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今年こそが長男の独立だ

新社会人の長男の勤務地が東京に決まった。

2週間の研修を経て勤務地が決まると聞いていたが、長男から決まったと連絡があったのは4/2のことだった。
あらかじめ決まっていたのだろう。
行き場なく一時的にトランクルームに預けていた大学時代の家財道具や、損壊を避けるため神戸に避難させていたPCの引き取りなど、勤務地があらかじめ決まっていたならもっと負担も少なかっただろうことを思えば、会社の対応にモヤモヤしなくもない。
でもまぁ長男の問題だし、僕が気にすることではない。
親子関係はこれから先も変わらずだが、その関係の中身は小学生時代と今とが同じであるはずはない。

長男の勤務地は全国各地に可能性があったが、東京と大阪がやはりもっともあり得る候補だった。
もし大阪に決まっていれば、神戸のこの家に帰ってきたか、わりあい近くの(今は空き家になっている)父の家に住んだことだろう。
東京になると思ってはいたが、実際そうと決まって胸に去来したこのちょっとした落胆は、どうやら無意識に大阪勤務を願っていたものらしい。

愛媛に暮らしているころ高専に進学して海を越えて明石へ行ってしまったり、神戸に転居して近くなったと思ったら大学に編入して東京へ行ってしまったりと、彼は逃げ水のように遠くへ遠くへ離れていった。
もちろんそれはそれで淋しくもあったが、そうはいっても高専は5年、大学は3年といずれも限りのある話だった。

しかし就職となるとズシンと来るものがある。
いよいよ出ていくのか。
いや、もう今年24になるのだから、どこに根を下ろそうと自由だ。
けれどこれまでずっと神戸に置いていた住民票も、オンラインで転出届を出したと聞くと、ついにその日が来たかと思う。

神戸に待避させていたPCや身の回りのものを昨日東京に向けて発送した。
そして彼の痕跡はアルバム程度になった。
いっしょに暮らさなくなってもう8年も経つが、今年こそが長男の独立だ。
そう心に固く刻んだ。

(2024/4/20記)

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