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パリたべもの日記

①クロワッサン

フランスで最も安く最も美味で、しかも出来立てのものはなーんだ??
この問いにすぐ答えられる人は、おそらくフランスをよく知っている人かもしれない。
答えはもちろんCroissant 🥐だ。
パン・オ・ショコラやショーソン・オ・ポムといった日本のパン屋さんでもお馴染みの面々でも良いのかもしれないが、それでもやはり私はクロワッサンを推すだろう。
何せシンプルなだけに、一切ごまかしのきかないこのクロワッサン。パリのクロワッサンは信じられないほど芳醇なバターの味にうっとりとなるものや、【うん、うん。これこれ!】と思わず笑顔になるもの、そして【これならまあいいか】といったものまで様々だが、大体平均して高水準を保っている。日本で有名なパン屋さんにおいてすら、度々お目にかかるあのバターというより油でベトベト、もしくはパサパサして味がぼやけたようなものはまずフランスでは見かけない。

まずこのうっとりとなるレヴェルのクロワッサンだが、すでに美味しさがフォルムに現れている。
え?かたち?と怪訝に思う方もいるかもしれないが、不思議なことに最高のクロワッサンは形とか見た目の雰囲気などでもちゃんとわかる。
それらに共通していたのはやや細めで小ぶり(プロポーションいいいから小ぶりに見えるのかもしれない)であり、真ん中が綺麗な黄金色に膨らんでいること。見た目もどこかデリケートである。
この手のものは、口に入れた途端遠い目になってしまう。自分のために誰かが焼いてくれたのかと思うくらいに繊細な味わい。何層にもなった生地の外側だけが香ばしくさっくりとしていて、中は驚くほどしっとりとしてバターの美味しさが封じ込められている。いくらパリとは言え、このように上等のクロワッサンがどこにでも売っているわけではないが、近所のブランジュリーをよく探せばちゃんとハッピーな気分をプレゼントしてくれるクロワッサンに出会う確率は高い。

もちろんパリの中心部に行くほど有名店も多くなりクロワッサンの競争率も高まると思えるのだが、そんな高級店にわざわざ行く必要はない。
どこにでもある庶民的なブランジュリーでよく見かけるクロワッサンの中にはまるで太った魚みたいに不格好なものがある。お気に入りの店に行きそこねたような時はこういうのを仕方なく買うこともあるのだが、予想に反してすごく美味しいなんてこともある。
大きい分、皮も豪快に飛び散るのでカフェのテラスなんかに持ち込むとヒヤヒヤすることもあるのだけれど、そんなことは心配無用なのがパリのカフェのおおらかなところだ。テラス席では落ちたパンのかけらを遠くから狙っているハトのごちそうにもなるので豪快にガブリ、といこう。
さて、明日はとびきりのクロワッサンでも買いに行こうかな。



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