縁のある場所には導かれる
複数のイタリア人と文通を始めてすぐ、彼女らに会いに行こう、と思い立った私は、92年の11月頃からやりとりを始めたのに、翌年の春に一人でイタリアに行くことに決めてしまった。
(文通するまでのいきさつはこちらで)
我ながら思い立つと突進するのは牡羊座だからか、O型だからか(目標が決まると早いけど、決まるまでが動かない)。
ペンフレンドの中から3人の女性(在トリノ、ビエッラ(北イタリアのピエモンテ州)、ローマ)のところに行くことに決め、トリノからローマに南下する途中で、初めての訪伊で衝撃を受けたフィレンツェにも一人で立ち寄ることにした。
ほとんど独学のレベルでろくに話せないのに、行ってしまおうとする自分を今振り返ると、よくやったなあと思う。
でも今回はそのことを書きたいのではなくて。
どこか、小さな町に行きたいと思った。
トリノやローマのような大きな都市ではなく、こじんまりとした可愛い町がないかな、と。ローマへ行く途中にあり、のんびり散策するのに良さそうな・・。
そして、見つけた、アッシジという丘の上の町。
列車が通っていて行きやすそう。そしてなにより、珠玉の町というような説明が書いてある(今と違って、そのころはまだ世界遺産になっていなかった)。
聖フランチェスコという聖人が生まれたところで、スペイン語読みではサンフランシスコ。西海岸の町の名前にもなっている聖人だった。
有名な大聖堂もあるらしい。
フィレンツェの次はそこに1泊立ち寄ることにして、すこしづつ調べはじめた私は、1本の映画に出会う。
ミッキー・ローク主演の「フランチェスコ」。
フランチェスコを慕って出家する聖キアーラにはヘレナ・ボナム・カーター。
なんの予備知識もなく、アッシジに行くからという理由だけで見始めた私は、すっかりその映画の中の世界にハマってしまった。
自分がそこで、その町で、その時代に生きていたのではないか、と思うくらいに。
キッカケはほんの、ちょっとしたこと。
ガイドブックを見て、なんとなくここいいかな、と思った場所。
でもそこが、3年後、部屋を借りて語学学校に通うことになる場所との最初の出会いになった。
書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。