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日本人は、水はいつでも手に入ると信じて疑わない

大豆1kgの生産には2,500Lの水が、牛肉1kgの生産には20,600Lもの水が必要になるといわれている。
へぇ、そんなに! とただ驚けばいいという話ではない。
日本は大豆も牛肉もその多くを輸入しているが、その分、国内の水を使わないで済んでいることになる。
つまり、食料の輸入は生産国の水を仮想的に輸入しているといえるのだ。

日本人は、水はいつでも手に入ると信じて疑わない。
しかしこの星の水の97.5%は海水であり、淡水も多くが南極の氷や地下水などで、人間が利用しやすい湖沼河川の水は淡水の0.3%にすぎないという。
地球の総人口で割れば、1人あたりたった200tしかないのだ。
地球が養える人口をまもなく超えそうだ。

20世紀は石油の世紀、21世紀は水の世紀といわれている。
人類が何を巡って戦争になるかの話だ。
地球上の水は一定量で循環しているだけなのに対し、人類は凄まじいペースで増加を続けているから、今後ますます水の争奪戦になるのは間違いない。

想像してほしい。
明日から1滴の水もありません、と宣告されたときを。
石油と違って、水には代用できるものがないのだ。
現に水が満足に使えない国や地域は多い。
その原因がもし、日本向けの農作物生産のための水消費にあるとしたら?
この期に及んで、そんなの知ったことではないなどとはいえないはずだ。

ほとんどを輸入に頼っている大豆も小麦も国産にすればいい、そうすれば他国に迷惑をかけることはない…などと簡単な話ではない。
食料自給率を100%にするほどの水が国内にはないのだ。
では食べる量を減らす? いやいや、そんなことはできない。
唯一有効なのは、食べずに捨てるフードロスを減らすことだ。

他国の貴重な水資源をバーチャルに収奪しておきながら食べずに廃棄するということが、いかに恐ろしいことか真剣に知るべきだ。
もはや罪深いというレベルではなく、人類の生死に関わる深刻な話。
太るからとごはんを平気で残して捨てる、買いすぎて期限が切れたからと開封もせず捨てる――もういい加減そんな愚行はやめないか。

牛丼1杯分、ハンバーガー1個分の牛肉の生産に、それぞれ2,000L、1,000Lの水が消費されていることは、日本人として知っておくべきだろう。

(2021/7/20記)

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