「幻想郷世界 II」こぼれ話 (5)
続きです。前回はこちら。
第1回から読まれる方はこちら。
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第2楽章「PRESTO」(続)
#20 年中夢中の好奇心
調遊びゾーン1回目。まずは五度圏ですね。
前作もそうでしたが、シャープからフラットに行くというコンセプト上、最初はシャープの多い調から始まります。今作はgis-mollからですね。
「妖精大戦争」の曲は、雰囲気が軽めで使いやすいですね。
小数点作品では珍しく、ほぼ全曲使いました。
#21 マジカルストーム
この曲はちょっと暗め。
低音にコントラファゴットを使うアイディアは、「幻想郷交響楽団」の「演奏会2018」より、「木管五重奏のための東方輝針城 ~不思議な不思議な奏者達~」を参考にしています。
最後の低音cisは、初期版だともう少し短かったのですが、
余韻を残したいバランスとの兼ね合いで、完成版(16:14~)ではあと1秒伸ばしています。
#22 山奥のエンカウンター
このあたりの曲はオーケストレーションも単純なので、わりとサクサク決まっていきました。
木管に速いパッセージを長く吹かせるのは負担が大きいので、こういう目立つ場面では1番と2番に交代で割り振っています。
これは今回頻用したテクニックですね。
#23 門前の妖怪小娘
この曲では保続音のfisがずっと鳴っているのですが、初期版ではこれはすべてバイオリンが担当していました。
これだと保続音の存在感がありすぎて少し邪魔なので、適宜フルートなどに割り振って緩和したのが、完成版(16:30~)ですね。
#24 可愛い大戦争のリフレーン
少しずつ賑やかになっていきます。
金管に細かい音符を振るときは、木管よりもさらに負荷が大きいので、いっそう慎重に判断します。
ただ、あまり細かくパート分担を割り振ると、それはそれで合わせるのが大変になるので、バランスが難しいですね。
#25 真夏の妖精の夢
この曲はタイトルを見た瞬間に、メンデルスゾーンの序曲「真夏の夜の夢」を引用することが決まりました。
最初は8秒の割り当てで書いていたのですが、それだと明らかに「語り足りない」感じなんですよね。
いろいろこねくり回してどうにかしようとした跡はあるんですが、
さすがに尺が足りないので、16秒を割り当てるように変更しました。
ただ、原曲はメロディの途中で転調してしまうので、コンセプトに合わせるためにそれは外しています。
やはりこのくらいの長さがあると、ちゃんと一段落を語った感じがしますね。これの後半の伴奏を軽くして、完成版(16:46~)としました。
#26 ルーズレイン
フラット系に入っていきます。
ここのリズムは、前作でも用いた小太鼓頭打ちを使いました。次の曲でも連続して使用することで、統一感を持たせる狙いもあります。
楽器法としても、だんだんと金管のメロディが増えてきて、少しずつ力強くなっている感じですね。
#27 運河を行き交う人妖
というわけで、前曲に引き続いてのオールダウン頭打ち系です。
このリズムをやっている間は、パターンが決まっていて楽なので、スムーズに進んでいますね。
これだけ速いテンポで進んでいると、リズムでもメロディでも奇をてらったことをやるのは難しいので、基本は流しつつポイントポイントのフィルインをガッと決める、みたいな感じになりやすいです。
続きは次回!
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