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霧とリボン|ティタオルのお話

 季節は巡り、7月になりました。皆様、お元気でお過ごしでしょうか。

 モーヴ街・2番地のオンライン・ギャラリー「MAUVE CABINET」では、6月のミッドサマーに画家・網代幸介の個展《ミス・ソーダのたのしいお茶会》をオンライン開催致しました。展覧会の様子は以下のリンク先でまとめてご覧頂けますので、ぜひ網代さまの不思議空想世界をお楽しみ下さい。

 本展では、網代さまのちいさな美術作品(フェーヴ)が封入された、霧とリボンとのコラボ紅茶セット《A HAPPY TEA-PARTY》も発売。お陰様で、大好評を頂いております。夏の一日、ナンセンスで贅沢な一杯をぜひお召し上がり下さいませ。

 お茶会にちなみ、様々なティウェアも発表——網代さま、モーヴ街・4番地の「レミーのアトリエ」、霧とリボンの三組による初コラボ商品「ミス・ソーダのたのしいティタオル」もお披露目されました。


網代幸介 & レミーのアトリエ & 霧とリボン
《ミス・ソーダのたのしいティタオル》

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受注生産となり【〜7月5日(日)23時】がご予約締切です

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 英国ティウェアの定番「ティタオル」をご存知でしょうか? 

 網代さまの個展会期中、ティタオルとの出会いや使用法などについて私個人の体験を綴ってみましたが、日本ではあまり馴染みのないティタオルを皆様により身近に感じて頂きたく、一篇のエッセイをお届け致します。

 執筆者は、幼い頃から海外生活(主に英国とイタリア)を長くされてきた、敬愛する音楽ディレクターであり、翻訳や通訳のお仕事にも従事されている江口理恵さま——霧とリボンでも企画展のたび、翻訳のご相談や英国文化についてご指南を頂いています。
 素敵なエッセイをぜひご高覧下さいませ。

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江口理恵|えぐち・りえ
6歳からの海外生活で触れた欧州のアートに感銘を受け、クラシック音楽をより多くの人に広めたいとの想いからレコード会社に入社。海外渉外業務を経て制作ディレクターとして数々のアーティストを担当。ミリオン・ヒットCD「ベスト・クラシック100」シリーズを担当し、「日経ウーマン ウーマン・オブ・ジ・イヤー2006」受賞。現在はフリーランスの音楽ディレクターとして活動する他、音楽関連の翻訳・通訳業務を行っている。

Tea Towel ――英国レディのアフタヌーンティ、“陰の主役”――
江口理恵

 英国のどの家庭のキッチンにも常備されているティタオル。大判のしっかりしたリネンやコットン製の英国版布巾のことです。
 ティタオルは18世紀に生まれ、19世紀のアフタヌーンティ文化の開花と同時にヴィクトリア朝の英国で広く使われるようになりました。最も上質なのは、今では希少なアイルランドのリネンを使った厚みのあるもの。
 お皿やグラスを拭くだけでなく、スコーンなどの焼き菓子をお客様にお出しするまで包んで温めたり、折りたたんで鍋敷きや鍋つかみとしても重宝します。サラダ・スピナーのかわりに、洗った葉物野菜やハーブなどを包み、パンパンと軽くたたいて冷蔵庫に入れると、驚くほどパリッとさせることもできます。

 ヴィクトリア朝のお茶会を開催する貴族のレディにとって、ティタオルはキッチンで活躍する、まさに陰の主役で、いかに質のよいものを常備するかが大きな関心事でした。レディの嗜みであった刺繍の練習にもうってつけで、お友達と交換したりして楽しんだそうです。画家のゴッホは、キャンバスが足りなくなると、手もちのティタオルに直接絵を描くこともあったと言われており、様々な使い方が可能なのです。

 私は6歳から大学に入るまでのほとんどの時間を英国とイタリアで過ごしたので、ティタオルは馴染みが深く、今でも毎日愛用しています。
 小学生の時に友だちの一般家庭のお宅でハイティーをご馳走になった時、大きなクリーム・ケーキやサンドイッチのトレイに、青と白のストライプの定番のティタオルが敷かれていたのを今でもよく覚えています。
 大人になってからは、音楽やアートが大好きなので、英国に行くとオペラやバレエ劇場、美術館のショップなどで、ロゴ入りの美しい色合いのティタオルをお土産として購入したりしています。
 ティタオルはかなり丈夫で、何度も洗うとクタっとなりますが、それもまた使い易く、まるで“ライナスの毛布”のように、手放せなくなります。でもそろそろ、今のティタオルも限界なので、霧とリボンさんが新しいティタオルのシリーズを展開されると聞いて、狂喜乱舞しているところです!

 ティタオルがアフタヌーンティの「陰の主役」であること——夢と妄想が広がりますね。そして、「拭く」ことが主の日本の布巾とは異なり、キッチンやテーブルでの役割がとても広いことを知り、素材にこだわり、絵柄のバリエーションが豊富なことにも納得です。

 「ミス・ソーダのたのしいティタオル」、日々のキッチンとテーブルのお仲間にいかがでしょう?

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 霧とリボンでは今後も、オリジナルや作家さまとのコラボで、ティタオルはじめ、ご自宅でのティタイムや読書時間を彩るティウェアを充実させていく予定です。楽しみにお待ち頂けましたら幸いです。

 英国旅行で体験したアフタヌーンティのお話を最後にお届けします。確かに、スコーンが清冽な白のティタオル(or テーブルナプキン?)で包まれてきました。

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 昨秋、ロンドンのホテル「THE BLOOMSBURY」内《DALLOWAY TERRACE》にて、ダロウェイ夫人気分で楽しんだアフタヌーンティ。2段目にあるスコーンが包まれていました。ホカホカでした。

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 こちらは、ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』のモデルにもなった英国の作家ヴィタ・サックヴィル=ウェストの終の住処、シシングハースト・カースル・ガーデンで購入したティタオル(コットン100%)。ヴィタの書斎のあるエリザベス朝期の塔などがプリントされています。

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 この日は、カンタベリーから向かう列車が強風で止まってしまい、辿り着けるかどうかわからない不安の中、幸運にも到着できたひときわ思い出深い一日——いまでもヴィタの書斎に漂っていた、古い書物の乾いた匂いが鮮やかによみがえります。

 カンタベリー大聖堂で購入したティタオルは、張りのあるコットンリネンの混紡素材。リネンの野趣が良い感じです。

カンタベリー大聖堂

 スモーキーピンクがモダンなsketch londonで頂いた、大変美味なるアフタヌーンティでもスコーンが包まれていましたが、別皿で出てきたスコーンを撮影し忘れてしまいました・・・

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 殊に、ひとつひとつ繊細な味わいの凝ったサンドウィッチが絶品! 
 モダンな内装やスタッフのスポーティな制服がいかにもロンドン、お会計時のレシートがサンドペーパーの封筒に入っていたりと、全てが素敵すぎる場所でした。

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 ロンドンのフォートナム&メイソンで購入してきたアブサン色とモーヴ色のティタオル。シノワズリーのムードもあり、タペストリーのように飾っても素敵です。

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 工夫次第で多彩な用途に活用できるティタオル、ぜひご自身だけのお気に入りの使用法を見つけて下さいね。

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