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【一曲入魂】 #6. 6, 8, 12 - Brian McKnight

この【一曲入魂】シリーズ、本当は、「音楽オタク(自分含む)はみんなまだ『アルバム』についてレビューしたがるけど、今の時代大事なのは『シングル』じゃね?」という意識に基づいて始めたのですが、気づいたら私の人生観を構築してきた曲紹介シリーズになってますね。気にせず続けましょう。


私は小学生の頃から音楽が好きでした。当時はジャンルを問わず、テレビから流れてくる音楽はなるべく聴くようにしてました。小学校中~高学年の頃は、ミュージック・ステーションをリアルタイムで一回、録画で後日もう一回観る、そして気になった曲があればリビングの親のパソコンで調べて YouTube 等で調べて聴く、といった生活を送っていました。小学生の頃は毎晩20時に寝るように躾けられていたのですが、当時まだ20~21時放送だったMステをリアルタイムで観れていたということは、おそらく金曜の夜だけ特別に起きててよかったのでしょう、私は。

そして、EXILE派生グルーブ、AKB48、ジャニーズがチャートを席巻する時代に入ると、どうやら私は少年ながら飽きを感じたようで、もっと「ホンモノ」の音楽を聴いてみたいと思うようになりました。そこで出会ったのがゴスペラーズの「ひとり」で、アカペラという表現方法に大変感心しました。

そこからゴスペラーズを聴き進めるうちに、「R&B」という言葉に出会います。それまでジャンルを指す言葉として「バラード」「ロック」しか知らなかった私にとって、「R&B」という英単語は魅力的に聴こえました。特に「90s R&B」

そこで初めてディグって、いいね!と思ったのが、Joe と Brian McKnight でした。

大学受験が終わり、束の間の自由時間である2020年3月初旬、ビルボード東京での Brian McKnight のライブが告知されていたので、私はワクワクしながらビルボード東京にチケット予約の電話しました(クレジットカードもなかったので電話予約で当日支払いしか方法がなかった)。18歳で初めて一人でビルボード東京に行けることが楽しみだったのですが、お察しの通り、パンデミックで間も無く中止が発表されました。ほんとに悔しかったですね、これは。

さて、いい加減「6, 8, 12」の話をしましょう。

この曲を聴いた時の初めての感想は、「"男"なら別れてもクヨクヨするな」でした。当時の私(中学生)は、マスキュリニティ満載でした。しかし少し空けてもう一度聴いてみると、とても温かい失恋バラードで、「男がクヨクヨしたっていいじゃないか!それだけ一途だったってことでしょ!」と、態度を180度改めます。自分の中にあった男女バイアスに自然と気づけたのは大きかったと思います。

「R&Bでは男が弱い」っていうのは、なんとなく共有されていると思います。先に述べたゴスペラーズの黒沢薫さんがかつて「良いR&B男女デュエットっていうのは、男が4:6(それか3:7)で負ける曲」って言っていたのが記憶に残っています。特に90年代のR&Bはまだマスキュリニティとミソジニーが色濃く残ってはいましたが、それでも男は駆け引きで負ける曲が多い気もします。余談ですが、Commodores の「Easy」を聴いたときの第一印象は、「男が懸命に努力したけど、女性が救いようがないほどダメだったっていうソウル/R&Bは、定型と逆で珍しいな」でした。

2016年?の「6, 8, 12」映像が公開されているのですが、イントロのアレンジ、ボーカル、観客のムード、全てが完璧なのでぜひ観てみてください。こちらはライブアルバムとして音源でも公開されているのでチェックです。ちなみに、ちょっとブルーだった日の夜の仕事終わりに、小雨の中歩いてスーパーに行くときにこの曲を聴いたら涙が止まらなくなってしまって、立ち止まって涙がおさまるのを待ったのは、ついこの間の話です。


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