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ニコレッタ@
2022年7月1日 21:21
【1話から3話は、最後にリンクしてます】 昭和45年秋、気持ち良く晴れた日曜日。 家族を乗せたフミオの白いセドリックが車庫を出て、浜寺公園へと出発した。浜寺公園というのは、堺の臨海地区に古くからある市民憩いの場だ。今日は、そこでピクニックをする。 浜寺公園もピクニックも大好きなフミオは、早朝からご機嫌さんだった。「おぃ、ほうれん草のおひたし作ったか?おにぎりとは一緒にすんなよ、
2022年7月8日 20:33
昭和49年頃のこと。 スケートボードの大ブームが起きた。 小学生の間でも、スケボーを持っているとか、スケボーに乗れると言う子が、ちやほやされた。 この物語の主人公フミオの子供たちは、持っていなかったのだが、その日フミオの8歳の息子、和彦がスケートボードを抱えて帰ってきた。 「姉ちゃん見て見て! スケートボード! 友達が貸してくれてん!」 玄関で叫ぶと3つ上の姉、樹里と、その友達
2022年7月15日 20:46
【1〜5話は最後に貼っています。お時間ある方は、ぜひ順に読んでみてください】 終戦後、フミオの住む大阪府堺市も急ピッチで復興が進められた。 足袋工場が稼働し、商店街も姿を見せた。 大人たちが懸命に働く間、まだ幼い子らは ゴマメ(ルール適用外)とされ 大きい子供たちに混ぜてもらって 日中を過ごした。 子供たちは、どんな場所でも特別な道具が無くても、そこにあるものを使って遊
2022年7月22日 18:15
フミオがヤク金騒動を起こし 生まれ育った堺の町から母親に追い出され 約2年が経とうとしていた。 【第6話はこちらです】 以前のように顔を合わせることが無いから フミオの母、孝江の日常は この上なく穏やかだった。 「良かったな孝江はん 思い切って追い出したん、正解やったで」 周囲の誰もがそう口を揃えた。 フミオが不意に孝江を訪ねて来たのは
2022年7月29日 20:50
「ここへ座れ」 フミオが娘の樹里を呼んだ。 畳に胡座をかいて腕を組んでいる。 「今からパパが大事な事いうからな。しっかり頭に入れろよ」 「なに?」 樹里はチラッと壁の時計を見た。 明日は中学の入学式だ。 ハンカチとティッシュ メンソレータムリップ 髪を結ぶゴムも探さないといけない。 忙しいのに大事な話て、何なのだ。 何でも良いけど短く済ませ