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そもそも国連は幻想に過ぎない

昨日の神戸新聞。

北朝鮮制裁案 初の否決 ~中ロ拒否権、安保理機能不全~
中ロ以外の13カ国は賛成。(中略)安保理の機能不全が一層深刻化した形だ。

ミサイルをまるで花火のように乱れ打つ朝鮮は許せない、国連で責任ある立場のロシア、中国がそれを見逃すのも許せない。
その思いで書かれた記事だろう。

朝鮮は大きな脅威だし、制裁で止めさせたい気持ちは十分に分かる。
しかしそれはあくまで、日本の立場としては、だ。
極東のパワーバランスの観点から、ロシアや中国が朝鮮のふるまいをむしろ歓迎しているだろうことは想像に難くない。

同じ事象でも、国の立場ひとつで評価は正反対になる。
ならば、国連の意志決定を担う常任理事国(英・仏・米・露・中)の思惑が常に一致するはずもないことは誰の目にも明らかだ。
拒否権の発動をもって機能不全というのはいささか違わないか。
事実、国連創設以来これまでに、拒否権はロシア(ソ連)が120回、アメリカが82回など、計264回も発動されてきたのだ。
今回だけロシアや中国が大人げない態度を示したわけではない。

この拒否権については常に賛否が渦巻き、長きにわたって論争となっているが、僕は賛否いずれにも与しない。
そもそも国連は幻想に過ぎないと思うからだ。

そもそも国連て何?
国と国が協調し、よりよい世界を創り広げていくための中立の機関?
いや僕には、国が国を取り締まるために編み出された機関としか映らない。

国連は英語で〈United Nations〉という。
これを「国際連合」と意訳した外務官僚はあっぱれというほかないが、直訳すれば「連合国」となる。
実際、中国ではそのまま「聯合國/联合国」だ。

国連は、第2次大戦中に英米をはじめとする連合国が、すでに日本の参戦前から、戦後の国際的な安全を保障する組織として検討していたものだ。
英米ソ中の4か国だけが軍備を維持し、その他の国々は無力化され、4か国が世界中を取り締まることが構想されていた。
実質、大戦に勝利した連合国がそのまま常任理事国となって、そのまま組織の運営を行っている。
日本は常々この常任理事国入りを狙っているが、敗戦国たる日本が戦勝国のサークルでどう立ち居ふるまうつもりなのか、いまいち想像がつかない。

国の数だけ存在する思惑を、国連の名の下に束ねられるなんて幻想だ。
そうした幻想がなければ、冒頭の記事は書けない。

どうも日本人は国連に夢見がちだ。

(2022/5/29記)

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