フリーランスになってから1年経ったので目標や反省点を振り返る

会社を辞めて作編曲家兼Webエンジニアとしてフリーランスで活動し始めてからちょうど1年くらい。
会社員の頃は「ちゃんと稼げるんだろうか」、「やっぱ1人でやるってしんどいんだろうか」なんて疑問や葛藤は尽きませんでした。
実際、まだ1年なので今後どうなるのかはわかりませんが世間ではリモートワークも浸透したこともあって、より『個人』の力が重視されるようになりフリーランスへの転身を考えている方も多いのではないかと思ったのと、単純な自戒を込めてまとめてみることにしました。

僕自身、完璧にうまくいっているというわけではないので『こうした方が良いよ』なんて無責任なことは言えませんが、どのような指標を持って取り組んできた1年だったのかなどを振り返ることで誰かの参考になれば良いなと思っています。

また、stand.fmという音声配信アプリで独立からぴったり1年の段階での反省なども喋っております。この記事と内容が重複する箇所も多々ありますがよければそちらもどうぞ。

1年目の仕事の指標

僕の場合はフリーランスになるにあたり、下記のようないくつかの指標を設定していました。一応、『1年目』としていますがそれ以降にも通ずる目標でもあるので結構しっかり考えたつもりです。

◆会社員時代から比べてあまりにも年収が落ちていなければOK
具体的には6割を切らなければOK

◆Web:音楽の仕事量を比較した際に音楽が3割以上になるようにする
実益は一旦無視で単純な工数として音楽に時間をかける

◆Web、音楽問わず、積極的に新たな技術に触れる
【Web】
JAMstack、mBaaS、TypeScript、ブラウザ以外のプラットフォームでの実装
【音楽】
バンド以外の歌モノ作成、BGMを最低10曲以上世に出す、Mix・Masteringを担当する

◆制作の仕事だけでなく自分アウトプット活動の時間も作る
ポートフォリオ、名刺などの最低限の営業ツールを用意。
記事、配信などのアウトプットの場を最低限3つ設ける
自身のメディアを作る

◆しっかりと時間を作ってフリーランスにおける各種インフラを整える
・独自ドメインアドレス
・契約書の作成
・タスク、工数管理フローの見直し
・経費管理フローの構築
・最適なデスク環境の構築

◆仕事の内容、売り上げを振り返り、具体的にどのように変化したかを考察ししっかりと対策を講じる
・月1ペースを目標
・良い悪いはともかく先ずは『なぜ』、『どのように』変化したのかをしっかり把握する
・年間目標に対して現在の達成率を可視化する

◆継続的にお仕事をいただけるために制作物に対して出来うる限りの価値を生み出す
決まった要件に対して求められるものをしっかり読み解いた上で、自身ができるor挑戦できる付加価値をつける

これらの項目を決めた理由としては先を見据えてフリーランスとして働くフローを確立させるという目的があります。
例えば収入だけを目標にするのであれば、Web側は音楽と比べると単価的に結構いただいているのでそちらの仕事を増やせばどうにでもなるところではあるのですが、それよりも今後2,3年〜もっと先も含めて自分がどのように働いていきたいのか、どのような目標を見据えて活動していくのかということにフォーカスしていくことにしました。

『制作の仕事だけでなく自分アウトプット活動の時間も作る』という部分がまさにそうですが、受託制作の仕事でビッシリ埋めてしまうとそれしかできなくなってしまうと思いました。
もちろん、お金は大事ですが長い目で考えた時に活きるものが重要。
例えば

【Web】ポートフォリオの作成、技術の勉強、個人サービスの作成
【音楽】自身のアーティスト活動としての楽曲制作、作ったことのないジャンルの作曲、ストックサービスへの出品

などがあげられます。
これらに時間を使ってもすぐにお金が生まれるわけではありませんが自分の引き出しや営業時の実績など長期的に役立つものだと思っているので、できる限り取り掛かるべきだと思っています。

それ以外で言うと仕事の仕組み作りにしっかり時間をかけることにしました。

◆しっかりと時間を作ってフリーランスにおける各種インフラを整える
◆仕事の内容、売り上げを振り返り、具体的にどのように変化したかを考察

あたりですね。
上記に挙げた以外にも仕事の仕組み作りでは音楽・Webの頻出技術のテンプレ作成、デスク環境の改善&増築、効率化ツールの導入など仕事をする上での雑務も含むので多岐に渡ります。整える段階ではぶっちゃけまだいらないものでも必要になってくる時はこういう細かいことに気を遣えないほど忙しい時だったりするというのは会社員の時に痛感していたのでこれらには力を入れておくべきだと思いました。
現時点で法人化はしていませんが、会社を作るつもりでこういうところをしっかりと進めていきました。このような取り組みを行なっていたことで救われる場面が既にいくつかあったので仕組み作りには今後もしっかり時間を使っていくべきだなって思います。

目標の振り返りと課題感の考察

という訳で僕の1年の仕事ぶりについてざっくりお話ししていきたいのですが、結果的には概ね良い感じです。
各項目についての具体的な反省は冒頭でも紹介した音声配信で話しているので割愛します。

というか本当はここにも書いてみたのですが10000文字を超えてしまい、流石に読むのもしんどいと思ったので泣く泣く削除しました。気になる方は音声でお願いします。

課題としては金額や工数の見積もりなど、主に仕事の交渉やディレクション能力が挙げられます。
元々それらの交渉をするポジションで会社員として仕事をしていた訳ではないので、その辺の感覚はほぼ0から学んでいったのもあり制作そのものより苦労しています。
正直な話、いくら好きなことを仕事にしているとは言っても金額やスケジュールが破綻しているととてつもなくしんどいです。

金額に関しては端的に言ってしまえば『その金額と同等の価値のものが作れる人』という評価をしていただいているとも取れますので、自身が持っているスキルや実際にかかる工数などをしっかりと把握しておかないとその辺りに齟齬が出てきてしまい実作業がものすごく苦痛になります。
これは何も自身が提示したよりも安く見積もられた場合のみではなく、自身の身に余るほどの高単価の場合も苦しいです。
それはつまり自身の保持しているスキルよりもさらに上のものを求められているというわけですから、その期待に答えるには相当量の仕事が発生してしまいますし、答えられない場合次の仕事には繋がらないという可能性があります。もちろん、ステップアップとしては踏ん張り時ではあるので一概に高く見積もられることは悪ではありませんがむやみやたらに『これは次に繋がるからできるかわからないけど頑張ろう』をやりすぎると身を滅ぼします。
そして重要なのは受注をした段階で『その内容や金額に納得をした』ということです。要は受けた後にグダグダ言ってはいけませんよね、その内容で良いって言ったじゃんって話しです。

スケジュールに関しても注意が必要です。
当たり前のことですがフリーランスになると自身のスケジュールは自身で管理しなければなりません。それはつまり捌き切れない量の仕事は受けてはならないということです。当たり前だろって思うかもしれませんが、『わざわざ自分を選んで依頼をしてくれた』という事実を前にすると全て受けてしまいたくなるのが人の性だと思っています。少なくとも僕はそうです。
もちろん、受けきれないほどの仕事をいただけるのはこの上なくありがたいことです。ですが、結局無理をしてパンクしてしまうと迷惑をかけるのはその依頼をしてくれた人です。スケジュール以前に対応範囲が不明瞭だったため後々工数がバカみたいに増えてしまったなんてこともありましたのでその辺はしっかりやりましょう。(自戒)
信頼できる同業などがいらっしゃる場合、それらを外注するのも手だとは思います。ゆくゆくは企業を目論んでいる場合などはむしろ1馬力で仕事を完結するより仕事を回す感覚を養った方が良い可能性もあります。

そしてフリーランスというのは受けたい仕事だけ受けられるというのが特徴だと思っています。選ぶ基準が金額なのか内容なのかはその人次第ですが自分で選んで受注をした段階で責任が発生するということです。
僕は前職でお世話になった方に退職直前に『フリーランスは仕事を受けないことが仕事だ』というアドバイスをいただきました。その時はあまり理解できていなかったのかもしれませんが、本当にやりたいことのために断る勇気が必要でそれも大事な仕事の1つなんだなぁと今は思っています。

生活の変化

生活は色々変わったし今後も課題が残る点です。

まず、僕の場合フリーランスになってからほぼ毎日仕事をしています。
現在までの明確な休日は友人と旅行に行った3日間だけです。
理由としては元々、仕事の時間関係なくスマホでもずっと技術に関して調べていたりするタイプの人間なのであまり仕事とプライベートの境目もなかったですし、会社員の時点で土日に個人で仕事を受けていたのもあり、「それで大丈夫だろ」って感じでそのような働き方を選んでいます。
あとは、ほぼ仕事の内容が成果主義と言いますか『期日までに終わらせればいつ仕事をしても良い』という案件ばかりをいただいているのでそのような生活スタイルで過ごせているという状況です。

しかし実際に休日がなくなるとプライベートという概念が完全に消滅しました。厳密に言うと僕の中ではほとんどのことが仕事に関連してしまっています。
例えばこのnoteの執筆も広い意味では自身の広報活動の一環です。毎日仕事なので自ずと喋る相手は仕事関連の人のみです。デスクから離れてもスマホでずっと仕事関連の調べ物をしています。
ギリギリ趣味として漫画を読むということが残っているのでなんとか自我を保っています。きっとこれがなくなったらどっかで発狂します。

他にも働く時間は自由なので徹夜→爆睡を繰り返して寝る時間は不定になり、日付という概念は消え、不摂生は続くし外は一切出なくなるしで精神的にも肉体的にもじわじわとダメージを受けます。会社に通勤するってそれだけで運動になるし人と関わるし健康的だったんだなと今なら思います。
特に目も当てられないのがタバコの本数が増えたことですかね。元々結構ヤニカスだったのですが1.5倍くらいに増加していて危険を感じます。
辞める気はないのですが抑える気は出てきたのでフリーランスになってすぐ喫煙管理アプリを使い始めました。

ただ元々寝つきが悪い上に気絶したように眠って全く起きないという睡眠偏差値が著しく低い人間なのでその辺が縛られなくなったのは嬉しいですね。もちろん健康的にもよくはないんですけど。
運動不足を懸念してペースはしょぼいですがジムにも通っているので運動量も含めて今後は健康面に気をつけていきたいです。

モチベーション

ここってなかなか難しいところですよね。
『好きなことを仕事に』をまんま体現しているので他の仕事と比べればモチベーションは元から高い方なのかもしれませんが、やはりやる気にならない時はあります。
まず第一に前述の仕事の金額とスケジュールに関してはしっかりと対策しておいた方が良いと思います。これをおろそかにするとモチベーションはぐんぐん下がります。

それ以外でいうとそもそもモチベーションに左右されるのはよくないなと前々から思っていたのである程度機械的にルールを決めていて、『1日最低でも○時間は仕事をする』、『1日の始まりにタスクを時間で割り振る』などの工夫で今のところはどうにかなっています。

僕の場合そもそもWebと音楽制作という大きく2種類の仕事がありますし、気分転換に他の仕事をするというのも有効でした。
ただその2種類に止まらず動画制作、ライティングなどの仕事にも手を伸ばしているので、あんまりスイッチしすぎると集中力が分散してしまい全然うまく行かないことも多々あります。なのである程度はまとまって仕事をした方が良いとは思います。ほどほどに。

あとは人と話すことを出来るだけした方が良いとは思います。
ただでさえ人と会わないのに新型コロナウィルスの影響で月に1,2回くらいになってしまいました。
やはり人と会って話をすることでモチベーションが上がったりすることが多かったので今後はその辺のメンタルケア的なことも考えていかないとですね。

まとめ

こうやって色々振り返ってみると制作の仕事をしているのに悩みは制作以外の面が多いですね。
フリーランスの仕事内容は多岐にわたる...というかその気になればなんでもできてしまいます。大事なのは何をするのか、どのような働き方を目指すのかをしっかり軸においてそれを曲げないように務めることなのかなぁと思います。

そして色々キツかったことの振り返りみたいになってしまいましたが、現段階では会社員を辞めてフリーランスとなったことに悔いはありません。
以前よりも圧倒的に自分のしたい仕事をできているのも大きいですし、より自身のために仕事をしている感覚が強いです。実績や積みたい経験の方向性など自分でハンドリングできるのでこの上なくやりがいがある働き方だと自負しています。

今後フリーランスになることを考えている方も今現在フリーランスとして働いている方もこれを読んで何かしら感じるものがあったら嬉しいです。

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