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事前予告が大切な話

院長先生。
「結果は後からついてくるからがんばれ」と言われたことはありませんか?

ある意味正解です。
ただそれは貴方が医師だから。

たとえ話ではありますが、こんな話があります

今、パンを1つ食べることができます。でも、明日なら2つ食べることができます。どちらを選びますか?

たとえ話

どう考えても明日食べたほうがよくない?

そう思えるのは、今、パンを食べる必要がないからです。
さっきご飯を食べたばかりとか、今すぐパンを食べなくてもとか、明日もらってから食べればいいとか、そもそも必要ないし、とか。。。
ですが、世界には「今パンを食べないと明日食べられるかどうかわからない」という人もいます。

貧困が原因だったりもするのですが、幼少期に「今がまんしたらあとで買ってあげる」と言われたのに買ってもらえなかったとか、「いい子にしていたのにウチにはサンタがこなかった」とか。
要するに
未来への希望がないので「今」でしか判断しない
ということです。

院長先生は私たちをどこへ連れて行こうとしているのか

例えば、院長先生もがんばって、職員もがんばって、クリニックが成功して、その先に私たちにはどんなメリットがあるのか?を、説明したことはありますか?
未来への希望 がなければ  なんて待っていられないんです。

医師は「国民皆保険制度」に少なからず守られています。全国一律で同じような治療を行うことが、医療法で定められています。制限も多いですが。。
そのため、競合他社に食い散らかされるようなことは少なく「ある程度働けばく、いっぱぐれることはない」ということです。
医師の最低時給を見ると、働く場所や時間を無茶苦茶いわなければ、最低でも時給1万円が設定されています。これは、まぁ普通に働けば、それくらい収益が上がるように保険制度で守られているということでもあります。
それでも「開業」といういばらの道を選んだ院長先生方は「やりたいなにか」があったことでしょう。

ですが、職員はどうでしょうか。
東京都の相場を見れば、医療事務は1100円~、看護師は1700円~、その他の国家資格は1500円~。いいとこ年収300~350万円程度です。

新卒であっても、キャリア採用であっても、です。

院長先生は、すでにパンを持っています。そして、より多くのパン・もっといいパンを探して開業されたことでしょう。
ですが、職員はパンを今持っているでしょうか。

キャリア採用に至っては「もっとパンがもらえると思ってたのにもらえなかった」から転職し、先生のクリニックでは「もっとパンがもらえるはず」と思っているのではないでしょうか。

事前予告の重要性

事前予告とは、あらかじめ起きるであろうことを、知らせておくことです。つまり「~してくれたら~できるんだよ」と、先にお知らせすることです。
要するに、「がんばったらパンをたくさんあげるよ」ということです。

欲しいパンは職員一人一人違います。昇給だったり、賞与だったりもするでしょうし、場合によっては休暇だったり、推し活ができることだったり、役職だったり、責任ある仕事だったり。

つまり、業務に対し、求めるレベルと、責任と、評価を、事前に予告するのです。「なるほど、こうすれば評価してもらえるのか」と、院長先生のビジョンと職員のビジョンを一致させる必要があります。

ただし、、、それだけではダメです

人事評価は、普通半年に1回。昇給ともなれば1年に1回が限度でしょう。1年頑張らないと評価されないとしたらどうなるでしょうか。

病院看護実態調査
1年以内の退職 新卒で11%、既卒16%
URL:https://www.nurse.or.jp/home/assets/20230301_nl04.pdf

公益社団法人 日本看護協会

クリニックの離職率は、1年目の退職率が20%近く、10人採用したら、1年たたずに2名辞める計算です。
職員の「今月いっぱいで辞めます」宣言から大慌てて院長先生が業務の合間をぬって募集して、何とか1名補充して、やっと落ち着いたころにまた1名辞め。。。
また採用しては、また辞め、、近隣から採用できなくなり、採用難易度はどんどん上がり、そのうち紹介業者に頼ることになるでしょう。
年収300万円の医療職を紹介業者から採用すれば90万円が相場です。それが半年で辞めるを繰り返したらどうなるでしょうか。職員の昇給などしている場合ではなくなってしまいます。
恐ろしいですが、統計上、そういう数字がでています。
なので、1年たったら評価では遅いんです。

今月~~を達成したら、来月みんなで~~を食べに行こうを毎月やる

とかでいいんです。とにかく短いスパンで、小さな評価をしていかないと、初回採用1年退職スパイラルから逃れられません。

いつもありがとう、みんな大切だよ

ということを伝え、声に出して、態度で示して、評価していく必要があります。

事前予告について

職員を守り、良い医療を提供して、地域に貢献するために、事前予告が必要だということお分かりいただけたでしょうか。
一昔前の「俺の背中についてこい」スタイルでは、もう信用できなくなってしまっています。
なぜなら「俺の背中についてこい」スタイルの昭和の先生たちは、経営の勉強などしなくても十分に収入が得られた世代です。なので「評価」もしなければ、「昇給」もせず、「賞与」も大してださなかったでしょう。
もう言葉だけの「明日にはパンを二個あげるよ」では信用できなくなってしまっているのです。
「今すぐください、くれないなら辞めます」と言われる前に何らかの対応をしてください。

優良人材に長期勤務してもらうために、しっかり宣言し、院長先生についていったらそこに何があるのかを、しっかり事前予告しましょう。


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