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僕の中では国宝級だ

引き出しの整理をしていたら、こんなものが出てきた。

小学1年生・夏休みの宿題、絵日記だ。
サンリオの少女漫画雑誌「リリカ」の付録を使ったらしい。
この表紙、もしかして手塚治虫の『ユニコ』では?

小さな頃から絵を描くのも字を書くのも、そして文章も好きだったから、絵日記をつけるのはとても楽しかった。
僕の夏休みの記憶の8割がたが「絵日記をつけた」ことで占められている。
日常を書き留めるのが日記の本質なのだろうけど、記憶に残っているのはその日常ではなく日記を書いた作業のほうだ。

中をパラパラとめくってみた。
40日の夏休みがまるで昨日のことのように思い起こされる。

そうそう、そんなことあったな。
へぇ、そうやったっけな。

…ん? 何これ?

母がこのスイカ大きいねぇと言っているのに、僕は自分の頭は母が思うより大きいよと答えているのだ。
今ならおそらく、ぼくは5ばいだとおもいます、と答えただろう。

まだスイカアレルギーは発症していないようだ。
今もこの一切れくらいなら食べられるけれど。

登校日のひとコマもあった。

そうそう、1年生の間は机は教卓を囲んでコの字に並べてたな。
誰も座っていないところをみると、本文にある「先生がいらっしゃらない内」を描いているようだ。

立体の絵を描くのがとても楽しくて、かなり気合いを入れて机を描いたのを今でも覚えている。
そしてその気合いは、教卓の上に意味不明に置かれた積み木のようなものにも現れている。
授業もない登校日にこんな積み木が置かれるはずがないことを考えると、どうしても立体を描きたくて創作したとしか思えない。

夏休みもそろそろ終わる頃。
この日はとても暑かったようだ。

僕は神戸出身のような顔をして、実は明石出身…のような顔をして、本当に生まれたのは加古川だ。
神戸の西隣が明石、その西隣が加古川。
母の実家は加古川にあり、いとこも加古川に集中していた。
この日はそのいとこと加古川のプールへ行ったらしい。

明石には当時、どうやらきれいなプールがなかったようだ。
けどわざわざ加古川まで遠征して、5mしか泳げなかったとは。
トホホ。

今回偶然出てきた「えにっき」。
一瞬で50年近く前にタイムスリップさせてくれた。

長年空気に触れずにしまい込まれていたからか、状態もとてもいい。
僕の中では国宝級だ。

(2023/5/6記)

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