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[カナシミペディア]_002 <グリーフ> grief

こちらは悲嘆をめぐる言葉を粛々と採集していくマガジンです。

第2回 <グリーフ> grief


📍グリーフ(grief)とは・・・

(死別などによる)深い悲しみ。悲嘆。苦悩。嘆き。
<デジタル大辞泉より>


前回のカナシミペディアでは、
「かなしみ」という日本語について書きました。


グリーフは「悲嘆」と邦訳されることが多いのですが、もともとの意味は、印欧語の「重い」という語根から派生したものだそうです。

(重力 gravityと同じ語源)

そこから「こころが重い」という意味のラテン語となり、
英語のgriefでは「悲しみ」の意味が派生した。


この由来を知ったとき、
部屋のなかでひとり座って、
重く湿った大きな岩をお腹に抱いている自分の姿が浮かびました。

感情だけでなく、肉体のすべてで打ちひしがれているイメージでした。

ずーーーーん、と。

グリーフケアに関わるかたのなかには、「グリーフ」を「悲嘆」と訳すことをためらって、そのまま用いるかたが多いことをよく知っています。

実際そのように発言しているところも見てきました。「かなしみ」という日本語同様に、griefには「悲しい」や「嘆く」にとどまらない多様な感情があるから、という理由もそのつどうかがってきました。

たしかに、ラテン語の由来を知ってしまうと、喪失に対するおもいは、言葉にすることじたい難しいのではないか・・とかんじます。

「ずーーーん」とお腹にまで響くかんじです。

そういえば、アメリカ人と話しているとき、griefという言葉を出すと、かならず悲痛な表情が眉根に深く浮かびました。

どうやら、わたしがおもっているよりも重いニュアンスがあるようなのです。(表情とセットで覚えてしまいました)

一方、わたしは「悲嘆」という訳語が気に入っています。

横棒多めの漢字二文字に、
気持ちの多様さと重さの、両方をみているのかもしれません。

なので、文中では悲嘆と言い換えて書くことも多いです。

「悲嘆」と口に出してみると、
「かなしい」と言えない自分の代わりに、
単語自身がものを言ってくれている気がして。

横棒多めの姿に、重めのやさしささえ感じてしまっています。

こっそり、「悲嘆」を応援したい。
悲嘆推しです、と最後に書き添えておきます🍒


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