旅の終わりにお財布を落っことした話
私のはずかしいドジ話です。
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バスのドアを半ばこじ開けぎみに降車し、シャルル・ド・ゴール空港の出発カウンターに向かって猛ダッシュした。
飛行機の最終チェックイン時刻が30分も過ぎている
息を切らし、やっとの思いでカウンターに着いたところで気づいた。ポシェットに入ってるはずのお財布がない。どう考えてもない。バスの中では確実にあったのに。
どうやらバスを降りてから空港カウンターまでの間でお財布を落としたらしい。
バスを降りる時にパスポートだけをしっかり握りしめ、マラソン選手がバトンを渡すかのごとくカウンターに着いたらすぐに出せる準備をしていた。
だけどポシェットのファスナーを締め忘れたまま、勢いよく走ったことが原因のようだった。
無駄に上下に揺れるポシェットから外に放り出されたお財布。
ありがたや日本人スタッフ
薄暗く静まりかえったカウンターは締める寸前。滑り込むようにパスポートを手渡すと、二人いたスタッフのうち一人は日本人男性スタッフだった。希望の光が見えた瞬間だった。
わたしが間髪入れず間に合うかどうか尋ねると、丁寧に答えてくれた。
「もうあと2.3分程度でほんとうに締めきっちゃうので私から連絡しておくので、このまま急いで搭乗口まで行ってください」
やったぁぁーー!間に合ったぞー!
「飛行機に無事に乗れる」ということが確定した瞬間、焦りすぎていたあまり、見送りに来ていた娘がいないことに気がついた。
飛行機に乗り遅れた人のこわーい話
どうして、ここまで死に物狂いでわき目もふらず猛ダッシュしてたかというと、夕日が沈むバスの中で娘とこんな会話をしていたからだった。
ー娘 まだまだ時間があったはずなのに〇〇ちゃんなんて、カウンターでNOと言われ、当日チケット買わされたんだよ。チケット30万円だって!
ー私 えーーー! なんで? 30万円も払ったの?
ー娘 そう、もちろんカードだけど、〇〇君が来た時はね、時間に余裕があったのに気づかず違う航空会社の列に並んじゃってて、結局タイムアウトでチケット買わされたんだよ。
ー私 そんな前例が2人もいるって・・・どうしてダメだったの?こわーい!どうしよう30万円も無理だよーぜったい無理!
というわけで、バスの中で私のアタマの中は30万円でいっぱいだった。
飛行機に乗り遅れるわけにいかない。
***
パリにいる娘の元を訪ねてちょこちょこ東京から友達が遊びにいく。
空港まで見送ったときのおそろしい話を2話もきいて私はパニックに陥っていた。
どう考えても30万円も払いたくない。
私の場合、たまたま日本人が対応してくれたからラッキーだったんだと思う。現地スタッフだと(なんとかしてやってあげよう!)という気も融通もへんなところ利かないという場合が多いらしい。
だからとりあえず私はラッキーだった。
ごめん、娘
娘はどうやら落としたお財布を空港スタッフに連絡したり、歩いて来た道を捜し歩いてくれていたようだった。
2か月以上もの間、いっしょに旅したり寝食を共にし、お世話になった娘に電話で事情を説明した。最後の最後にお別れのあいさつもできないままのお別れはごめんねだけど、搭乗口に向かった。
搭乗口に到着して電話で思い出話や、せっかく無事に帰れるのに油断しすぎだとお説教もされた。
滞在中、娘にあれだけ口をすっぱくしてスリに注意するよう言われていたのに、最後の最後に自爆してるようだからほんと世話がやけると反省。
そして機内に乗り込みパリを後にしたのだった。
やっぱりカードっていいのかもしれない
ところで落としたお財布には現金がほんのわずかとデポジットカードも残高わずかだったから金額的な損失はほぼなかった。
ただ「落とした」という自分のダメダメっぷりと、小型で気に入ってたロンシャンのお財布がなくなったことがショックだった。
羽田に到着するなり銀行に問い合わせして事情を説明した。
「〇時〇分ごろにカードから3回パスワードを試みた形跡がありますね」
私が落とした時間を考えると、カードを拾ってすぐにATMにいきトライしたようだ。
拾った人、行動が早い
現金は30€くらい残っていて、空港でお茶しようと思っていたお金。そんなゆっくり娘と語る時間もなく、あっけなお別れとなってしまったのが心残りだった。
時間はゆとりをもつという教訓
シャルルドゴール空港までは、空港行きのバス停があるオペラ地区から乗った。この時点でもしかしてギリギリかな~という不安はあったものの、さらに夕方の帰宅ラッシュも重なって、パリ市内の渋滞ぶりといったら最悪だった。
焦る焦る
ラッシュ時の時間予想を見誤ると大変なことになる。
***
何か月後かに、私の友達が娘の元を訪ねた。娘からこの話をさんざん聞かされた友達は、用心に用心を重ねすぎて空港になんと5時間前に到着したそう。
むずかしい・・( ;∀;)
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