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めったに思い出すことのない青いページ

出張の車中でマイケル・シェンカーを久々に聴いた。
ハードロックの神、フライングVの名手。
この手の曲を聴くと、バンドをやっていた中学の頃を思い出す――

同じクラスに、仲が悪く常にいがみ合っていた2人がいた。
その2人が寄ればつかみ合いもしばしばで、みなうんざりしていた。
ある放課後、ついに2人は決着をつけることになり、汗とホコリのニオイが充満した体育館倉庫を決戦の場に選んだが、なぜか頼まれ、その場に立ち会うハメになった。

流血も大いにあり得ると覚悟して臨んだが、2人は粛々と、顔には手を出さない、爪を立てないなどと取り決め、いつもまにかレフェリーに仕立てられた自分の掛け声で組みあった。
こんな茶番で果たして本当にわだかまりが解けるのか、この際とことんやりあうべきではないかとシラけた目で見ているうち、体力を激しく消耗した2人はうめき声をあげて床に崩れ落ち、互いの健闘をたたえながら、これまで悪かったと口をそろえた。

実際、翌日から周りが呆気にとられるほど2人は仲良くなった。
茶番だろうが、2人にとって必要な通過儀礼だったのだろう。

――曲調が一転してギターソロになり、目を閉じて聴き入った。
メタリックな音が響けば、何十年経っても空気はあの日のままだ。
めったに思い出すことのない青いページ、再び心にしまっておこう。

(2017/6/29記)

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