深夜の出発と早朝の廃線路
鍛冶橋駐車場
深夜バスルーキーには聞きなれない言葉だった。東京駅には乗り換え以外で縁がないので、あまり周辺については明るくはなかったが、この時は2人旅だったお陰で連れがどうにかしてくれた。
23:00だと高を括っていたが、鍛冶橋駐車場近くの座れる場所である八重洲口のマクドナルド、スターバックスはともに我々の同世代であふれかえっている。初春とはいえ夜は良く冷えた。しかし駅構内にとどまっていても居場所がないので鍛治橋駐車場まで早めに歩くことにした。
で、鍛冶橋駐車場がなにかというと、要は深夜バス乗り場のことである。我々は2000円で京都行のバスを抑えたわけだが、似たようなことをしている若者が深夜にごった返している。東京国際フォーラムの隣の広いスペースで、大量のバスが東京駅乗車の客を乗せて数分で出ていくということを繰り返していた。
学生の春休みの旅行シーズンだったから半分くらいは我々のようなお気楽な高揚感に浮かれていたが、もう半分はリクルートスーツだったり、深刻なトーンで電話をしていたりで、各々の陰と陽の入り混じる深夜の、静かながら独特の活気を見せていた。
しかしバスに乗ってしまうと一気に静かになる。朝6:00に到着するわけだし、我々も大人しく寝ることにした。といっても寝られるわけがない。
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