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最高のリーダーとは? 戦術のないマンUの監督を例に

さて、本日のテーマですが、サッカー日本代表の南野選手も所属している、イングランドのプレミアリーグについてです。

このプレミアリーグですが、他のリーグと比べて、スピード感もあるし、チームごとに特徴があって面白い。

そして、今シーズンは以前にも増して、番狂わせや順位変動が起きています。例えば、
・昨年優勝のリバプール、2位のマンチェスターシティが序盤戦で中堅チームに5点差をつけられて大敗をしたり、
・序盤不調だったチームが、連勝して順位を一気にあげたり、逆も然りです。

そんな混沌としたリーグでチームを率いるのは難しいですし、波乱が起きるリーグを勝ち抜いているリーダーからの学びはあるのかなと思います。

今日は、その中でもマンチェスターユナイテッドのスールシャール監督に注目します。この監督、就任して3シーズン目に突入していますが、懐疑的な意見も多く、たびたび解任論が巻き起こります。

ただ、今シーズンは前半戦を終了した時点で、首位にたち、現在も2位と好調です。この好調な要因は何なのでしょうか?

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

名門マンチェスターユナイテッドとスールシャール監督について

では、まず、スールシャール監督の経歴についてです。
現役時代はフォワードで、ノルウェー代表、マンチェスターユナイテッドではスーパーサブとして、1996年〜2007年の間、活躍。
1999年では、ヨーロッパナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグの決勝戦で、決勝ゴールを決めるなど、勝負強い選手でした

そして現在率いているマンチェスターユナイテッドについてです。
1878年に創設。
欧州サッカーの中でも売り上げ高の3位、リーグ戦のタイトルは27回、ヨーロッパ最強を決めるチャンピオンズリーグの優勝3回を誇る超名門です。

この圧倒的な強さから、相性は「赤い悪魔」と呼ばれています。

そして、この強いマンチェスターユナイテッドを象徴していたのが、1986年〜2013年チームを率いたファーガソン監督です。
就任当初は低迷機を迎えていましたが、チームを率いた27年間でリーグ優勝は13回。2シーズンに1回は優勝をする圧倒的な強さを発揮しました。

最後のシーズンの2012年〜2013年シーズンは、日本代表の香川真司選手も在籍したことを覚えているリスナーの方も多いのではないでしょうか?

しかし、ファーガソン退任後のチームは低迷してしまいます。

そして、なかなか勝ちきれない時代が続き、監督の交代も頻繁に行われます。2018年にスールシャール監督が就任するまでの約5年間で、4名監督が入れ替わりました。この4名とは、モイーズ、ライアンギグス、ファンハール、モウリーニョ監督です。

中でも、ファンハールとモウリーニョは共に稀代の戦略家と言われ、多くのビッグクラブで結果を残してきた監督です。
この監督をもってしても、就任1年目は好成績を収めるのですが、2年目、3年目で低迷をしてしまいました。
このことから、やはり、20年以上にわたって最強チームを指揮してきたファーガソンの後を引き継ぐのは相当難しいと言えます。

そういった背景がある中で2018-2019シーズンの途中の12月にスールシャールは監督に就任しました。
就任後のサポーターからの好感や、6連勝スタートを含め就任から12試合連続リーグ戦無敗などの好成績もあって、2019年3月28日に3年契約で正式に監督就任を果たしました。

しかし、この好調は長く続かず、チームは最終的に6位に沈みました。

これは推測入りますが、前の監督がめちゃくちゃ戦術家で、チームの取り決めも多い、ギッチギチに管理されていた。

それがスールシャール監督の就任でどちらかというと選手の主体性に合わせるということで開放されて一時的に好調になったんだと思います。

ただ、この好調は長く続かず、試合の展開がうまくいかない時の具体的な策が打てなかったことで、「あっ。この監督、戦術とかないのでは」って選手に感づかれてしまったのかもしれません。。。。
また、ある程度経過すれば、他のチームも対策をどんどん打っていきます。


私もプレミアリーグ系のYoutubeチャンネルとかを色々みていますが大体こんな意見です。

現在のトレンドは、前線のフォワードの選手も積極的に守備を行う必要がある、そしてその守り方も決め事を設けているチームは多々ある。
それに反して現在のマンチェスターユナイテッドは、どちらかというと、決め事も少なく、その場ののり、選手のポテンシャル任せで、自由奔放にやることが多い。
スールシャールはそもそも戦術は持っているのか?
ビジョンがないのでは?

こんな意見もある中で、昨シーズンは、なんとか、3位に滑り込みました。

今シーズンもスールシャールが監督で良いのかという意見も多々ありました。
実際にスタート当初は、1戦目は1対3で敗北、3戦目には強豪トットナムに1対6で惨敗、6戦目終了時点では20チーム中で15位まで落ち込みます。
ただ、7節から、負けなしで急上昇をして、1月17日の17節を終えた時点で単独首位に立ちました。これはファーガソン監督のラストシーズン以来の快挙のようです。
これには、有識者の方々もスールシャールの見方や捉え方も再評価しようという方々も多くいました。

周りからは戦術やビジョンがないと言われながらも、結果を残せているので、どこか優れている点があるのかと思います。

次のチャプターでは戦術がなくてもなぜ、好調なのか、その要因について考えていきたいと思います。

戦術が酷くても勝てる監督 その要因とは?

さて、前のチャプターでは、スールシャール監督の経歴、強かった時のマンチェスターユナイテッドの象徴ファーガソン監督、スールシャールが監督に就任してからのこと、そして采配について懐疑的な意見も多いということについて触れました。

しかし、今シーズンは予想に反して、好調を維持しています。ではなぜ、好調なのでしょうか?

大きく2つあります。
・1つ目が監督としての器、人身掌握術です
・2つ目が、カリスマ的な存在、チームの司令塔のブルーノフェルナンデスの存在です。


まず1点目のスールシャールの監督としての器、人としての器、チームメンバーからの信頼という側面から。
前任者のモウリーニョやファンハールは決め事が多く、近寄り難いオーラを醸し出していたのに反して、選手やクラブOBでスールシャールのことを悪くいう人はほとんどいません。

これについて、Youtubeチャンネルのレオザフットボール「戦術はが酷くても勝てる監督特集-知将じゃなくても名将になれる方法」というちょっと過激なタイトルの回ですが、面白い考察がされていたので紹介します。

まずレオさんは、戦術の分析官という立場ではあるけどこのような持論を持っていました。

「戦術は重要だけど、勝利を司る、一番の要因ではない」と持論を展開して、戦術面があまり取り上げられないけど、いい結果を残せている例として、スールシャール監督を紹介していました。

では何が優れているのか?
その能力のまず1つ目として上げていたのが、思うように力を発揮できるための政治力を持っているということ。
チームオーナー、経営者との関係も良好に築けていて、力を発揮できる環境を整えています。
これができることで、選手は、監督の意見を聞かないとと耳を傾けます。

それがベースにありながら、選手の人身掌握術に優れていることも重要です。
スールシャールは現役時代はスーパーサブとして、長い間マンチェスターユナイテッドで活躍してきたので、このチームらしさも体に染み付いていますし、選手のメンタル、どのタイミングでどの選手を入れればやる気が出るのか感覚に優れているのだと思います。
なので、選手でも悪くいう人はいないし、造反していない、選手もついてくるんだろうなと思います。

こんな感じで、経営層とも良好で、選手のやる気のコントロールもできている、なので成果を残せてきている。
レオ氏も一昔前までは、スールシャールの采配を疑問視してきていましたが、ここ最近は味方を徐々に変えてきているようです。

そして最後にこう締め括っています。

「戦術は調味料であり、大事なのは、選手個々の技術、フィジカル、メンタル、試合に至るまでのこの準備が大事である。なので戦術がいかに優れていても負けることもある」

そして2つ目の要因、優れたカリスマ的な司令塔、ブルーノフェルナンデス選手についてです。

この選手は、サッカーIQも非常に高く、ピッチ上の指揮官とも言われています。昨シーズンの2019-2020年シーズンで最終的に3位に入れたのもこの選手が加入してからでした。

2020年1月リーグ戦の後半戦からチームに加入してからチームは負けなしでシーズンを終えました。そして、プレミアリーグの2月の月間MVP、コロナによるシーズン中断後の6月でも月間MVPを獲得します。

また、何がすごいのかについての考察ですが、Sportivaの記事を引用します。

ブルーノ・フェルナンデスのケースはカントナと似ていて、もともと個人技に優れていた周囲のアタッカーを触発して好循環をつくっている。
決め手はコミットする能力だ。

ブルーノ・フェルナンデスは、技術レベルの高さだけでなく、運動量がすばらしい。単純に守備力があり、しかも精力的に守るので、彼が加入してのマイナスが全くない。大物選手が加入すると、守備面の負担を周囲が軽減してあげる必要が出てきて、チームのバランスが一時的に崩れることがある。だが、ブルーノ・フェルナンデスの場合はそれが全くなかった。

攻撃面でも運動量を生かして、さまざまな局面に顔を出す。シュートも打つし、アシストもある。少し下りてポール・ポグバ(フランス)と連係しながら組み立てを整えるプレーもある。あらゆる場面に顔を出して解決していく仕事量の多さは、チーム全体の機能をひとりで格上げする効果があった。介入する分野が広いので、それだけ影響力が大きくなるわけだ。

このように全ての能力に優れながらも、泥臭い動きを厭わず、献身的な選手といえます。

さて、ちょっとだけ話は変わりますが、サッカーは、展開も早い、攻守の入れ替わりも激しい、、ピッチ上は混沌とした状態です。
また、今シーズンはコロナ禍の中でのシーズンスタートという条件があります。

・きめごとの多いチーム、激しい運動量の多いチームは、平常時に比べて綿密な準備ができない、各選手との連動を試す時間が避けない。
・さらにコロナ禍ということで、シーズンスタートも遅く、過密日程、運動量の多い、きめごとの多いチームとかは不利な状況です。

このように不確定要素が多い、瞬時の判断が求められる、臨機応変さが求められる特性が強いサッカーに、コロナという戦術を浸透させる期間が短い、かつ過密日程というのが今シーズンです。

そんなかで、監督のやれることってある程度限られてしまうのかなとおもいます。
・自分たちで判断できない受け身の選手ではなく、個人のスキルもあるので、伸び伸びやらせる。
・そして、ピッチに立っているブルーのフェルナンデス選手がサッカーIQが非常に高いので、選手がいきいきとして動く、それが勝利に繋がっている。

ひょっとするとブルーノ・フェルナンデス選手が自由にやれている、動き回れてリウのは、主体性を尊重しているスールシャール監督だからなのかもしれません。

私の主観ですが、この条件がピタッとハマったから、現在、好調なのかと思いました。

前の回でも申し上げましたが、先が読めないこんな時代だからこそ、スールシャール監督のこのスタンス、仕事に生かせるヒントがあるかもしれません。

次のチャプターではTipsについて考えていきたいと思います。

最高のリーダーは何もしない やらないことを選ぼう!

さて、Tipsについてです。
今回、整理する際に、ある一つの本を思い出しました。

それは、「最高のリーダーは何もしない」という本です。

リーダーというのは、「即断即決、勇猛・大胆」「カリスマ性」やぐいぐい組織を引っ張っていく。
部下、組織のメンバーが困った時に、的確な指示を与えるということを想像されるのではないでしょうか?

ただ、変化の激しい現代ではこのやり方は通用しません。

この書籍でも、優れたリーダーや社長への取材を通じて、優れたリーダーの共通点は、どちらかというと現場をグイグイ引っ張るのではなく、どちらかというと内向的で任せるタイプが多いと書かれていました。

少し本の要約サイトからの記事を引用します。

かつては一定の枠組みのもとで小さな改善をしていけば会社は安泰だった。
そのためルールやマニュアルが重視され、そこからはみ出るメンバーを注意し、統率する軍隊の隊長タイプのリーダー像が求められたのだ。
しかし、今ではITの力によって消費者の細かなニーズや価値観が顕在化し、画一的なサービスが適さなくなった。しかも変化のスピードが速い。

そうなるとリーダーが自社の商品やサービスをすべて把握し、意思決定をしていくことは不可能。トップダウン型リーダーシップだけでは、目まぐるしく移り変わる消費者のニーズに素早く対応できないのだ。

そこで現場のメンバー各自が自律的に動き、臨機応変な対応をしていくことが求められるようになった。そして、その際の指針となる「目的=ビジョン」をつくることが、リーダーのもっとも重要な仕事へと変わったのだ。

ですので、チームや部門を率いるマネージャーやリーダーは、
「あえて何もしない、でもこうなりたいというビジョンは掲げる、何か会ったときにヒントを与える、メンバーが働きやすい土壌を作っていく」ことがこれからますます大事になっていくんだろうなと思いました。

最近のビジネス用語で言うと心理的安全性というキーワードですね。

そして、チームメンバー側の視点にたつと、リーダーやマネージャーが、現場仕事に没頭している場合は、難しいかもしれませんが、「仕事を任せてもらうように呼びかけてみる」というのはいかがでしょうか?

ちょっと前置きが長くなりましたが、今回のTipsは2点あります。
・自分のやらないことを選ぼう
・自分の見ている、視座、視野、視点を意識してみよう

にしたいと思います。

まずやらないことを選ぶというのは、最高のリーダーは何もしない とか 現場に任せられるものは何かということです。
ただ、ついつい現場の細かなところまで降りてしまうと、ついついいろんなことが目に入ってしまいます。

なので、どういう高さで物事を見るかの視座、どの範囲で物事を捉えるかという視野、どこに注目するかという視点を意識してみてはいかがでしょうか?

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