そこに打算もなければ勝算もない
百貨店の物産展での販売にはマネキンという存在が通常欠かせない。
服を着せる人形のことではなく、現地で雇う販売員のことだ。
たとえば札幌の販売で、四国から販売員を連れていくのではなく、現地で販売員をお願いすると派遣されてくるのがマネキンだ。
よく試食を勧めてくれる、あの人たちのこと。
マネキンは法的には次のように定められているらしい。
専門的な商品知識及び宣伝技能を有し、店頭、展示会等において相対する顧客の購買意欲をそそり、販売の促進に資するために各種商品の説明、実演等の宣伝の業務を行う者
派遣されてわずか数分で商品のセールスポイントを頭にインプットし、さもその店の社員であるかのようにふるまって高確率で販売につなげ、さらにはもう一品勧めて客単価を劇的に上げる能力の持ち主。
要するに、モノを売るのがお上手な人たち。
いやホントに上手なのだ。
しかし自分が出張販売をする時、このマネキンをほとんど使わない。
理由はきわめて単純、お客様をその気にさせて売ってしまおう、というモヤモヤした考えがそもそもないからだ。
四国愛媛にこのお茶あり! この大福あり! というメッセージは、販売のプロでなくとも、いや販売のプロでないほうが歪めることなく伝えることができる。
そこに打算もなければ勝算もない。
ただあるのは、はるばる持参した自慢の品とそれらを産み出した人たちへの深いリスペクト。
それを他人に託すわけにはいかない。
(2014/2/28記)
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