【動画🎓🎞️】中央銀行の機能と役割～利上げ・利下げの意味『お金の教科書STEP1』1-6/1-7

中学や普通高校では「中央銀行」の役割を知識ベースでさらっとしか扱いません。

細かく話したところで、生活の実感がないと同じものを見ても視座・視点・視野がまだ育っていない中では見えてこないことが少なくありません。

授業で聞いた話で記憶に残っているのは「政府の銀行」や「銀行の銀行」というキーワードであることが多く、それが経済においてどんな役割を担っているからそう呼ばれているのかの知識と理解のギャップがあり、それを主体的に埋めようというのが本記事の狙いです。

高校を卒業した人、成人・社会人が改めてお金と経済について学び直すことは生活の実感を伴う「学習の定着」と言えます。

単語・用語を覚える事が学校教育の目的ではなく、テストや入試で良い点を取る事も教育の目的ではありません。

それらは手段であって、教育の目的は一人一人の生活の質・人生の質を向上させることにあります。

オーケストラでは様々な楽器の音を指揮者のタクトに合わせて、ハーモニーを奏でます。

経済をオーケストラでたとえれば中央銀行の役割は、指揮者。

その国の経済を円滑に動かし、ハーモニーを奏でるために音をまとめる「要かなめ」の役割を担っているといえます。

それぞれの楽器と演奏者はこの国の企業・業種とそこで働く人たちです。

どんなに素晴らしい演奏をそれぞれの楽器や演奏者がしていても、他の楽器の演奏と噛み合っていなければそのオーケストラの音楽は聴いていられるものではありません。

現代の中央銀行の役割を考える上で、振り返っておきたい人物が二人います。

1970年代に世界を襲った二度のオイルショックに端を発したエネルギー価格の高騰などを受け世界が年20%に迫る高インフレに見舞われた景気後退期にカーター大統領(民主党)に任命され積極的な利上げを覚悟を持って行いインフレを鎮静化させた事から「インフレファイター」の異名で呼ばれたポール・ボルカーFRB議長。

ポール・ボルカー(1927-2019)
FRB議長任期1979-1987
*FRB議長は1期4年

そしてボルカー議長に代わって1987年、ロナルド・レーガン大統領に指名され18年半に渡ってFRB議長を務めたアラン・グリーンスパン(1929-)は「指揮者マエストロ」と呼ばれました。

アラン・グリーンスパン(1929-)
FRB議長任期1987-2006

グリーンスパンがFRB議長に就任2カ月後の1987年10月にはブラックマンデーに見舞われNYダウは20%下落。

その後もメキシコ通貨危機(1994)、アジア通貨危機(1997)、ITバブル崩壊(2000)、エンロンショック(2001)、アメリカ同時多発テロ(2001)…

米国最大の景気後退局面を何度も乗り越え今日の米国経済の強さを生み出したのは米国経済が単に強いだけでなく、中央銀行の独立性(中立性)を保ちながら米国経済の基礎を確立してきた土台があるからとも言えます。

中央銀行が担う役割は、これまでの動画で触れてきた世界史の中でも産業革命以降の近代と現代で大きく変わってきました。

特に1970年代のニクソン・ショック以降、その担う役割の意味を明確に示してきたのが米国の中央銀行であるFRBです。

今回は「現代の中央銀行」が担っている役割を学びます。

尚、今回は1-6/1-7の二回分を配信となりますので、次回は3月1日に投稿予定となります。

現在の中央銀行の担っている役割を理解せずに投資・資産形成をするというのは足し算・引き算・掛け算・割り算が出来ない人に買い物をさせるようなものです。

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前回までの記事

1-1/1-2/1-3

・お金は何故「お金」と呼ぶのか
・お金の歴史と変遷
・中世ヨーロッパでの金融システムの確立

1-4

・近代中央銀行の役割と課題
・世界史の出来事と経済の関係性
・金兌換制と経済成長の罠

1-5

・インフレーションとデフレーションとは
・インフレーションの種類と発生原因
・現代経済への転換「信用経済」

【1-6】