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光を求めて

今回の投稿では『新世紀エヴァンゲリオン』のネタバレを含めたものである。未読の方でこれから読もうと考えている方は、一つ目の目次を飛ばすか、閲覧をやめることをおすすめしたい。

幼き日から繰り返し読んだ漫画

小学校三年生の頃、パチンコ好きの父が買ってきた某青年漫画に熱中した。『新世紀エヴァンゲリオン』である。当時は11巻が最新刊で、一年かけて買ってくれたものを読んでいた。私が高校一年の頃、遂に最終巻である14巻が発売された。無心でひたすらに涙を落としたことを覚えているし、あれから何度読んでも同じことを繰り返す私がいる。

何周も何周も読み返しているうちに、こんなことを思うようになった。
碇ユイと碇ゲンドウこそが私の理想とするカップルだと。ゲンドウはユイについてこう話す。

おまえの母親は私の救いであり 支えであり 希望だった
愛する術も愛される術も知らず深く暗い地を這うような私の人生に
唯一神が与えた光がユイだった
だが与えられた光は一瞬にして奪われた
私は神を呪いそして問うた
奪うのならなぜ与えたのかと
『新世紀エヴァンゲリオン12』貞本義之 KADOKAWA (2010)

ゲンドウは自らの妻を光と称し、その光を奪ったエヴァの前身や神を恨んだ。だがその気持ちが姿を変える。自らがユイに再び会えるよう、光を奪った神に自らが成ろうと決意するのだ。そうして彼はNERVという会社を自ら立ち上げ人類補完計画を遂行し、ユイをオリジナルとした人間である綾波レイを作り、自らの子供まで利用しようと試みる。やがて世界は崩れ、彼はよからぬ方向でユイに逢う。その際ユイは彼にこう語りかける。

あなたと私は
あの子をこの世に送り出すために出会ったのよ
あの子は私たちが出会って愛し合ったからこそ生まれた子供...
私はあなたとの愛の証をずっと守りたかった
人類の運命と共に消えてほしくなかった
だから私はエヴァに残ったの
(中略)
思い出して
初めてあの子に触れた時の気持ち
思い出して
あの子から感じたぬくもり
あの子から感じた愛おしさと
生命の力の強さを
そして願って"生きろ"と
『新世紀エヴァンゲリオン14』貞本義行 KADOKAWA (2014)

ゲンドウはその後永眠する。彼の中の、または彼によって作り出したユイはどこまでも光である。自らを闇と称する光。そのためなら何だってする。私はそれが理想の愛の形ではなかろうかと感じた。そして私はいつからか、無意識にユイのような行動をとっていた。

私の恋愛状況からの考察

私は基本、初対面の際の印象があまり良くない人間を好きになる。最初は恋愛感情はない。ただ、この人の硬い表情をどうにか綻ばせたい、仲良くなりたい、その一心で粘り強く話しかける。結果仲良くなり、今度は私に別の感情が芽生える。私なりの恋愛感情である。どうにかこの人とずっと一緒にいたい。となれば付き合って結婚するしかない。私がこの人を変えたのだから、この人にとって私は必要不可欠だ。という発想に至ってしまう。結果付き合ったり、曖昧な関係が成立する。するとどうだ。私が暗い話をし、相手へ依存してしまう。相手の闇を私が消したのではなく、私が相手の闇を吸収していた。そして私が思うほど、相手は変わっていないのだ。

そういった経験を繰り返すのち、ひとつの結論にある日ふと辿り着いた。私は碇ユイになりたいのではなく、碇ユイのような存在、つまり光を求めていると。ユイは大学からも太鼓判を押されるほどの天才的な知識を有していて、つまり自信がある。私にはそれがない。ゆえに私は何かにすがってしまうのだろう。私が相手を求めるときは光のような存在が良いのだろう。だがその土台として、自分を好きになることから始めなければならない。私はこれから一生かけて自分を好きになろうと試みているが、それは土台だ。私が私の思うように誰かを愛するときは、来るのだろうか。

私の文章を好きになって、お金まで払ってくださる人がいましたら幸福です。