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インボイス制度と、クリエイターの未来について

突然、コンテンツ制作とちょっと経路の違う話をします。
インボイス制度についてです。
たまたま「ストップインボイス」という署名活動に対してコメントしたら、多くの賛同を頂いたので、心情メモです。

※本記事には税金やインボイスなど、大変専門性の高い内容を一素人の個人の理解範囲で記載しています。より詳しくは下記すぐSTOP!インボイスのページをご覧ください。


そもそもなのですが、

国は、公共機関や福利厚生など「生きるのに必要なもの」を公平に利益を追求する事なく分け隔てなく提供するために、
「売上」ではなく「税金」で、人々から金を集めます。
所得税、住民税、法人税、相続税、自動車税、タバコ税…など、
「この基準を満たすものは、年貢を納めてね」
というフラグを設定を
して、条件発動させてます。

その中でも消費税とは、
「何らかの支払いが発生した際に、"一部を国に納めてね"」
とううフラグを持つ税です。

・買い物をした際に払った"消費税"は税なのでもちろん「国」に対して支払います。
・ただ、一般消費者が全ての買い物に対し税金を計算して毎月納める、というのは不可能なので
・「企業が預かって代わりに納める」という仕組みをとっています
(サラリーマンの源泉徴収を日常消費でしているイメージ)

これが「消費税」の特性です。

そしてこの"何らかの支払いが発生した時に"フラグは、企業同士のお金のやり取りでも発生します。

会社同士で、制作やサービス提供など何らかの取引で支払いがあった際にも、同じく消費税の発生と"支払われた側が変わって納めますね"というルールがあります。

なのですが、

・売上1,000万円(利益ではなく売上)以下の企業は、ほとんどの収支がトントン、もしくは赤字です。
(1,000万を超えるぐらいまではロクに利益が上がらない)

・それもあり、会社としての体制が取れない事も多いので、今までは「免税事業者」として、消費税は納めなくても良い制度になっていました。

一般の感覚で言うと確定申告で使える様々な「控除(年収の状況に合わせて、納税額を免除される制度)」の制度に近い感覚なのではないかと思っています。

・そもそも「法人税」があるので、利益が出た分は税金が上がっていく
・1,000万というキャップがあるので、無限ではない(悪用する程の金額ですらない)

ので、もちろんありがたい制度なのですね。

で、ここがインボイス制度で変わる所なのですが、
上記の免税事業者制度を「使いづらくする」という
楽●もびっくり改悪制度変更な
のです。

・売上1,000万以上ある企業は、消費税を納めています。その際に、
「もらった消費税(お客さん)ー渡した消費税(取引先など=納税額」
というのが今までなのでなのですが、
上記の「支払った消費税」の中から
「免税対象者の分は、どうせ国に消費税納めないんだから、消費税渡した事にならないよねー。ので、マイナスできません!」

という制度に変わります。

もちろん渡した消費税がある会社はただ損をするだけなので、
「納税しないなら、その10%いらないよね。」
と、今まで支払われていた消費税分が引かれたり
「免税事業者とはお取引しません(混在してるの面倒なので)」
と、知らぬ間に契約を切られたりします。

そのため、多くの「大手企業」との取引がある事業者は、免税事業者の控除が使えるうちでも「控除使いません」という宣言を強いられる状況になります。

これだけで話が終わるなら、まだまぁ仕方なし、という側面もあるように思えるのですが、
実際は「消費税」の複雑さと累進ではないことが問題の拍車をかけています。

まず法人税は、
「売上−原価=利益」の、利益に対して税金がかかります。
最低限どんな規模の事業者をされている方でも、まぁほぼ必ずやります。(白色申告で終わらせる方は必要ないかもですが)

消費税がやっかいなのものは
・そもそも特定のものは消費税が発生していない(給与」「利息」など
・「現在、軽減税率があり8%、10%が混在している」

とひとまとめで処理できない上に、今回のインボイス制度発動で

・そもそも「インボイスの対応をしている企業かどうかを確認する必要がある」
    ※免税事業者がインボイス対応するか否かは任意なので
・その上で仕分けをして「渡した消費税分を引く」

という、単純に手間が増えます。

みなさんは家計簿、付けられますか?
日付と合計金額と「何を買ったか」は、まぁ把握できますよね。

そこに
「この支払いは計算していいかしら?」
「この支払いは税率8%?10%?」
「この企業はインボイス対応してる?
(だから、インボイス対応すると個人の名前が乗るよ、という事なんですね…対応か非対応かを確認するので)」

という事も、膨大なレシートを目の前に併せてチェックしなければならない、という事です。

私はお金管理が元々好きなので、帳簿付けは自分でやっています。
そこまで専門知識がなくとも、Webサービスを使えば上記の家計簿をつける感覚で出来るので大変便利です。
ので、帳簿は自分で付けた上で、最初の何年間かは自分で申告までやっていました。

なのですが、消費税が絡んでくると、
ここまで理解していて、興味もあって、対応したいと思っていても、ちんぷんかんぷんです。
正直、経理の方からも「税理士でも間違えるぐらい、消費税はさらに複雑」と言われました。
つまり、一個人で独自で対応するのは、ほぼ無理なんですね。

そうなると、
・帳簿付けまでしてくれる税理士を探さなければならない
・税理士によっては消費税対応で顧問料が上がるところもある(そりゃ取るでしょう、という内容)

もちろん、この対応は一般企業はしています、大手企業なんかに言ったら「何を言ってるんだ」という、普通の処理です。
サラリーマンをされた方が会社の経理申請の際に「なぜわざわざ消費税を設定する場所があるのか」という事に気づくと思います。
上記の対応をするのに必要だからなんです。

しかし、これが「できない…!」と嘆いているのは、
1,000万の売上がいかない、小規模事業者なんです。

売上1,000万、と個人の収入で考えるとふんだんにあると思いますが、会社の売上としては極小です。

規模をわかりやすくするために、
「年商300万」の事業者だとしましょう。
300万を12ヶ月で割ると、25万です。
月収25万のパート&アルバイトと一緒だと思うと、
「突然ですが、10%手取りは減り、税金は(消費税の分)上がります。そして、そのために個別でトレーナーさん(役20万ぐらい)を雇ってくださいね」
という宣告をするようなイメージ。

しかもこれが、今までの「稼いだ人は稼いだ分払ってね」ではなく、
「はい、みんな一律ですー」
なので、体力がない人は益々苦しくなる施策。

これは「へー、そうなんですね。」
では、終わらせられないのでは…??????

と、あらましまで書くと長い話になりましたが、
私個人的には、
「働き方の自由を、狭める制度」だと思っています。
みんながみんな、年収1000万を目指しているわけではないですよね。
小さくてもやりたい事をやって、のびのびと生きる生き方があっても何も問題がない。
私にはインボイスは、
「社会の枠組みにハマらないなら、辞めてください」って生き方を制限する宣言に聞こえます。

弊社は、ここまで語っておいてあれですが、
インボイス対応しました。
取引先が大手である事、そしてなにより私は
「会社として1000万以上を稼ぐ」事を見据えて事業を興してるので、
遅かれ早かれ対応するものであるという腹が決まっています。

のですが、
私の周りには魅力的なクリエイターさんがたくさんいます。
デザイナーさん、ライターさん、イラストレーターさん、声優さん、アニメーターさん、などなど。
会社という庇護と制約を抜け出せる実力を持つ多くの人がいらっしゃいます。
その方々の活躍は
売上で評価するだけの空洞のような価値観とは一瞥されるべき、
豊かな文化を育み、人が人として楽しさを受け取るための創造性です。

全員が全員、同レベルの同じバックオフィス機能を持つというのは、無理です。
それぞれの背景や目指すもの、希望が異なるので。
でも全ての人が「自分でやりたい」と、勇気と希望を持って一歩踏み出した方々です。
集合知では出来ない、古い慣習や価値観を変えていく、勇気ある方々なのです。

今回のインボイス制度は、まるで古い慣習のようです。
多様性を根本から否定する、小規模事業者を殺す制度です。
この制度によって、日本の独立志向はまた後退するように思えます。
せっかく副業解禁の波が来ているというのに、
方針のちぐはぐさや、10月に迫る制度がころころ変わるみっともなさなど、
政府の思いつきのような制度で人自由を奪い、くびき殺すような事を、
特に「これから未来を作る」ものを、閉ざす事を本当に考え直して頂きたい。

たかが1,000万、されど1,000万。
「免税事業者」の制度が培った肥沃な大地をこうもあっさり枯らして良いのか、
その先、幸せになるのは「権力者」だけなのではないか。

沸々とした怒りが、拭えません。

個人的な心情の吐露と併せて、タイムリーな話題のメモでした。

※本記事で機材した、税制度などは、専門性のない一個人レベルが理解しているレベルの情報を、要約し噛み砕き記載したものです。そのため、内容に齟齬がある事が多分にございます。
本情報を経て少しでも税金や今回のインボイス制度にご興味を持たれた方は、専門家の方へのアドバイスを求めて頂くようお願いいたします。

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