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薬師丸ひろ子さんの声

先日の関ジャムで、女優さんで、歌も歌っているひとを特集していた。
薬師丸ひろ子さんを筆頭に、長澤まさみさん、上白石萌音さんなどを紹介していた。
薬師丸ひろ子さんの場合、キャリアも相当長く、ヒット曲もたくさんある。
楽曲を提供した人たちも、錚々たるメンバーで、松本隆さん、大瀧詠一さん中島みゆきさん、坂本龍一さん、来生たかおさん、竹内まりやさん、松任谷由実さん(名前を変えて)などが楽曲を提供している。

関ジャムによく出演している、馴染みの音楽プロデューサーや作詞作曲家が、薬師丸さんがどれだけすごいか、素晴らしいかを語っているのを聞きながら、もし、ボイトレをしていなかったら、この人たちの話を素直に受けいれられなかったかもしれないなぁと、漠然と感じていた。

というのも、彼女が高倉健さんと共演したデビュー作、「セーラー服と機関銃」をはじめ、たくさんのヒット曲を聴きながら、なんとなく彼女の声と歌い方から、声量が足りない印象を受けて、イマイチ好きになれずにいたのだ。
なぜかわからないけれど、自分の中で、声量の多い、声に厚みのあるミュージシャン=歌がうまいひと、というこだわり、思い込みがあったことは否めない。
好きなミュージシャンと聞かれたら、大橋純子さん、MISIAさん、杏里さん、井上陽水さん、玉置浩二さん、徳永英明さんといった人たちをあげてきた。グループではスピッツetc(いつもあげている星野源さんは、私の中で別格)

今、振り返ってみると、薬師丸さんの歌声が裏声の弱い声質に聞こえていたのだと思う。
しかし、今回関ジャムで、薬師丸さんの歌声を暫くぶりに聴いてみたとき、自分の中で、彼女に対してある変化が起こっていることに気がついた。
それは、薬師丸さんの歌声は、決して弱くはないのだということだった。声量が少ないとか、声質に厚みを感じないと思っていたけれど、そうではないということを、感じることができたのだ。

透明感のある声であることは間違いない。
そこに、女優ならではのイメージ力で、歌詞に描かれている世界を表現していたことに気づかされたと言っていいだろう。
技術的な話をすれば、声の強弱、張り。しゃくりや節といったものがちゃんとあることも感じることができた。
どうやって、声帯を使っているか、どうやって喉を(声帯)開いたり、閉じたりしているかもイメージすることができて、なるほど、表現力があるということは、こういうことなんだなと理解できた気がする。

それと比較して、私の声は録音を聞いてみると、実に平坦で艶のない声をしている。
トレーナーさんが、毎回、ある程度楽曲のフレーズを歌って教えてくれるのだが、トレーナーさんの声も、高く綺麗しかも太く、艶のある声をしている。

声は神様からの贈り物と思っている。
なので、私の声もギフトなのだろう。
残念ながら、薬師丸さんのようなガラスのような、透明感のある声や、トレーナさんの綺麗な声には恵まれなかった。
ただ、艶のあるこえしつに関しては、練習によっては獲得できないこともないのではと、少しばかり期待している。
それには、もっと頑張らないといけないのだけれど。

小さいときら歌が好きで、毎日歌っていて、お腹を壊したり、熱が出て布団に入っているときでも、かけ布団を被ってこっそり歌っていた。それほど歌が好きだった。遠い昔の話、技術も何もなくて、ただ楽しいだけ、好きなだけで歌っていたときは、声も綺麗、歌がうまいといってもらったこともあった。それが、心の勉強を初めて、時間に余裕がなくなって、歌わなくなって、気づいたら10年が経っていて、高い声が出なくなっていたことに飢餓がついたのがきっかけで、慌ててボイトレに通ったけれど、コロナ禍が始まって、スクールをやめたトレーナーさんについて、個人レッスンをスタート。そこで私がずっと歌ってきたのは、裏声だったことを知らされ、地声で歌いましょうと言われた時は、ちょっとショックだった。
でもめげずに、声を出そうとして、あれ、おかしいなと感じてボイスクリニックに行ってみたら、声帯が痩せていると言われ、注射がある、やってみますかとの提案に、即、やりますと返事をして翌日注射を声帯に直接打って、一ヶ月後に、再診でOKが出て、レッスン再開。で、今に至る。

コロナ禍がなかったら、と思うことはいっぱいある。
いっぱいあるけれど、そんな中でも、ボイトレは続けてきてよかったことの一つだ。
楽しみでもあり、苦しみでもある。
楽しいだけじゃない、やめようと一瞬よぎったこともある。
でも、やめなかった。やめなくて本当によかった。

年齢的なこともあって、いつまで続けられるかわからないけれど、限界が来る日まで、続けたいとおもっている。
幸い、地声で歌うこと(地声だけで)は終了して、今度は地声に近い裏声、裏声に近い地声など、曲によって、声の使い方を変えるレッスンが始まった。
それで声を出すのが楽になってきた。
楽に出せると、やはり歌っていて楽しい。
昭和歌謡はど真ん中世代なので、歌詞を見なくても歌えるくらい、歌ってきた。ただ、今の音楽と比較すると平坦な曲が多い。それをどう聴かせるか、をトレーナーさんは、工夫して教えてくれる。
今、歌い始めたワインレッドの心も、玉置さんのライブ映像を見ながら、細かく指導してくれている。

楽しいは、決して楽(らく)ではない。
でも苦しい先に、楽しい、喜びがあることは、歌に関しては間違いない。
いつまで歌えるかわからないけれど、声が出なくならないように、歌って行けたらと思っている。



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