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高知で土地探しから家を建てる vol.03「市街化調整区域に家を建てる」

前回の記事では、「都市計画区域の区域区分」について解説しましたが、ここに出てくる「市街化調整区域」。通常、市街化が進まないように抑える区域で、原則として家を建築することができない区域になりますが、特例として、条件を満たせば住宅を建てられる場合もあります。

今回は、「市街化調整区域に家を建てる」のに必要な条件を解説していきます。


「市街化調整区域に家を建てる」

前回のおさらい(市街化調整区域)

前回の記事にもあったように、高知県のいくつかの地域が「都市計画区域」として制定され、「都市計画法」の適用都市となっています。

「高知県の都市計画2018」より

上の図で、オレンジで塗られている地域が「都市計画区域」です。

このうち、で塗られている地域が、高知広域都市計画区域(高知市・南国市・香美市・いの町)という名称の都市計画区域で、その中に「区域区分」の線引きが行われており、「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられています。

市街化調整区域」内の土地は、比較的、農地や山林が多い地域が多いです。

この農地や山林に、建築を計画したとしても、水道電気、汚水や雨水の配水先などが整備されておらず、現代の住まいを成立させることができません。井戸水や、汲取式のトイレならなんとかなりそうですが、近くに電柱・電線がない場合は、電気の引込みは難しいでしょうね。

水道や電気などのインフラサービスの敷設を行うのは、役所や電力会社になりますが、農地の中にポツンと1軒だけの建物に、遠くから水道管や、電柱などを何十本も立ててサービスするのは、難しそうですよね。

主に人が住まう地域と、それ以外の農地や山林などの地域にエリア分けすることで、市民の一人ひとりに必要なインフラサービスを効率よく敷設するためにも、この区域区分の線引きが、必要になったのかもしれません。

市街化調整区域で建築できる条件

Google MAPより

市街化調整区域で主に住宅を建築する際に、建築が可能なケースとしては以下に上げるケースになります。

いくつかの条件に当てはまらない限り、建築は不可で、購入しても建物が建てられないため、事前に確認が必要です。

線引前宅地

市街化区域と市街化調整区域の線引きが高知県で行われたのは、昭和45年10月31日になります。

この線引きのタイミング以前から「宅地」として法務局に登記されており、現在も「宅地」として利用されている土地を「線引前宅地」と呼びます。

線引前宅地」で建築を行う場合には、市街化調整区域内であっても建築が可能になります。

線引前宅地」であることを証明する方法としては

  • 登記簿(土地)

  • 高知県が昭和44年 5月に撮影した航空写真・地図

  • 固定資産税課税台帳

などがあります。新たに家を建てる施主やその家族が、建築物を所有していないことが条件となります。店舗付きの住宅などを計画する際には、店舗部分の用途の規制もありますので、確認が必要です。

また、敷地面積は500㎡以内といった制限もあります。

市役所の都市計画課などで、事前に確認を取った上で、建築の計画を進めていくようになります。

連たん区域(条例で指定する地域内で行う開発行為)

市街化調整区域内であっても、条例で指定する土地の区域内であり、環境の保全上支障がない用途の開発行為は許可されます。

通常「連たん」と呼ばれるこの区域は、以下の全てに該当する必要があります。

  1. 市街化区域と市街化調整区域とを区分する境界から500m以内の区域

  2. 市街化区域から50以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む)が連たんしている区域

  3. 大規模指定集落及びその縁辺部(南国・香美市の一部)を除く

  4. 不動産登記の地目が平成13年5月18日以前から宅地もしくは雑種地として登記されている区域

環境保全上支障がない用途とは、以下の基準に適合する必要があります。

  1. 建物の高さが10m以内

  2. 建ぺい率60%、容積率200%以内

  3. 居住の用に供する部分が面積の1/2を超える

  4. 業務の用に供する部分が(工場・旅館・遊技場・劇場・料理店 他)などの用途に供しないこと。

一般的な2F建てまでの住宅であれば大丈夫です。

用途の変更を伴わない建築物の建築(1.5倍以内)

現在ある建物の1.5倍以内の面積で、用途の変更を伴わない増築・改築(建替)をするための開発行為。

昭和45年の線引き前から現存する建物がある場合、その1.5倍以内であれば、増築や建替が可能です。

住宅の場合、以下の条件の全てに該当する必要があります。

  1.  確認済み建築物、または線引前建築物用途の変更を伴わない新築

  2. 既存の建物の階数と変更がないか、または階数に1を加える、もしくは1を減ずる階数であること(平屋→2F建 等)

  3. 敷地面積が従前より増加する場合、合計が500㎡以内であること。

調査や申請においては、この条件が一番簡単に進められると思います。

その他のケース

その他にも、

  • 大規模指定集宅の自己用住宅

  • 分家住宅

  • 農業従事者用住宅

など、住宅を建てられる条件もありますが、元々そこに住んでいたり、職業などの制限などが有るため、一般的に土地を購入して家を建てるケースでは該当するのが難しいでしょう。

まとめ

市街化調整区域の土地であっても、条件を満たせば、建物を建てられます。ただし、登記簿上の地目が単に「宅地」であっても、今回説明したような条件に当てはまらなければ、建物を建てることができませんし、条件を満たしていたとしても、排水先が無かったり、建てようとする計画に不備があるなどして、審査が通らず、結果建物を建てることができないこともあります。

通常、土地の購入検討時には十分な調査を行いますが、土地の売買契約後に上記の審査が通らなければ、契約を白紙にするという「停止条件」をつけて不動産の取引をすることが多いです。

買主はリスクが有ることも承知の上で、購入を検討する必要があります。


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