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子供の「考える力」を育むには

近年、日本の若者における「思考力」の低下が顕著です。与えられるもの、敷かれているレールに乗るだけの子供時代を過ごすと、自ら考え自ら動くという行動がしにくくなるのは当然でしょう。そうした成長過程をたどると、最終的に自分自身について、何が楽しいのか、何をしたいのか、どんな仕事をしたいのかなどの思考まで停止してしまうため、自主的な行動ができず鬱病などの社会問題になっているのでしょう。

では、親や社会の大人は社会へ出てくる子供たちへ、どう「考える力」を育ませることができるのでしょうか?

この対処方法は、実際のところとてもシンプルです。

子供というのは、2〜3才ごろをピークに「どうして?なぜ?」という質問がとても多くなります。目で見て触ってみて、感じてみて身の回りに疑問を持ち始めるのです。日本にいる親御さんの中で、この「どうして?」の数や頻度が多くなると面倒になって「そういうものなんだ」というような答えを子供へしている場面をとてもよく目にします。皆さんも心当たりはありませんか?

今の日本社会を考えてみてください。戸籍法などに代表される明治時代や大正時代の世相を背景にした法律や決まりごとが、まだまだ沢山残っています。でも、そうした決まりごとに「なぜ今この法律でないといけないのだろう?」と考える人は、そう多くはありません。こうして、「こういうものなのだ」という感覚が浸透していき、やがては社会をより良くしようという力を失ってしまうのです。

子供に話を戻せば、この「どうして?なぜ?」を言い始めたところから、大学生になるぐらいまでの間、身の回りへの疑問に答えてもらうことがとても大切になります。親として子供の未来の思考力を伸ばしたいと思ったら、この疑問を大切にしてあげましょう。親の立場で一番困ること、それは自分自身がこの疑問に答えてあげられないということです。しかし、親はその疑問に全て答えなければならないのでしょうか? それは到底無理なことですよね。 ではどう対処するのか。 それは自分が答えを持たない場合には、子供と一緒に考えることです。「どうしてかな?一緒に考えてみよう」そうした会話を増やすことで、子供は論理的思考力を伸ばしていきます。状況から判断したり、事実を積み上げてみたりという訓練を親とするのです。

こうした会話を子供と続けるのは面倒ですか?これが面倒に感じるのでは、子供の未来への責任を果たしている親になりません。事務的なことや心配することだけが親の仕事ではありません。「育む」という仕事がとても大切な部分で、思考力を育むには、時間をかける必要があります。これは私の実体験から言えることですが、こうして訓練を始めた子供は、だんだん親に「どうして?」と尋ねる回数が少なくなっていきます。なぜなら、思考力が育ち始めると自分自身で考え始めるからです。そうなったら、親にはあまり負担はありませんし、思考力も雪だるま式に増加してくれるわけですから、一石二鳥になります。もし、忙しくその場で答えることができないのならば、必ず時間ができたときにその疑問へ戻ってあげてください。

ぜひ、お子さんと「どうしてだろう?考えてみようか」という会話を増やしてください。そしてお子さんの自由な発想や物の見方に寄り添って固定概念なく、事実を見つめ考える力を「育んで」あげてください。それはきっと、大きな力になります。

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