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#31 嵐のあとで・人生を語るフランス語

stand.fmで紹介した言葉と収録内容の概要です。
音声はこちらからどうぞ。 
https://stand.fm/channels/5fafb858c646546590cea001

YouTubeでもお聞きいただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=Xwi8PSFsTF8

(写真はマルセイユの街です。仕事で訪れたこの街で、
天候だけではなく、仕事の上でも、強烈な嵐を経験した場所。
嵐の真っただ中にいた、当時の自分を思い出しました。)

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Une fois la tempête passée, tu te demanderas comme tu as fait pour la traverser, comment tu as fait pour survivre.
Tu ne seras pas très sûr, en fait, qu’elle soit vraiment achevée.
Mais sois certain d’une chose; une fois tu auras essuyé cette tempête, tu ne sera plus le même. Tel est le sens de cette tempête.

その砂嵐が終わったとき、どうやって自分がそいつをくぐり抜けて生きのびることができたのか、君にはよく理解できないはずだ。
いや、ほんとうにそいつが去ってしまったのかどうかも、たしかじゃないはずだ。
でもひとつだけはっきりしていることがある。
その嵐から出てきた君は、そこに足を踏みいれたときの君じゃないっていうことだ。
そう、それが砂嵐というものの意味なんだ。

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この言葉は、村上春樹さんの小説「海辺のカフカ」の一節です。

FBでフォローしている中で、人生や生き方にまつわるフランス語の言葉を紹介しているサイトがあるのですが、気に入った言葉は、書き留めています。

誰か有名な人の言葉の場合、最後に小さく、その人の名前が書かれています。

この言葉を読んだ時、「いいな」と思いメモした後、よくよく見ると 
下に小さく アルファベットで、Haruki Murakamiの表記がありました。

「村上春樹さんだ、彼の発言なのかしら、または小説の抜粋なのかしら…。」と知りたくなり、フランス語を日本語に訳して検索してみたら、「海辺のカフカ」の小説の一節だとわかりました。

いつもは、フランス語の言葉を私が訳して日本語の文章を紹介していますが、今回は、村上春樹さんの小説の一節とそのフランス語訳をご紹介する形になりました。

意味合いも深いのですが、日本語を訳したフランス語文に触れるのもいいですね。いくつかの単語を辞書で引いてみました。知っている単語でも、改めて辞書を引くと知らなかった意味が載っていたりします。

「砂嵐」が ”la tempête” と訳されていますが、
la tempête の意味は、暴風雨、嵐、しけ、動乱、(心理的な意味での)動揺、などの意味があります。

essuyer の動詞ですが、(水気をとるために)ふく、(水気や汚れを)ふきとる、という意味と、被害などをこうむる、という意味もあります。
essuyer la temppête は、「嵐に遭う」という意味です。

この小説の題名、「海辺のカフカ」は、「Kafka sur le rivage 」と訳されています。


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