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#8香りにまつわる言葉と物語・人生を語るフランス語

stand.fmで紹介した言葉と収録内容の概要です。
音声はこちらからどうぞ https://stand.fm/channels/5fafb858c646546590cea001

Youtube でもお聞き頂けます。
https://www.youtube.com/watch?v=PiET2FBHlIk

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Le bonheur est comme un parfum.
On le porte sur soi pour le faire respirer aux autres.

幸福は香水のようなものです。
周りの人が、そのかぐわしい香りを吸い込めるように、自身の身にまとうのです。

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幸せな人から、自然とにじみ出るもの、はっきりと目に見えるものではありませんが、存在しますよね。
周りの人も明るく、幸せな気持ちにしてくれます。
それを香りに例えたこの文章、とてもフランスらしいな、と思いました。

同時に、初めてパリの空港に降り立った時の匂いを思い出しました。
当時は、今のように公共の場所は禁煙ではなかったので、煙草のジタンや
香水が混じった香りがして、初めて体験するフランスの香りでした。
とても印象的だったのを覚えています。

20代前半、まだフランス語も話せない状態で、飛行機とホテルと、空港からホテルまでの送迎だけを予約しての初めての一人旅でした。

待ち合わせの場所で、迎えの人が一向に現れず、夜の空港の到着フロアから人が少なくなり、不安はどんどん増してきた思い出と、空港の香りはセットになって覚えています。
結局1時間くらい待って、もうこれはタクシーで行くしかないと覚悟を決めた時、迎えの人がやってきました。

色々な言葉を書き留めたリストの中から、今回この言葉を選んだのは、最近見たビデオの影響もあると思います。

diptyque(ディプティック)という香水のブランドのビデオなのですが、創業60周年を記念して、数名のアーティストが香りをテーマに作品を作りました。

そのうちの一人は、パリをテーマに、小説(リトグラフ)を作ったのですが、その小説は香水もまとっているのです。
マダガスカル出身のデザイナーがこの作品のコンセプトについて語っているビデオだったのですが、映像、音楽、言葉に、一瞬にして心を奪われました。

こちらがそのビデオです。


こちらの短いバージョンのビデオは日本語の字幕がついていて、
作品のコンセプトがより具体的に語られています。
https://player.vimeo.com/video/583306362

dyptiqueのHPに載っていた、作品がまとったパリの香りについてのデザイナーの言葉も素敵でした。フランス語をお勉強している方向けに掲載しておきますね。

« Pour moi le parfum de Paris doit être complexe. Paris est faite d’accords et de désaccords. Paris est un paradoxe car elle peut être une ville calme et parfois agressive et sonore. Dans la fragrance, quelque chose évoque le bruit. Il y a cette urbanité. La fragrance s’échappe du monolithe lorsqu’on l’ouvre. Elle est immatérielle, impalpable et ensuite on découvre l’histoire, l’écriture qui réveille émotion et mémoire, crée une projection. »

「パリの香りは複雑であるべしと思っています。パリは調和と不調和で成り立っています。パリとは矛盾の街です。なぜならパリは静かな街ですが、攻撃的で騒々しいときもあるからです。香りの中の何かがノイズを呼び起こします。そしてまた、都会的な優美な趣きもあります。モノリスを開くと香りが漂います。香りには形がなく、触れることができません。しかし続いて現れる物語、文体が感動と記憶を呼び覚まし、投影を生み出すのです。」




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