTPOに応じて使い分けることを想定しているからであり、ユースケースとしても採寸やヘルスケア、バーチャル試着など実生活にリンクするような使い方を想定している部分が強いからです。

もちろん、エンタメでの利用も想定しデフォルメ機能もニーズが高いので開発予定ではありますが、自分自身のアイデンティティをどうやって残していくか?という点は重視しており、そこを技術的にどう乗り越えるか?が課題であると感じています。つまり「人間の特徴をどのように自由変形できる3Dアバターとして追求していくか」がVRCの研究開発のポイントであり、そこは今後もブレずに追求していきたいと考えています。

■アバターは自分の分身であるという認識はどう生まれる?

今回、いろいろなサービスを利用してアバターを作ってみました。基本的にはたくさんのパーツから好きなものを選んで作っていく、という仕様に変わりはなく、パーツの数が多い+配置・サイズなどを自由に変更できるという点でオリジナリティを作っていく、という形式でした。

今回はリアルの自分に似せることを意識してアバターを作ってみましたが、出来上がったものは私らしさが感じられるものもあれば、似ていないものもあり、パーツから自分に似せて作ることの難しさを感じました。

しかし、そもそも自分に似せてアバターを作る必要はあるのか?という疑問もあります。REARITYやZEPETOのユーザーたちは、なりたい自分、理想の自分にアバターを通してなっているのでは、ということも強く感じました。

また、アバターの種類にはいろいろあるので、モノ(バナナとか)であったり、ケモノ(猫耳がついていたり尻尾があったり)というものまで、人型でないアバターも世の中にはたくさんあります。そういう自分に似ていなかったり、全く違う姿のアバターには自分であるという認識は生まれるのでしょうか?

答えとして私が思うのは、自分だと認識できる、ということです。
個人的にはSNSのアイコンと同じで、自分の中で「これは私だ」と認識が出来上がり、コミュニティのなかでも「これは〇〇さんだ」という認識になれば、アバターの容姿は関係ないと思います。そういう意味でも、本当に自由度が高い世界ですよね。

ただ、有名人などリアルで顔を売っている人、コミュニティの中で顔が知られている人は、モノを使うよりはその人に似せた(どこかに特徴を残している)アバターの方が認知理解が進むのでよいのではないか、と思います。(実際、社長さんや知事、芸能人がリアルアバターを作って活動しているニュースは最近増えてきています)

リアルアバターを自分のアバターとして使うことはまだ日本では抵抗感も強いです。しかし、ビジネスの場面やバーチャル試着など特定の場面ではリアルアバターであることの良さがあるとVRCでは考えています。今後、一人ひとりが複数アバターを持ち使い分けることが普通になって、アバターを作る・撮影するということも手軽にできる環境が増えてくれば、デフォルメアバターとリアルなアバターを使い分けていけると思っています。その環境を作るために私たちが貢献できるよう、今後もサービス開発などを進めていきたいと思います。

★VRCでは一緒に新しい未来を創ってくれるメンバーを募集中です!
詳しくはこちらのサイトからご連絡ください★


この記事が参加している募集