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となると、望むと望まざるにかかわらず

最近よく話題にのぼる「昆虫食」。
noteでも立て続けにいくつかの記事で見かけた。
それだけ身近な問題になってきたのだろう。

まだ多くが「昆虫食、私はいいです」「そんな時代が来るなら死を選ぶ」という意見。
問題の本質は、今後生き延びるには昆虫食が必要、というものだから、生き延びる気がないならどうぞというよりほかない。

食料危機を予測しながら手を打たない、と国にも批判が向かう。
確かに減反や牛乳廃棄など、食料自給に対する国の対応はまずい。
ただ、どうすればよかったのかという問いに対しては答えに窮する。

ひとことで言って、日本は農用地に対する人口が多すぎる。
日本は森林大国であり、農用地は国土のわずか13%だ。
さらに水がまったく足りない。
たとえば大豆をすべて国産にするには琵琶湖があと3つも必要になるのだ。
もう国産で日本人の食欲を満たすことが不可能だと分かる。

これまでは、土地や水が豊富にありながら人口の少ない国から食料を買いつけることで凌いできた。
しかしそんな地域は今人口爆発の局面を迎え、輸出などしている場合ではなくなってきている。
競ってもチャイナマネーの前に敗北し、食料確保はままならない。
大豆を食べる、牛肉を食べるなどが不可能になる未来が見えてくる。

それでもできることはいくつかある。

1つは徹底してフードロスをなくし、生産した食料はもれなく胃に収め、エネルギーに換えること。
これについては過去にも書いた。
▶「日本人は、水はいつでも手に入ると信じて疑わない
▶「国産国消するだけで自給率が上がるわけではない

もう1つは昆虫食だ。
食料としてのコオロギと牛を比べたとき、コオロギの生産に必要な水は同量の牛の生産に必要な水の1/52、エサは1/12で済むという。
水も飼料もこれ以上増やす余地のない日本にとって昆虫は救世主だ。

コオロギを食べたいかどうかで言えば、僕だって食べたくない。
しかしこの先も生きたいか生きたくないかの問いには、しばらくは生きてみたいと答える。
となると、望むと望まざるにかかわらず、昆虫を食べなくてはならない。
カルシウムが摂れるから、貴重なタンパク源だからではなく、他の食料がなくなるから昆虫なのだ。

昆虫をバリバリ食べる民族は、この先の生存競争で有利だ。
日本も地域によってはイナゴやハチなどを食べるし、要は慣れの問題。
日本人にはご馳走のエビだって、山岳民族にすればきっと不気味な生き物に見えるだろう。
ましてやそれを生きたまま殻を剥いて「踊り食い~」などと浮かれている日本人を見れば、正気の沙汰とは思えないかもしれない。
未来が昆虫食でなくエビ食なら日本人有利なのにな。

(2023/3/27記)

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