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「本質に耳を傾け、イラストレーターと共に伴走をする」〜横田奈那子

こんにちは。ヴィジョントラックメディア編集部です。前回に引き続き、ヴィジョントラックで働くイラストレーターエージェントのインタビューをお届けします。そもそも、「イラストレーターのエージェントって何?」そんな疑問を持つ方もきっと多いはず。それぞれのバックグラウンドや仕事に対する想いを知ることで、イラストレーターエージェントについて興味をもってもらいたい。そんな願いでスタートしたシリーズです。

今年でエージェント6年目に突入する横田さん。vision trackに入社するまでの経緯や、エージェントとして大切にしていること、仕事の楽しさややりがいを語っていただきました。


ーー子どもの頃になりたかった職業はありますか?

小学校の頃は絵を描くのが好きでイラストレーターになりたかったのですが、言うのが恥ずかしくて当時は保母さんになりたいと言っていた気がします(笑) 父がものづくりが好きな人で、机や庭にブランコを作ってくれたり、バイクのモンキーを分解して一から組み立て直したり…休日はとにかく何か手を動かしている人ですね。母も割と絵が得意だったりして、そういう環境の中育ったのもあり、何かを自分で作るということは身近にあって、自然とクリエイティブに興味があったのかもしれません。

挫折を経て、自分の原点に立ち戻る

ーーヴィジョントラックに入る前はなにをやっていましたか?

高校を卒業後は、デザインの専門学校に進みました。最初はイラストレーションコースを受けたのですが、進めるうちにこれは仕事に繋がるのかな…と疑問が湧いて、絵は続けていましたが、就職を見据えて2,3ヶ月でグラフィックコースにうつりました。その後、輸入雑貨の会社に入社して店舗勤務を経験したのち、社内にデザイン部があったので部署を移りインハウスデザイナーとして働いていました。商品のカタログやパンフレット、店舗の販促物などを制作していたので、どういう表現をしたらより分かりやすくて見やすいものになるのか、日々試行錯誤しながら制作していたのを今でも覚えています。

ーーヴィジョントラックをなぜ受けようと思ったのですか?

インハウスデザイナーを退職して、その後は全く違う仕事をしていたんです。当時はデザインの仕事に疲れてしまって…でも違う畑を味わうにつれて、やっぱりクリエイティブに関わる仕事が好きなんだなと自分の気持ちに気づいて、またそういった職に就きたいなと思うようになりました。

転職を考えて求人を探しているなかで、そこでヴィジョントラックにたどり着きました。自分が手を動かして作るのではなく、サポートするという立場でクリエイティブ制作に関わる「イラストレーターエージェンシー」という仕事があるんだ!と驚いたのを覚えています。
ヴィジョントラックを調べていくうちに仕事内容にすごく興味が湧いて、速攻応募してましたね(笑)他の企業も受けてましたが、ヴィジョントラックに絶対入りたいと思ったので、最終面談では自ら企画を作ってプレゼンをしました。その企画書を作っているときもとても楽しくて、あの熱意があったからこそ、今こうして働けてるんだなと思います。

ーーサポートする側に行こうと思った気持ちの変化は?

デザインをひと通り経験した中で自分のレベルも分かったので、そこで作り手になることに見切りをつけ、これまでの経験を活かして、作り手の悩みを解決できるようなサポートする側になりたいと思いました。
エージェントの仕事って、今まで見ていたイラストレーターさんと間近で仕事ができることがすごく魅力的で、自分が少しでも役に立てたらそんな嬉しいことはないですね。

東京オフィス

相手の本音・本質に耳を傾ける

ーー横田さんの雰囲気や対話の上手さの中にはエンタテインメント性を感じるんですが、心がけていることはありますか?

お互いに歩み寄れる関係性を築いていくことが何より大事なことだと考えています。エージェントの仕事はイラストレーターを見出し、一緒に伴走しながらその人の価値を高めて、活躍の場を増やしていくことなので、まずは素敵なイラストレーターがいるってことをより多くの人に知ってほしいんです。
相手の考えや文脈を知ることで、自分も他の人に「もっとこの人のことを知ってもらいたい」とオススメしたくなる、そういった気持ちを自分の中に芽生えさせることが大事というか、なのでまずはイラストレーターの文脈を深く知るためにも、フラットに話せる雰囲気をつくるように心がけています。
担当しているイラストレーターさんと定期的にmtgをしてるんですが、仕事の話だけだと中々本質的なところが引き出せないところもあって。趣味や世間話をする方が、ぽろっと話してくれた中にヒントが隠れていて「こういう仕事の向き合い方をしているんだ」「今こういうことが不安に感じているんだな」とか、さりげない言葉が課題解決につながっていくんです。なので一緒に伴走する中で、自然体でいることを一番大事にしています。

ーー実際にそれを実感できたことはありますか?

最近担当になったイラストレーターの岡田丈さんと、タッチの方向性を考えたり、仕事の取り組み方を見つめ直したり、今後の活動についてよく話し合っています。mtgではたわいもない話をよくするのですが、肩の力を抜いて、固い仕事の話もくだらないことも話せる関係性はお互いに心地よいなと感じています。
岡田さん自身とてもやる気のある方で、真剣に向き合ってくれるので、こちらも頑張りたくなるし、お互いにエンジンがかかっている状況が心地よいです。ある時岡田さんに「ご一緒する中で仕事のモチベーションも上がってきたし、新たな気持ちで結果が残せるように頑張っていきたい」とおっしゃって頂けたのは、とても嬉しかったですね。
こういう風になってくれたらいいなとゴールをおきつつ、余白を残しながら、気づきを与えることでどんどん良いものが作り上げられている気がします。正解を伝えるよりも、いかに気づくヒントを与えることが重要なんだと、日々の中で気付かされました。

mtgの中で生まれた新しい作品 / 岡田丈

ーー「気付きを与える」ことは元々大切だと思っていたんですか?

イラストレーターさんとの取り組みを進める中で大切な事なんだと気づいていきました。最初はうまくいかないこともあって、作品作りも明確にありすぎちゃうと、筆が進まなかったり、アイディアが出てこなかったり、作る側から楽しくない感じが伝わってくる状況は良くないなと思って…そんな状況を作ってしまって反省ばかりしてましたね。
自ら手を動かしたい、やってみたいと思えるような空気感を作ることがいかに必要なことなのか、やっていくうちに気づいていきました。言い方や伝え方もイラストレーターさんに合わせて工夫しています。

エージェントという仕事のやりがい・楽しさ

ーーエージェントとして6年になりますが、どうですか?

エージェントの仕事を改めて振り返ると、マルチタスクだなとすごく感じますね(笑)案件をやって、交渉をして、担当アーティストさんとの取り組み、PR、発掘、イベント、スクール…業務を見直すと多岐にわたって経験できる仕事だなと思いますね。最近はそれが「エージェント」という仕事のかたちなのかなと思っています。
エージェントの仕事を追求していけば行くほど、挑戦したいことも増えるし、色んなことを経て、エージェントになっていくのかなと。
イラストレーターとの取り組み、顧客さんもそうですが、相手のことを深く知って一緒にゴールに向かっていく。そこがすごく大事な要素だと思っています。案件では、お互いが気持ち良くゴールに迎えるように、相手がイラストでどのような表現したいのかを察して、進行していくことを心がけています。

顧客様向けに開催したイベント「vision track PRIVATE EXPO」
左:イラストレーター向けのスクール「White」 右:Vantanデザイン研究所 授業の様子

ーー売れるイラストレーターの見出し方が上手いと思うのですが、どういうことが役に立っていますか?

イラストレーターを発掘するという意味では、常にアンテナを張って物事を見ていますね。これは職業病あるあるですが、外に出かけた時に街中で掲載されているイラストの広告はついつい目がいってしまいますね。世の中がどんなイラストを求めているのか、自然とチェックしている気がします。イラストレーターを見出す中では、これから伸び代を感じるポイント3つを見て判断していることが多いかもしれません。

・アイデンティティがその人の中から感じられるか
・自分のフィルターを通して、時代の流れを表現できる人かどうか
・相手が求めているものを素直に受け入れイラストに落とし込めるかどうか

アイデンティティを感じる人って、何かしらこだわりを持っていて、人をときめかせる力があるというか、その人の根源にあるものが人を魅了してファンが増えていく。そういう方はなんとなくカリスマ性を感じますよね。
またイラストのお仕事は、どれだけ相手のことを考えて、自分のイラストを変換できるのか、そういった柔軟性も求められます。時代の流れを読んで、自分に求められているものが何なのか、俯瞰して見れる能力、柔軟に対応できる力が重要な要素だと思っています。そういった点を持ち合わせている人は、今後伸びていくんだろうなと思いますね。

ただ正直言うと、「売れるかどうか」という予測は難しいんですよね。でもそのわからなさが面白いというか。前から注目していた人が大きな仕事を手掛けていた時は、めちゃくちゃ嬉しくて、影で勝手に喜んでいます(笑)

ーーどんなイラストレーターとお仕事をしたいですか?

語りたくなるイラストレーターさんとお仕事したいですね。
個人的にいいなと思えるイラストレーターさんって、その人のことを語りたくなるような方だと思うんです。アイデンティティがあったり、お茶目さがあったり、真面目で誠実さを持っていたり…その人の持つ魅力が感じられて、自然とファンになってしまうような、そういう方とお仕事をすると自然と仕事もスムーズに進んでいることが多くて。お仕事も対人間なので、単純にイラストの良さだけではなく、お互いに「良い物を作るぞ」という同じくらいのモチベーションを持ってご一緒できるとテンションが上がります。

新しいコトが生まれる環境作り

ーー今後挑戦してみたいことなどはありますか?

担当イラストレーターさんとの取り組みの中で、色んな形で成長や変化する瞬間に立ち会えるというのがエージェントの醍醐味の1つでもあるのですが、そういった過程の中で、他の人にも作品を見てもらえるような場づくりをしていけたらなと前から思っていて。場所を作ることは実現的に中々難しいことではあるのですが、イラストレーターの変化を色んな方に見てもらえるようなギャラリー的な場所が作れたら楽しそうですよね。
気兼ねなくフラッと立ち寄れて情報交換したり、そういう場所があるとまた新しいものが生まれやすかったりすると思うので、そういった瞬間をシェアできるリアルな場をいつか持てたらいいなと思っています。

millitsukaさんに描いていただいた「vision track5年後の未来図」

イラストに関するお問い合わせは
info@visiontrack.jp
http://www.visiontrack.jp/

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