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オンラインメディア信頼度調査 2024


I. オンライン “マス” メディア信頼度調査 2024

VOSTOK NINEで定期的に行っている「オンラインマスメディア信頼度調査 2024」の結果をご報告させて頂きます。
(2023年の結果はコチラからご確認下さい。)

私達はメディア投資戦略を考える上で単にリーチが取れる広告面を選ぶだけでなく「消費者がどういった気持ちの中で広告に接触するか」という点をとても重視しています。 消費者が広告に接触する時の気持ちを可能な限り深堀りしていく作業は、広告主が伝えたいメッセージを誤解や違和感なく消費者に届ける為に重要なステップだと考えています。
単に信頼性の高いメディアに広告を出せば期待した結果が得られる、という単純な話ではありませんが少なくとも「信頼性」は”広告主の多くが期待する結果に繋がる要素の一つ”ではあると仮説を立てています。 今回は簡単ではありますが昨年の調査結果との比較も行っています。その変化をどう解釈しメディア戦略に活かすかはメディアプランナー次第ではありますし私達もこれから社内で議論を進めていきます。私達の議論の結果は追々このnoteで書いていきたいと思いますが、まずは今回の結果をご覧頂き、メディア戦略立案の一助にして頂けると嬉しく思います。

「オンラインメディアで提供される情報への信頼性に関するアンケート」調査概要
●質問内容 : 下記のオンラインメディアで提供される情報をどの程度信頼しているか教えて下さい。
●調査対象メディア : YouTube / LINE NEWS / Instagram / Facebook / X(Twitter) / Cookpad / 食べログ / クラシル / TikTok / SmartNews / Pixiv / ぐるなび / Spotify / DELISH KITCHEN / radiko / アメーバブログ / ニコニコ動画 / Pinterest / Netflix / TVer / Sportsnavi / 日本経済新聞 電子版 / ABEMA(TV) / 朝日新聞デジタル / Yahoo!ファイナンス / ホットペッパーグルメ / 文春オンライン / 読売新聞オンライン / DAZN / 楽天レシピ / 東洋経済オンライン / Retty / Gunosy / Itmedia / Google discover / Yahoo!ニュース / Newspicks / LinkedIn / 楽天ブログ / CNET Japan / ライブドアブログ / ハフポスト / 毎日新聞 / ロケットニュース24 / ねとらぼ / 産経ニュース / GIZMODE(ギズモード) / ママスタ / キナリノ / TRILL(トリル)
●回答項目(SA) : 非常に信頼できる / ある程度信頼できる / 半々くらい / あまり信頼できない / 全く信用できない / この情報源を使わない
●有効回答者数 : n = 3,317
●エリア : 全国
●調査日 : 2024年06月07日 ~ 2024年06月11日
●調査手法 : オンライン調査
●調査機関 : Freeasy

調査対象メディア選定について

  • 単一メディアで概ね全年代に対してリーチが2〜3%以上は獲得出来るであろうオンラインメディア」かつ「(一般的な手法で)広告出稿が可能」なオンラインメディアを50メディア選定し調査しています。

  • Google及びYahoo! Japan関連のポータルメディアについてはGoogle discoverやYahoo!ニュースに代表されるように”ネットへの一般的な入口となる検索行動より更に前に接触可能なメディア”であり情報閲覧に対し能動性・受動性が混在している為、他メディアとやや性質が異なると考え調査対象外としています。

  • @コスメや価格.comといった比較サイトのについては利用者属性(性別・関心)の偏りが大きい為、調査対象外としています。

  • 消費者のメディア接触状況の変化を踏まえ調査対象媒体は都度見直しを行っています。その為、昨年比較においては比較対象が「全く同一のメディア群では無い」事にご留意下さい。

調査結果の集計条件

  • 「調査対象メディア利用者」に絞り込んだ集計結果を掲載しています。

  • 調査対象者は15歳〜64歳となりますので10歳代と表記があるものは15歳〜19歳、60歳代は60歳〜64歳の結果となります。

  • グラフ中に「2023」と表記があるものは比較対象として2023年の結果を入れております。特に表記が無いものは全て今回2024年の結果となります。

データの解釈について

ほぼ全てのメディアが「自社がターゲットとするこだわりの読者層」に向けて情報を発信しています。今回公表しているデータは「各メディアを利用した事がある15歳〜64歳全体の平均値」となりますので、特徴的でユニークな情報を特定のターゲットに対して発信しているメディア程、調査データの信頼性が低い(例 : 信頼度が低く出てしまう可能性等)傾向となります。(偶然そのメディアの情報に接触しても興味が無い人からすれば信頼出来るか出来ないかの判断すら困難な為)その為、単にこのデータのみで ”◯◯は信頼性の少ないメディアなのだ” という判断は「完全な誤り」となりますのでくれぐれもご留意下さい。

各メディア利用者の中で、”非常に信頼できる or ある程度信頼できる”と答えた方を「信頼出来る」、”あまり信頼できない or 全く信用できない”と答えた方を「信頼出来ない」とし、各割合をグラフ化しました。

II. 調査結果 - 調査対象メディア利用者全体(2023年との比較) -

調査対象メディア全体の平均を見ると「信頼出来る+半々くらい」を合わせると74.6%(2023年 : 79.1%)、「信頼出来ない」が25.5%(2023年 : 20.9%)となっており、大多数の利用者がデジタル媒体に対して一定の信頼を持って利用していますが、昨年から比較すると信頼度がやや低下する結果となりました。

(2024年 : n = 3,317 / 2023年 : n = 3,512)

III. 調査結果 - 性別・年代別 -

オンラインメディアへの信頼性において年代差は少ないという結果となりました。各年代別に性別による傾向の違いが出ており、20代においては女性の方が、40代においては男性の方がデジタルメディアが発信する情報を信頼している事が分かります。

(2024年 : n = 3,317 / 2023年 : n = 3,512)

IV. 調査結果 - 年代別(2023年との比較) -

30代を除きデジタルメディアへの信頼度は低下傾向となっています。特に10代における信頼度が大きく低下している結果となりました。

(2024年 : n = 3,317 / 2023年 : n = 3,512)

V. 調査結果 - メディアカテゴリー別比較(2023年との比較) -

カテゴリー別に見ると「動画・音楽」「SNS」「レシピサイト」の信頼度が大きく下がっています。SNSやレシピサイトといったUGM(User Gerenarated Media)は生活者の生の声や経験が反映される為一定の信頼を得やすい反面、コンテンツのクオリティが玉石混交となりクオリティコントロールが非常に難しいメディアです。今回は信頼度が下がる結果となっていますが各社共にコンテンツ品質を向上させる為の取り組みを続けていますので、来年以降の結果を見守りたいと思います。 デジタルメディア全体で信頼度が低下傾向である中、「新聞・雑誌系サイト」への信頼度に変化は無く、これは各社が提供する高品質なコンテンツ群が信頼性に繋がっている可能性があります。

(2024年 : n = 3,317 / 2023年 : n = 3,512)

VI. 調査結果 - メディア別信頼度(カテゴリー毎/2023年との比較) -

■動画・音楽メディア
昨年から傾向は変わらずTVer及びRadikoといった民放系メディアへの信頼性が高い傾向にあります。これらのメディア利用者の半数以上が「信頼出来る」と答えています。昨年同様、NetflixとSpotifyがそれに続く結果となっています。

■SNS
昨年はInstagramへの信頼性が頭一つ抜けている状態でしたが、各SNSへの信頼性はほぼ横並びの結果となりました。相対的にX(Twitter)への信頼度が下がっており、FacebookがX(Twitter)を上回る結果となりました。 SNSについてはメディアの特性上、年代によって大きく利用傾向が異なる為、後半で性年代別に少し深掘りさせて頂きます。

■ニュース(キュレーション)メディア
昨年と傾向は変わらずニュース(キュレーション)カテゴリではSmartNews及びLINE NEWSへの信頼性が高い結果となっています。全体的に信頼性が低下する中、「Itmedia」「Gunnosy」への信頼度は昨年に比べ高まっている結果となりました。

■新聞・雑誌系サイト
カテゴリー全体が高い信頼性を獲得しており、昨年からの変化も少ない結果となりました。日本経済新聞 電子版が頭一つ抜け出る形となっています。

■レシピサイト
昨年と同様にCookpadが最も信頼を獲得している結果となりました。動画系レシピメディアである「クラシル」「DELISH KITCHEN」への信頼度が大きく下がる結果となっています。

■ライフスタイル ※2023年は未調査

■スポーツ(TOP2)
スポーツサイトは2メディアのみの調査となります。昨年同様、調査対象メディアにおいて信頼性に大きな差はない結果となりました。

■グルメサイト
傾向は昨年と同様で、ホットペッパーグルメが頭一つ抜けている結果となっています。調査対象全メディアで信頼性に大きな変化は見られません。

■【番外編1】Yahoo!ニュース & Google Discover(世代別)
ニュース系ポータルの「Yahooニュース!」と「Google Discover」では全世代で「Yahooニュース!」への信頼感が高い結果となりました。

■【番外編2】SNS & ブログ(世代別)
SNSとブログ全体を比較した場合、10代〜20代は圧倒的にSNSへの信頼度が高いものの、その他の世代においては同等の信頼度を持って情報に接している事が分かりました。

V. 調査結果 - カテゴリー別信頼度一覧(年代別) -

今回調査した各カテゴリーにおいて世代間の違いが明確に出ているのは「SNS」「ライフスタイル」及び「新聞・雑誌系」という結果となりました。

VI. 調査結果 - 主要SNS詳細 -

●性別(2023年との比較)
性別による信頼感の差は各メディア共に少ないですが、Instagram及びX(Twitter)に対する女性からの信頼性が低下している結果となりました。主要SNSの中ではPinterestが女性からの信頼を集めている結果となっています。

●年代別
昨年と同様に若年層においてSNSに対して信頼感を持って利用している傾向にあります。Instagram、TikTok、X(Twitter)は世代間の偏りが比較的大きい結果となりました。

VII.最後に

「メディアへの信頼性が下がっている」と言われて久しいですが、実際にこの1年においてもデジタルメディアへの信頼性は低下傾向である事が分かりました。そんな中「新聞・雑誌系メディア」に対する信頼性に大きな変化は見られず、この事からも「良質なコンテンツを展開するメディアは変わらず一定の信頼を得ている」という仮説も見えてきました。
消費者の生活・行動は多様化し続け、それに合わせて広告面も増え続けています。そういった中、多くの広告面から「今回のアイデアがより浸透しやすい広告面はどこなのか?」と考え続けるのが私達メディアプランナーの役割です。
最初にも申し上げたように必ずしも信頼性の高いメディアに広告を出せば売れる、という訳ではないと思いますし、数多ある戦略的切り口の一つでしかありませんが、「消費者との接点を可能な限り良好・良質なものにする」という観点からは面白い切り口の一つだと考えています。又、この調査だけで判断は出来ませんし、現時点では言い過ぎかとは思いますが「メディアチャネルを選ぶのでは無くコンテンツを選ぶ時代になっている可能性」すら感じました。
今回の調査結果が少しでもメディアプランニングの参考になりましたら幸いです。

※本記事の内容を引用される際は、以下のご対応をお願いいたします。
引用元が「VOSTOK NINE オンラインマスメディア信頼度調査 2024年6月」である旨のご記載


執筆者 : 三宅規仁(メディアプランナー | VOSTOK NINE代表)

株式会社VOSTOK NINE
VOSTOK NINEは2024年現在、国内で唯一(※)の「広告(6媒体)メディアプランニング」に特化した会社です。所属する全員が一定(目安10年以上)の経験を持ったメディアプランナーのみ、という一風変わった組織です。広告が社会にとってより役に立つ存在になる未来を目指し2022年1月にメディアプランナーである三宅と江口の2名で立ち上げました。メディアプランニングに関する知見はブラックボックスになりがちですが私達は” 可能な限り広く共有されるべきである “という「メディアプランニングの民主化」を掲げて活動しています。その為、これからも様々な考察や自主調査データをnoteで公開していきたいと思っています。詳細はこちら
※VOSTOK NINE調べ

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