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投票は銃弾よりも強い~リンカーン大統領の名言に学ぶ民主主義とあなたの投じる1票の重さ

参議院選挙期間の終盤戦にあってはならないことが日本で起きてしまいました。

安倍元総理が演説中に発砲された自作と思われる銃によって被弾し、ドクターヘリで移送された奈良県立医科大学附属病院で亡くなるという大変痛ましい事件です。

犯行に及んだ人物はその場を警備していたSPによって取り押さえられ現行犯で奈良県警に身柄を拘束され取り調べが行われています。

犯行動機など細切れの情報は発表されているとはいえ、本記事ではこの点について憶測の域を出ないことを述べることは避けようと思います。

しかし多くの人たちがこれを政治家が狙われたことで「民主主義への攻撃」と呼んだり、選挙演説中という背景から「言論の自由」が脅かされたと声高に報じますが、果たしてそうなのでしょうか。

私たちにまだ公表されていない情報を政治家やメディアだけが知っているなど、情報があふれんばかりに飛び交う現代であり得るでしょうか。

日本は平和で安全な国

この平和によって豊かになった人たちもいれば、そうでない格差社会に取り残され絶望と貧困の連鎖から未来に希望が持てない人も大勢いるとするならば、日本の憲政史上最長在任日数を達成した元総理が、その凶弾の犠牲となったことは悲しみを通り越して皮肉とも言えるかもしれません。

そしてそれは一過性ではなく、あちこちで今後も起こり得ないとも言い切れません。

どんなに悲しい出来事が起きようとも、7月10日は参議院選挙の投票日です。

まだ期日前投票をしていない人で選挙権のある方は是非、一票を託す候補者・政党へ投じて欲しいと願います。

投票は民主主義における国民が政治に参加できる数少ない民意反映の機会です。

しかし日本では国政選挙においても過半数割れが珍しくなく、これを私のように「民主主義の危機」と呼ぶ声もあります。

過去に世界一の民意を反映するオーストラリアの選挙制度や、現在の日本の政治体制が非常に危険な状況であるとについて触れました。
この機会に改めて皆さんに読んで欲しいと思います。


投票は弾丸より強い

かつてアメリカでは現職の大統領が暗殺されるという悲劇が起きました。
最初の犠牲者となったのはエイブラハム・リンカーン

Abraham Lincoln(1809-1865)

歴代でトップクラスに米国人から人気のある大統領の一人で、ラシュモア山に4人の偉大な大統領の一人としても刻まれています。

左からジョージ・ワシントン初代大統領、独立宣言起草者トーマス・ジェファーソン大統領、
日露戦争停戦を仲介しアメリカ人初のノーベル平和賞を受賞したセオドア・ルーズベルト大統領、
南北戦争終結・奴隷解放宣言のエイブラハム・リンカーンが1927~1941年にかけて彫られた。

今尚、米国史で最も犠牲者を出した南北戦争で北軍を率いて奴隷解放を訴えて南軍と闘い、アメリカの統一を果たした傑物でした。

勝利宣言で掲げられた「人民の、人民による、人民のための政治」というフレーズは今尚、民主主義の理念の一つとして世界中で引用されています。

我が国、日本の憲法前文にもそれは観られます。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

またリンカーンはこんな言葉も遺しています。

Force is all-conquering, but its victories are short-lived.
(武力はすべてを征服する。しかし、その勝利は長続きしない。)

I walk slowly, but I never walk backward.
(私の歩みは遅いが、歩んだ道を引き返すことはない。)

To sin by silence when they should protest makes cowards of men.
(抗議しなければならない時に沈黙で罪を犯すのは臆病者だ。)

 The ballot is stronger than the bullet. (投票は弾丸よりも強い)

リンカーン大統領は国民の力の結束である投票、つまり選挙制度は弾丸よりも強いと訴え、一致団結させ南北戦争を勝利に導き、弾丸によって56歳で命を落とします。


若者の投票率が1%下がると年金は7.8万円減る!?

さて、今回の参議院選挙の公示がされてからABEMA PRIMEでも報じられていましたが、東北大で加齢経済学を研究している吉田教授による試算では「若者の投票率が1%下がると、その世代の老齢年金受給額は7.8万円下がる」ということが報じられました。

その理由については朝日新聞の参考記事を参照してください。


選挙に行かないは行かない人の他責で言い訳

個人的には選挙に行く理由は人それぞれだと思います。

前述の年金のように自分(たち)のためになるから行くという動機の人もいれば、様々な政策や考え方などが自分の考え方に近い候補者・政党を応援したいという人もいるでしょう。

選挙に行くのは「国民の権利」だから権利を行使することに社会人の一人として責任を感じている人もいるでしょう。

しかし「選挙に行かない」というのは多忙や出張・旅行などを理由にするのであれば期日前投票などの仕組みがありますから、当日が難しいのであれば公示日以降に投票すればよいのです。

1日の内で期日前投票の会場が開いている全ての日・全ての時間さえ確保できないのは時間管理が下手か、仕事の仕方が下手か、選挙・政治に関心がないかでしょう。

無関心とは、無責任でもあるのです。

そして責任は取らされるものではなく、責任は負うものです。
主体性がない人に責任を負うことはできません。

投票日前日は流石に込み合うにしても、そうでない平日などは殆どの時間の期日前投票会場はガラガラです。

選挙に関心がない、持てない若者が増えているとも言いますが、それもいい訳でしょう。

言い訳の多くは八つ当たりや逆ギレと似ていて、自分に責任がない、自分は間違っていないという前提で語られます。

また布団の埃と同じで叩けば叩くほど沢山出てきます。

民主主義で選挙権(投票権)は国民が政治に意思を反映する数少ない機会です。

選挙権が与えられているのに投票に行かないというのは自ら民主主義への参加を放棄し、決定事項に黙って従うということを選んだことになります。

選挙権の与えられている人全体を100%とした時に、過半数以下の人しか支持しなかった候補者や政党が国会に参議院議員や衆議院議員として立つというのは「この国をその票を集めた人たち(候補者・政党またそれを支持した人たち)の好き勝手にして良い」と言っているようなものです。

自分たちで権利を放棄したのに、選挙に行かなかったのに、世の中が悪い、政治が悪い、社会が悪いなどどうして言えるでしょうか。

こうして高齢者ほど政治・政策決定の恩恵が受けやすいシルバー民主主義が長年かけて構築され、若者軽視の政策が打たれ続けた結果、日本の一部の現役世代は高齢者を支えるための奴隷のような位置づけにまで追い込まれています。


そんな状況が30年近く続いたとしたならば、かつて世界第二位の経済大国となった国が坂道を下るように転げ落ちる衰退途上国となり、強い権力や富を持つ側の人に対しての糾弾や批判が集まり、やがてそれが良くない事だとしても、またたとえ事実とは異なる思い込みだとしても、爆発して悲劇をもたらすことは今後も含めて十分に起こり得る話、警戒すべき話ではないでしょうか。


リンカーン大統領はその他にも数多くの名言を残しています。
そしてその言葉の一つ一つには、私たち日本が失った民主主義に対する誤解と思い込み、綺麗ごとを都合よく重ねて放棄してきたことを痛切に感じさせます。

Those who deny freedom to others deserve it not for themselves.
他人の自由を否定する者は、自らも自由になる資格はない。

I don’t know who my grandfather was; I’m much more concerned to know what his grandson will be.
私の祖父がどんな人だったか知らないが、彼の孫がどんな人になるかにはとても感心がある。

You cannot escape the responsibility of tomorrow by evading it today.
今日責任から逃れることによって、明日の責任から逃れることはできない。

選挙に一票を投じるのは権利ですが、権利は義務とコインの表裏の関係です。

何もせずに権利が与えられることはありません。
選挙権が与えられている成人としての社会に対する義務を果たす、一票を誰に投じるのかは誰に託すのかと同義です。

そして民主主義はメンテナンスされないと、票を集めた人たちの都合の良いように作り替えられてしまうのです。

選挙に行きましょう。そしてその一票を、社会を変える一歩にしましょう。

未来の世界が、平和であることを願って。

2019年6月28日に開かれたG20サミットでの
トランプ米大統領、安倍晋三首相、プーチン露大統領
2022年現在では信じられない幻の映像になってしまった。

安倍晋三元総理のご冥福をお祈りします。

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