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共働き×子育て〜心も体も燃やせ!?〜

ついにこの日がやってきた。

妻の3年にわたる育休(2人の子供の出産に伴う)が終わり、復職がスタート。つまり2人で共働きしつつ子育てにも励まなければいけないということだ。

最初の感想は、「世の中の共働きしつつ子育てする世帯がこんなに大変だなんて私聞いてない!!」である。

とりあえず前提条件として、私と妻の基本スペックや家族の状況をお伝えしよう。

私→仕事関係:会社員、30代、仕事はフレックスタイム有、リモートワーク有、海外との仕事が主でオンライン会議等で朝や夜遅くなること有。時短勤務は今回適用なし。
体力:高校時代は体力の鬼と言われたが風邪はひきやすい。運動は今はウォーキングのみ。
家事スキル:料理はそこそこできる、掃除は苦手。洗濯物など畳むのも苦手。
育児スキル:乳幼児の世話は一通りできる。が、離乳食を自分で作ったりまでは出来ず。下の世話、風呂、寝かしつけ、食事の準備や食べさせる事は出来る。子どもと外で遊ぶのが好き。

妻→仕事関係:会社員、30代、仕事はフレックスタイム・リモートワークは原則なし、海外担当して帰宅後に仕事することもあり。時短勤務なし。
家事スキル:高め、料理は駐妻時にレベルを上げる、上手。掃除のレベルは高い、家を綺麗に保つレベル高し。裁縫得意。
育児スキル:私が出来る事は私以上に出来る。楽しげなおもちゃを探してきたり、子どもが好きそうな場所を探すのが得意。が、風呂に浮いたうんちの処理、おねしょの処理などは苦手。家の中の遊びが得意。

家族構成・周りのサポート→私、妻、3歳と1歳の子どもの4人家族。妻の実家のすぐ近くを選び家を借りる。私の実家まで車で1時間くらいの県外。上の子は幼稚園、下の子は保育園で場所は別々。ともに延長保育有。

便利家具・サービス導入状況→ドラム式洗濯機、食洗器はあり。送迎用の電動自転車も購入。自家用車保有。ルンバは未活用。家事代行やベビーシッターの活用はなし(今のところ)。

この前提を頭に入れてこの後読んで頂きたい。いろいろやってみて思うけど、これは本当キッツイなと感じた。今回は個人の体験を中心に、次回のnoteはもう少し日本社会の課題に重きを置いて書き分けたい。

それでは行ってみよー!

ロマンの夜明けならぬ睡眠不足の夜明け

「いってきます」

息子を抱え出勤する妻を見送る私。その顔はフルマラソンを走り終わった後かのように疲れ、生気が失われていた。見送る妻の後姿もどこかくたびれて見える。

春先に妻が復職して1週間。夫婦の安息の時間はほとんどなかった。育児・仕事・家事・育児・仕事・睡眠・夜泣き・睡眠・仕事・育児・・・・・というエンドレスなゲームが開始したのだ。何を言っているか分からない人のために妻復職後の1日のスケジュールを見てみよう。

【柳本家のとある一日】()内は分担

6時半:起床、下の子を起こす、着替え(妻・私)
6時45分:下の子の検温と食事対応(私)、保育園の荷物準備(妻)
7時:息子の着換えと朝食(妻)、歯磨き、寝室の哺乳びん回収(私)
7時20分:妻息子を保育園に自転車で送迎(雨の場合は私が車で対応)
7時30分:子どもをドロップ後最寄り駅へ移動(妻)
7時35分:娘を起こし、朝食を取らせ自分も食べる(私)
8時:ゴミ出し(ゴミの日)、食器片付け、洗濯機を回す(私)
8時20分:娘の着替え、幼稚園の荷物準備、健康カード記入(私)
8時半:娘の髪の毛セット、歯磨き補助(私)、会社到着(妻)
8時40分:登園(私)、
9時00分:リモートワークで仕事開始(私)
12時:昼食、洗濯機から乾燥できない服を除き乾燥を回す(私)
   食洗器の食器片付け、余力があれば散歩、なければ昼寝(私)
13時:仕事再開(私)
14時:娘のお迎え(延長保育の場合16時)、義実家にて預かり(義父母)
17時30分:退勤、息子のピックアップ(妻、雨の日は私)
18時:義実家にて夕食(義父母)
18時20分:業務の切り上げ(私)
18時半:妻と息子帰宅、食事対応(妻・私)
19時:義母の作ってくれた夕食を食べる(妻・私)
19時半:食器片付け、娘を義実家から引き取り、息子風呂対応(妻・私)
20時:息子・自分の風呂上がりの着替え、歯磨き、寝室準備(妻・私)
20時20分:息子寝かしつけ(私・妻)、洗濯畳み、娘の風呂対応(妻・私)
20時50分:娘・自分の風呂上りの着替え、歯磨き(妻・私)
21時20分:娘寝かしつけ(妻・私)、保育園ノート記入(私)
22時:自由時間・読書・仕事が残っていれば再開(妻・私)
23時:就寝(妻)
23時半:就寝(私)
夜中:夜泣き対応(私)

って勤務時間ながーーーーい!!

改めて書きだしてマジか!!ってなるスケジュール。これが基本だけど、イレギュラーもある。朝7時とか8時に私にオンライン会議あって義父母に娘見てもらって会議後に急いで支度して幼稚園に連れていくとか、20時や21時に海外との会議があるので夕食スキップってことも高頻度ではないにせよ珍しくない。

改めてよくこのスケジュールこなしてきたなと思う。合間にTwitterでもしなきゃやってられないわけだw

それでも我が家は恵まれている。なぜなら頼るべき先があり、かなり実家に助けられているから。まず娘のお迎えとその後のケア。残念ながら娘は保育園に入れず、また延長保育する家庭が少ない幼稚園に入ったので周りとの関係も考慮して延長保育時間や日数は短くした。その分の負担が義実家の義父母に行く。そして子供の夕食を食べさせるだけでなく、私たち夫婦の夕食まで義母が作ってくれている。義父母にはもう頭が上がらない。本当に助けてもらっている。

このスケジュール通りでも相当ハードだが、仕事が夜に持ち越しになって21時半再開や22時再開から0時を回ることもある。加えて息子の夜泣き対応で2時や4時に起こされるので睡眠の質はすこぶる低い。妻はリモートワークできないので出社していて、それも妻の疲れを助長している。

家事育児はGDPにこそ反映されないし、会社にとって収益を生み出すものではないが立派な労働である。これらの目に見えにくい家事・育児も労働と加算すれば年間残業の360時間など余裕で超える。

冒頭のお互い疲れた、くたびれた感じになるのも納得である。この怒涛な毎日を過ごして土日まで耐える!というハードな一週間が続くのだ。しかも我が家はまだマシなほうで義実家のサポート、大人の手と目の数が多い。周りの大人のサポート無しに2人以上の子どもを育てている人たちには尊敬の念と共にどうやって生き抜いているのかと問いたくなる。

またイレギュラーとして子供の体調不良にも悩まされる。息子は娘よりも熱を出しやすく、2週間か3週間に1回は保育園から電話がかかってきて「息子さんを引き取りに来てください」と言われる。引き取った後ももちろん家でケアが必要なので仕事は滞る。病児保育も情報は知っていたが使い方をしっかり把握しておらずアタフタ。私がリモートワークでなくオフィスに行くときは義父にピックアップをお願いした。

加えて幼稚園や保育園の行事も突発的に発生するものもあり、またこれは親として出たいみたいなイベントがあると頭を悩ませる。依頼事項に関する納期が短いケースも多々ある。お世話になりっぱなしなので文句を言うつもりはないが仕事との調整が大変なのは想像に難くなない。

大人の都合で言えばこういった1日のスケジュールと日々の苦労なのだが、そこに子供の心理もからむ。娘の場合は登園する相手が私。でも他のお子さんはお母さんと一緒がほとんど。そうすると「お母さんと一緒に幼稚園行きたい」と言われてしまうのである。
また水曜日などは給食がなく半日で終わる日なのだが、義実家で娘が大荒れで「ママに会いたい!パパのとこ行く!」と泣いてしまう話を聞くと心を締め付けられる。繊細な子どもの心のケアをしっかりしてあげないといけない。18時以降の時間はなるべく子どもたちのケアに専念する。

そんなこんなを乗り越えて1カ月もすると娘も新しい環境に慣れて、幼稚園を楽しんでいる様子が見えてちょっとほっとする。

トラブルの夏!長い夏休み

こうして3カ月ほど怒涛のスケジュールをこなして頑張っているのだが、夏になると大きな問題があると改めて気づく。

それが夏休みだ。7月下旬から9月初旬まで約1カ月半の休み。娘の幼稚園は預かり保育をやってくれているのでフルで活用しても3週間ほど幼稚園に行かない日が累積する。

子供の頃は嬉しかった夏休み。しかし今は恐怖でしかない。子供が休みの間は家に子がいながらどうやって仕事を同時並行でしろというのか???

欧州に駐在していた時にもロックダウンで保育園が閉まり、子どもを見ながら仕事を在宅で実施した経験はある。しかしその時とて妻は復職しておらず家にいてくれたおかげで何とか分担はできた。

夏休みに関しても義実家そして我が実家に頼るのである。非認可の保育園の預かりサービスや息子の保育園での預かりサービスもあるが、また知らない場所で一から人間関係を構築しないといけない娘の気持ちを考えるとちょっと活用するのを躊躇した。それにしてもこれらのサービスもタダではないので(これは都道府県によるかもしれないが)預ければお金がかかる。でも義実家が対応してくれるということはその分を無償でカバーしてくれているのだ。

数日娘を義実家に預けて仕事をする中で、どんどん疲れていく義父母と体力の有り余っている娘。両社の体力は反比例しているかのように思えた。義実家のサポートがなければ娘の気持ちだなんだと言っておられず、強制的にどこかの預かり保育をしてくれる所を探すしかない。

そうして1週間程経つ内に事件が起きた。息子がコロナに感染してしまったのだ。

保育園からの電話を受けて大急ぎで引取りに行く私。そして翌日検査にて「陽性ですね」と告げられる。娘の預かり保育も、もちろん息子の保育園もストップ。しかも発熱の前日に食事をあげてくれていた義父も感染。妻も感染。家庭内隔離困難、ケアする対象が一気に増えて負荷が倍増。

幸運にも私と娘だけは症状がでなかったので(隠れ陽性かもしれないが)看病・対応したが、何とかなったのは最初の2日だけで、その後は仕事は成り立たず数日休みを取得した。

睡眠不足の朦朧とする意識の中で39度の高熱を出す息子の解熱対応、娘の食事の手配と適度な息抜きや遊び相手、妻のケアなどをしながら感染対策にも努める。尋常な負荷ではなかった。
義実家にも頼ることができず苦しい日々が続いたがお盆前頃には妻も息子も回復し、隔離期間も超えて通常の生活に戻れた。

お盆休みで家族のコロナケア疲れの回復した後、義実家ばかりに負荷をかけられないので数日だけだが私の実家にも娘を連れてきた。しかし私の休みは終わっているので父と母に娘を見てもらう間に仕事をするというパターンだった。
娘のためにおもちゃや子供用のプール、遊び道具を準備してくれたり、田舎に来たので今の家でできない体験をということで畑に連れていってくれたり、父も母も頑張ってくれた。
それでも義父母と違って普段接していないのでどうしても娘も遠慮したり気を使って、私にかまってほしいと仕事している部屋に入ってくる。生産性は落ちるが背に腹は代えられず対応する。昼間にあまり構ってあげられないのが申し訳ないので夜は時間をなるべく娘と遊んだりコミュニケーションに割く。

私の実家で過ごす数日が終わり、柳本家に戻りそしてまた義実家で預けられる娘。義父母もまたどんどん疲れが累積していく。私の仕事の山場もあり、妻のストレスが爆発。復職後1カ月に最低1回は結構大人げない夫婦喧嘩も勃発したがこの時も喧嘩が発生(もちろん私に非は大きくあるのだが)

そうして今また娘の幼稚園の預かり保育が再開し、義父母も負荷がガクッと下がって元気を取り戻した。長い夏が夜の涼しい風とともに終わりを告げている。

柳本家の共働き×育児という戦いはまだ始まったばかり。

このサバイバルを生き抜くために

家族には多様な形があり、また選択肢もある。しかし共働きと育児におけるサポートの選択肢は限られている。

共働きと育児を両立するには個人レベルでできることについていくつかの選択肢がある。

1つ目は時短勤務。我が家では復帰後に収入が減ることを忌避して時短勤務を選択しなかった。ただ、そのしわ寄せはサポートをしてくれる周りの人、つまり義実家にいっている。
時短勤務をしていたとしても我が家の場合は夕食の手配や突発の発熱時の対応、娘の幼稚園の後のケアなど実家のサポートなく対応するのは非常に困難だと感じる。それでも近くに実家がない場合は時短という選択肢を取らざるを得ないケースが多いと感じる。

2つ目は義実家なり実家なり頼れる先があるなら頼るということ。ただし相手にも相応の負荷をかけてしまうことを了承した上でお願いする必要がある。幸い我が家は義実家との関係も良好で義母のケアスキル・家事スキルが高いことで大変助かっている。
ただ、これも必ずしも実家を頼れる環境になかったり、そもそも頼る家族がいない場合もある。

3つ目は便利家電や代行サービスの活用。洗濯乾燥機、食洗器、ロボット掃除機等世の中には家事労働の時間をぐっと減らしてくれるアイテムがある。ファミリーサポートやベビーシッター、今通う幼稚園や保育園以外でも預かり保育を受けられる場合もある。ただし、これらで全ての家事育児の穴を埋められるわけでもない。また導入や継続的な活用には費用がかかる。時短との組み合わせも悪い。それでも必要な人には一考の余地がある。

4つ目は柔軟な働き方を提示・実現している企業を選ぶということ。幸い、私の職場は前述のようにフレックスタイムやリモートワークを導入済みで今の子育て・共働きニーズに合わせて働き方をうまく変えることができている。一方で妻の会社はそうした制度がなく、制約が多い。元々在籍する会社が時代の流れを受けて変化してくれれば良いが、そうなるとは限らない。より良い環境を目指して外に目を向けることも必要だ。

個人でできる努力についてはどうだろうか?いくつかあると思う。

1つ目は個人の家事・育児のレベルを日々磨くこと。我が家では完全なる分担とまではいかないが、家事育児の多くを私が実践できることが大きい。苦手なものももちろんあるが、場数を踏めば何とかなることもたくさんある。男性の育児・家事への参画が問われるがやってみると苦労とやりがいを見出せるはずだ。仕事もいきなりできるようになるわけではない。妻としか寝ないと思っていた子も寝かしつけを続ければ夫でもできるようになる。既成概念や思い込みを取り払う必要がある。カン・コツを覚えれば効率もあがる。まぁ子供たちがからむと生産性とか効率は基本吹っ飛ぶものだがw
職場や周りの声を聴く限り、今の30代は男性も少しづつこの領域に足を踏み入れているように感じる。

2つ目はパートナー間でしっかり苦労点や負荷を話し合う事。どちらか一方が我慢して我慢して我慢して溜めてるとすぐに破綻する。精神的な部分で参ってしまったり、体力的に続かなくて寝込んだり、いろいろだ。話し合って解決の糸口を見つける、上述のようなサポートを活用できないか検討する。

3つ目は仕事の生産性を高める、つまり時間当たりでこなせる仕事の量と質を高める、そしてより成果に結びつきやすい仕事に選択と集中をすることだ。時間的な制約がある方がかえって物事がはかどる。こんな経験をされた読み手の人もいるのではないだろうか?いつまでにとはっきり決まっていないことを頼まれると直前まで手を付けないしだらだらしてしまう。逆に今すぐに対応してと言われたものはササッと終わってしまう。家事育児という明確な時間の制約があることを活かして、どうすればもっと仕事を早くできるか、もっと質をあげられるかを日々考える。また先々のスケジュールをみて繁忙期や閑散期を使い分ける。こうした工夫が生み出される。


個人や家族単位での努力を超えて

ここまでチーム柳本家がどう頑張ってきたのかを振り返ってきたが、個人での努力や家族での助け合いだけではどうにも解決できないような問題も大きいと感じる。

例えば保活の大変さや、女性側が仕事を続ける上で並々ならぬ努力が必要なこと、また子育てに関する個人の支出が多く、お金がどんどん出ていくこと。さらに育児と共働きを実現するには大人の手と目の数が足りないこと。また仮に実家のサポートを得るために勤務地をなんとかしないといけない問題など。

日本社会は少子高齢化という国難の問題に直面しているにも関わらずあまりにも家族のこの問題に介入してこなかった。むしろ子供を育てる、共働きをする家庭への支援を家族の問題としてメスを入れず放置してきたように感じる。

だから今少子化は止まらず、シングルマザーは苦しみ、ワーママ・ワーパパは仕事・育児・家事に追われ疲弊し、子育て世代は子どもを生み育てることをコストと感じている。

今の少子化そして労働人口の減少に対応するためには家族での助け合いや民間での取組みでは不十分なのだ。政治や行政が現場の子育て世代の声を聴き、家族だけでは解決できないことを理解し、その対策を政策に反映していく必要がある。

次回のnoteでは日本社会の少子化や労働人口不足について、子育て世代の支援や共働きの促進の観点でどのような課題があり、官民で対応していくべきかを考察していきたい。

私たちにできることを一歩ずつ。

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