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写真活動のこと(2) 文具メーカーのレター用品

雑誌に写真を使っていただく前から、自分のホームページに写真と文章をアップしてイタリアの紹介をしていました。
HPを立ち上げた1998年にはまだ家にPCがなくて、通っていた高田馬場にあるDTPとWEBデザインスクールの自習室で、せっせと作りました。

HPを運営している人はまだそれほど多くはなくて、イタリアやヨーロッパの旅関係サイトだったら、あそことあそこと、、という感じで、全てではないけれど、それぞれリンクしあって繋がっていました。

そんな感じだったので、HPを紹介する本が出版されるくらいで(雑誌ではなく、ちゃんとした本)、私や友人のサイトも海外紹介サイトのページに掲載されました。今だったら考えられないことですね。

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ページだけ切って取ってあります(切り方汚い、、)。本まるごと取っておいたほうが面白かったかも。
私のは一番最初に載っている「Galleria di Francesca(ガッレリーア・ディ・フランチェスカ)」というやつで「詩情あふれる北イタリアの旅の記録」とありますが、正確にいえば北だけでなく中部がメインでした。アッシジの紹介を詳しく書いていたので。
その下は、一緒に表参道で2人展をした友人のサイトです。

そんなふうに90年代から延々とインターネット上でなにかしら発信していました。

2002年か、03年だったか、突然知らない方からメールをいただきました。
文具メーカーでアートディレクターをしている女性で、私のサイトを見てくださり、商品を作りませんか、というお話でした。

願ってもないお話だったのでお受けして、便箋、封筒、一筆箋、ハガキ箋のシリーズを3種類作成しました。

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「La Luce dei Fiori(花々のひかり)」、「SOTTO IL CIELO DELL' ITALIA(イタリアの空の下で)」、「AQUA PLANET」(沖縄の空と海)の3つ。(sampleシールが剥がれなくてすいません)

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淡く刷られた写真の上に文字を書くようになっています。

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こちらはハガキ箋2種で、左がイタリアの植物のある情景、右が薔薇です。中は数種類のフォトポストカードが綴じられていて、私の友人の言葉(メッセージ)が写真の脇や宛名面に印刷されています。

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全国の文具店やミュージアムショップの一部にも置かれたようで、地元にある伊東屋で初めて自分の商品が並んでいるのを目にしました。

普通だったらすごく嬉しいはずなのですが、なぜか少し複雑な気分でした。
はじめは写真をお貸しするだけかと思ったのですが、小さなメーカーで、版下も自分で作成するということに。
DTP(Desk Top Publishing)のスクールに通ったので、フォトショップもイラストレーターも使えました。だから、作成は特に問題はなかったのです。でも当時は、自分はカメラマンでいたいという思いが強く、どんな紙がいいか希望を言ってもいいですよと言われても、それって自分の仕事かなあ、と思いました。

あの時の自分をど突きたいくらいです(笑)。
今だったらどんな紙がいいか嬉々として調べるのですが。

今では花の写真もいろいろデータを持っていますが、当時はフィルムだったこともあり、まだあまり枚数を撮れていなくて、少しの種類から選んだり、あらたに撮ったりしていました。
振り返ると、自分の現状を超えた仕事のお話だったので、気持ちも状況も追いついていなかったのですね。

その後、カレンダーのお仕事もいただきましたが、途中で会社が業務縮小になり、カレンダー専門会社のお仕事として移行になり、作成はしましたが一般向けではなく、企業向けのカタログに載る商品になったようです。

銀座の伊東屋で自分の便箋が並んでいるのを見たり、有隣堂(横浜の老舗書店)の文具コーナーで、フィレンツェのイル・パピロという有名文具店のレターセットの隣に私のフィレンツェの写真の便箋が置かれているのを見た時には、じわじわと喜びがやってきました。

あの時はあの時なりに一生懸命やったお仕事でしたが、もっとできたのではないかと思います。

ただ、何より、いい仕事だったなと思えるのは、手書きで人と繋がるツールを作れたことでした。カリグラフィーを始めて、文字を書く素晴らしさを実感する今では、しみじみとそのことを思います。



書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。