知ってほしいけど、知られる怖さもある
夜、ひとりでハイボールを飲みながら中央自動車道のライブカメラを見ることがある。僕にとってはいつも通りだが、これを人に話したとき「しないよ」と言われて「あ、しないのか」と冷静になった。
でもこのことをTwitterに書いたとき「このライブカメラもいいですよ」とお薦めをもらい「あっ!ほら!みてる人いるじゃん!」とも思った。で、また冷静になる。
「え?何で見てんの?」
見てる僕がいうのもあれなんだけど、これを見てる人はなにようで見るのだろう。僕の場合はある種の瞑想。何かを見ていたいけど、情報や声が入っているのは少し騒がしくて。でも“知らない誰かがこの時間にいる感覚”はほしくて。それでちょうどよかったのがライブカメラ。
これが結構落ち着く。夜中にしか見ないんですけど、同時視聴者数が20~30人くらいいるんですよ。「夜中はトラックが多いなー、配送かな?」なんて思いながら見てる。
で、片手にはお酒。このときいっつも聞いてる歌がある。堀江淳さんのメモリーグラス。
僕が飲んでるのは水割りじゃないですけど。このときが1番リラックスできる時間。堀江さんの高く甘いハスキーな声がハイボールに合うわ合うわ。おつまみなんていらない、堀江さんの歌があれば充分。(結局声を聞いてるんだけど)
僕で言うなら「ウイスキーをください 羊の数だけ」かな。あ、ジンギスカンが食べたいってことじゃなく、眠れるくらい飲みたいってたとえね。でも飲み過ぎにも注意しないと。それで体壊したから(笑)
僕がお酒だとしたら誰かに飲みほされるのかしら。
「あいつなんか あいつなんか あいつなんか 飲みほしてやるわ」
ってなんだか大人なたとえな気がする。そこまで愛してる!愛してやる!みたいなね。飲みほされたあとに「まっ、こんな味か」って飽きられる怖さはあるけど、いくら好きなものでも毎回おんなじ味だったら飽きるもんね。でも、知られるってそんなもんか。
知ってほしいけど、知られる怖さもある。
よくお邪魔する喫茶店の店員さんに、今年は色々ありましたとつぶやいたところ
「今年はいろんな仕事もできたし、有野イヤーなんだよ!」
と言われた。実際、今年は運が良かったと思う。初めてテレビに出演させてもらったり、TV CMのナレーションを担当したり、新しい人間関係が広がったり。そんな中で“講師業”も新しく始まった一つのこと。
今までは教わる側だった。でも今度は教える側になる。生徒さんから「毎回発見があって楽しいです!ありがとうございます!」と、こちらこそ励みになりますと言う言葉をもらえるけど、心のどこかで「人の問題を解決して、自分のできないことから目を背けている」という正直な気持ちがある。
‥これだ。生きる実感。痛み(問題解決)にわざわざ目を向けて、解決することで「何かやった」気でいた。改めて思い返す。
(僕のこと)お前は何か価値を生んだか?
物を作る、仕事をする、書く、なんでもいい。何かしていたのか?問題解決できた人は日に日に成長している。僕はといえば人に言って何かしたつもりなり、ハイボールを飲んで寝るだけ。
あいつ(この思い)は瞬間的なことだとわかっている。
だから必要以上にネガティブに捉えちゃいけない。気持ちを解析できてわかってきたなら、次にやることを考えればいいだけだ。
高校の時からの声優の同期が個人イベントをやったので遊びに行ったのだが、ファンや仕事仲間、いろんな人がワイワイやっていて活気をもらえた。目指していた同期はほとんどやめてしまったから。
‥そうだ、僕はまだしぶとくやれているんだ。
あいつにかまけている場合ではない。そんなのは他のことをしていたら通り過ぎる。コンテンツを作りお仕事をする。ただひたすらに。体力と気力が有り余っている若いうちにしかできないから。心も体も。
あいつなんか あいつなんか あいつなんか
ただの通り雨
(メモリーグラス 堀江淳)
言葉のDIY職人
有野優樹(ありのひろき)
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正直に言います。話を上手くするため、映画を見たり本を読んだりのお金に当てます。直近、島に暫く住む予定なのでそちらの生活費に。