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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (6)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第2楽章「PRESTO」(続)

#28 満月の竹林

弦楽器は放っておくと弾きっぱなしの譜面になりやすいので、意識して休みを入れるようにしています。
大抵の場面ではどこかしらのパートの弦楽器は鳴っているものなので、短い時間でも全部休みにすると、ハッとするような感じになりますね。


#29 始原のビート ~ Pristine Beat

原曲がドラムを主軸に据えた曲なので、短い時間ではありますが、打楽器メインで組んでみました。
初期版では後半部はもう少しおとなしかったのですが、

最後の最後までドカスカ言っていたほうがカッコいいので、煽りに煽りまくって完成版(17:26~)の形になりました。


#30 幼心地の有頂天

メドレーの設計段階で五度圏に曲を当てはめていたとき、このb-mollに合うものが全然見つからなくて困ってしまったんですよね。
原曲にb-mollがなかったわけではないのですが、他の楽章で使いたい曲だったり、短く切り取って使うのには向かない部分だったりして。

妥協して曲順を入れ替えるしかないかなあ、と思いながら星蓮船以前で前作に使ってない曲のリストを見ていたら、「有頂天変 ~ Wonderful Heaven」と曲調が被るからと言う理由で「幼心地の有頂天」が残ってて、これのサビ後半がちょうどb-mollだった。
「あったー!」って感じで歓喜しながら曲順を埋めたのを覚えています。

さて、この曲の初期版は、低音がしっかり表拍に入ってて「地に足のついた」オーソドックスな感じでした。

前の曲がドッカンドッカンやってるのでもっと開放感が欲しいよねってことで、コントラバスを抜いて浮遊感を出したのが、完成版(17:34~)ですね。


#31 パンデモニックプラネット

ここは下書きから完成までの過程がわりといい感じに残ってたので、それを出してみます。

まずはほぼ耳コピしただけの段階で、とりあえずバイオリンにメロディ、チェロにベースラインを書いたもの。

メロディの音取りは終わっていますが、アーティキュレーションはまだ決まっていないですし、ベースラインは一応原曲をなぞっていますが、だいたいあとで変更されます。
原曲の内声や装飾音は、アレンジで必要なら一緒に音取りしますが、今回は使わないつもりだったので取ってないですね。

次の段階は、弦楽器を埋めて、キーとなる管楽器に音を入れたもの。

アーティキュレーションが定まって、ベースラインもだいぶ変わりました。
管楽器はトロンボーンが入っていますが、金管から入れるのは珍しいパターンですね。大抵は木管から埋めていきます。大きい音を先に入れてしまうと、細かいところが分からなくなってしまうので。

あとは残った管を埋めて、打楽器をつければ完成版(17:52~)です。
打楽器はリズムパターンが支配的なときは小太鼓などを先に入れることもありますが、だいたい最後ですね。


#32 アンノウンX ~ Occultly Madness

五度圏を一周し終わって、ふたつめの「山」です。
前作を意識したオーケストレーションというのは随所にあって、これの最初(17:59~)が木管だけになるのも、「いったん抑える」という展開の別解ですね。
向こうは下でしたが、こっちは上、というわけです。

後半部分(18:15~)、一回目はメロディを普通に表拍でやって、対旋律が裏拍に入ります。4小節遅れですね。

二回目はこの対旋律を受ける形で、メロディが裏拍に移動します。ベースラインは表拍に残るので、それとテレコになっていますね。
短調のわりにはメジャーコードが多い進行なので、明るい行進曲風な感じになりました。


#33 桜色の海を泳いで

次の調遊びに備えた小休止的な部分。
ビオラにメロディが来る、貴重なシーンでもあります。

後半の息の長いメロディ、こういうのは好きですね。
白玉ばかり続いていると嬉しくなります(笑)


次回に続きます!


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