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課題解決の鍵は的確なインサイト把握―組織改革を成功させるための調査とは

あらゆる観点から昨今の企業は改革を迫られていますが、その改革を成功させるためには、現場で働く人々や、ステークホルダーへの深い理解が必要不可欠です。改革方針の柱となる社内外の人々のインサイトを発見し的確に意思決定をするためには、どのような調査方法が適切なのでしょうか。従来の課題を振り返るとともに、今後の展望を見据えて解説します。

DX推進、SDGs対応――その中心は「組織」と「人」

昨今の企業は、あらゆる観点から抜本的な改革を求められています。DX推進やSDGs対応といった言葉が先行することで、付け焼き刃的な対応を急いでしまう企業も多いでしょう。実際のところ、持続可能な企業として改革が成功した事例は、国内にそう多くはありません。
これほど時代の変化への対応が迫られていても、日本企業の改革が停滞してしまうのはなぜでしょうか。その要因の一つとして、改革の焦点を誤って定めていることが挙げられます。
いかなるテーマに応じた企業改革でも、その中で意思決定をし、実行の担い手となるのは組織であり、一人ひとりの「人」です。また、そもそも企業改革が必要となる背景も、「時代の変化」という言葉の裏側には顧客ニーズの変化や行動変容、人々の意識の変化があります。
つまり企業改革を始めるときは、トレンドワードに注目する前に、まず「人」の本質的な意見と向き合う姿勢が必要不可欠です。一方で、この「人」の意見を抽出し、課題を見出すプロセスは、真摯に行えば行うほどリソースを割きます。

インサイトを把握する従来の手段の課題

先ほど挙げた「人」の意見と向き合う手段について、まず従来の一般的なアプローチを振り返ります。

1. 定量調査

数値化できるデータをもとに分析を行う定量調査は、全体像の把握や変化の推移、対象別の比較などに優れた手段です。例えば、社内で行った業務効率化のための施策が実際どれほど特定の業務時間削減に役立ったか、あるいはリニューアルした商品パッケージが顧客の購買率にどれほど高まったかなど、仮説検証の際に説得力を持ったファクトを得られるのが定量調査の強みです。

一方で定量調査は、インサイトの把握という観点で不十分な手段でもあります。先の例について言えば、その業務効率化の施策が一人ひとりの従業員にどんな意識変化をもたらしたか、あるいは商品パッケージの変化がなぜ購買率を高める要因となったのかなど、数値からは読み取れない疑問が残るからです。

対象の意識構造や思惑を指すインサイトは、定性調査を行うことによって初めて明らかになる領域とも言えるでしょう。

2. 定性調査

定性調査は、こうした定量調査の至らない領域をカバーできる調査法です。個別のヒアリングなどを通じ、一人ひとりの行動変容の理由などを解釈します。定性調査を行うと、多くの場合は潜在的ニーズや課題といった新たな発見がもたらされ、それが次なる打ち手のヒントとなります。

しかし、この定性調査を徹底するためには極めて時間がかかると共に、非効率的にならざるを得ないことが課題です。また、リサーチャーの主観や、インタビュー対象の抽出方法によって、調査結果の解釈に差ができてしまいます。この解釈差を精査するために、先に述べた定量調査の結果が役立つこともしばしばあります。

両調査から結果を出すのは至難の業

したがって何らかの施策や改革方針を模索する場合、定量調査と定性調査をかけ合わせた課題抽出を行うのが最も効果的です。一方で、両者の適性を理解し、最適解を導く調査を実施するためには、優れたデータ人材が求められます。企業全体を改革するという抽象的かつ明確な答えの見えづらい領域のための調査であれば、質問項目やデータ分析の切り口を見出すことがなおさら困難です。

このような現状から、企業改革において「人」から生まれるインサイトの発見は必要不可欠である一方、それを適切に見出す手法は従来の調査では不十分という課題が浮かび上がります。

新たな調査手段の模索と展望

インサイトを発見するための新たな手段は、主に二つの方向で模索されています。

まず、調査プロセスをアウトソーシングする方法です。先に述べたような優れたデータ人材が集まる調査会社や、ユーザーインタビューを得意とする業者に依頼するなどの方法を取れば、調査結果の確度は高まります。しかし調査の方針に紐づく問題提起の軸を誤ると、予算を遣ったにも関わらず本末転倒となるので、依頼したからといって必ずしも調査が成功するとは限りません。

もう一つは、定量データだけでなく定性データも扱えるデータ分析ソリューションを活用することです。AI技術などを取り入れたツールを用い、非効率的なプロセスを自動化することで、インサイトを効率的かつ客観的に得ることができます。ただし、顧客データについては同様の成果をもたらすソリューションが既にいくつか登場していますが、企業改革などにも適したツールという観点では、最適なものは現状リリースされていないようです。

補足として、今後の展望も踏まえるとこの二択で悩む必要はないかもしれません。例えば、人の思考に基づいた定性データ分析を専門領域とするテック企業が、調査軸となる問題提起から調査、そして結果分析までを網羅するソリューションをリリースする日はそう遠くないはずです。VISITS Technologiesもまた、ここまで解説してきた企業課題を解決するためのソリューション開発に勤しんでいる企業の一つです。

VISITS Technologiesは、デザイン思考など定量化が難しい領域において人材評価が可能な独自のCI(コンセンサス・インテリジェンス)技術を有しており、その技術を活用したソリューションをさまざまな形で提供しています。現在開発している「VISITS forms」は、まさにイノベーションを興そうとする企業が業務改革や組織開発、新規事業創造といったあらゆる領域における意思決定を加速するために次世代型アンケートツールです。定性データをもとに経営層と従業員の間にある価値観のズレを導き、生産性向上のために自社が何を優先すべきか、どんな打ち手を取るべきかを提案します。

定量的な網羅性を維持しつつ、定性的な潜在ニーズを発見する。そんな理想の調査を実現する手法は、先端のテクノロジーから生まれるでしょう。

的確なインサイトを発見し、改革に役立てよう

従業員のインサイトは、企業改革において成功の鍵を握る重要な要素です。抵抗なく現場に浸透する改革を実現するためには、社員が自社に対して何を思い、重んじているかを明らかにする必要があります。その手法の選択は決して容易ではありませんが、先端テクノロジーを用いたツールを活用することで、企業課題の多くを解決へと導くことができるでしょう。

VISITS Technologiesの新ソリューションに興味を抱いた方は、こちらをご覧ください。


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