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ボイストレーナーは歌を「教えない」

まさか連日投稿するなんて自分でも思っていなかったのですが、喉の不調が回復しないうちは歌以外を頑張らないといけないなと…ああ悔しい。

こんなタイトルですが「物事の上達に役立つ考え方」を一つ書いていこうかなと思います。
(前回同様「ラジオで話していないところ」まで踏み込んで書いていきますよ…!)

↓この記事の元ネタ

この記事はこんな人におすすめ!

  • 「物事の上達」のために必要な考え方を得られます。

  • 「練習しているのに、勉強しているのに上達できない方」がなぜ上手くなれないかを解説しています。

  • 最後まで読むと「ボイトレがなぜ長期的に行われるべきなのか」がよくわかります。
    (要点だけまとめたInstagram投稿は一番下に!)

「上手くやる方法≠上手くなる方法」という話。

この一文を読んで
「確かにそうだよね!」
と素直に思えた方にとってはやや退屈な項になるかもしれませんが、
「やり方を知ったら上手くできるに決まっている!」
と考える方は少なくないのです。
実際には、
「やり方を知っただけで上手くなれない」
が正なので、
「上手くやる方法」と「上手くなる方法」とは別なんですけどね。

これをすんなり理解するためのわかりやすい例えがいくつかあります。

1. そもそも言葉の意味が異なる。

まず真っ先に言うのが
「そもそも、やる方法(How to Do)とできるようになる方法(How to Be able)では言葉の意味が全然違うんだよ」
って話。
「やる方法」というのは「その場、その時点で実際に行う手順」のことで、
「やれるようになる方法」というのは、「実際に行う際の成功率を上げるため、事前に行うべき準備の手順」なんですよね。
これらは「時制」の段階から話が違うのです。


2. 実践するための準備ができていない場合(筋力が足りないなど)が多い。

1.で話したことを伝えても理解してもらえないことがあるのですが、
「逆立ち」で例えて伝わらなかったことはほとんどありません(ほとんど、ね笑)

どういうことかというと、
「どんなに丁寧に逆立ちの方法を伝えても、その場で瞬時に『逆立ちを維持するために必要な筋力』や『逆立ちを安定させるために必要な感覚』まで養うことはできない。」
ということなのです。

もちろん「上手なやり方」を理解することで成功率は跳ね上がりますし、習得効率は上がります。ただし、「できる」という状態になるためには「ある程度の資質、或いはそれができるようになるための準備」が必要なのです。

※僕の動画ではありませんが下の二つの動画が非常に良い参考になると思います。
 観なくてもこの先の話は理解できますが、時間に余裕のある方はよかったらご視聴してみてください♪笑

こちらの動画(A)と、


こちらの動画(B)ですね。

動画(A)の方で武井壮さんから逆立ちを教わった少年が逆立ちをできるようになるシーンがあるのですが、
これは「単に教え方がうまかったからできた」と考えるのは正確ではなく、
「本人にその動作を実践するための感覚と筋力が備わっていたから、上手な教え方と相まって即実践することができた。」
と考えるべきではないかと思うのです。

そう考える根拠の部分が動画(B)です。
武井さんは「動作のやり方を考える前に『(動作を実践するための)身体のコントロール能力』を磨く」という考え方をする人だとわかります。

つまり、「上手に歌を歌う」という動作に関しても、
「歌を上手く歌う方法(歌唱技法や演出方法など)が分かっていても、それを実践するための能力(基礎的な発声技術など)がなければ上手くは歌えない。」
ということなんですよね。

3. どちらか片方のみがあっても成り立たないが…

やり方を知っても実践するための筋力や感性がないと上手くいきませんが、
逆も然りです。
筋力や感性が備わっていても「やり方」を知らないと上手くできないんです。
さらにいうと、
これらの両方が備わっている状態であればできる」のです。
「片方ができているのに失敗するとき、もう片方を見つめ直す」と失敗は減り、成功確率が大幅に上がります。

「知行合一」という考え方があります。
知識と行為は一体で、 真の知識は実践によって裏づけられていなければならないという考え方です。
知っているだけで「できる」は成立しないし、できるだけで「知っている」は成立しないのです。
そしてその両方が伴った時、「本当の知識」が完成すると考えられるのです。


ボイストレーナーは歌を「教えない」

さて、ようやくタイトルの回収に入っていきます。
ボイストレーナーは歌を教えないという話です。

確かに僕らは「歌い方の提案」をすることがあります。
発声しやすくしたり、発音しやすくしたり、ボーカリストが演出したい感情や情景を醸し出すためのヒントくらいは出したりもします。
でも「歌い方」を教えません。

だって「ボイス」のトレーナーじゃん!!

さっきの話で言うところの
「その歌い方を実践するための基礎的な発声技術」
を教えるのが本来の意味でのボイストレーニングなんです。

ボイストレーニングとは、自由に歌唱するために必要な筋肉と感覚を養うための発声の機能的な訓練のことなので、「歌い方」までは含まれていないんですよね。

ちなみに正確には、歌い方やステージングを教えることを「ボーカルトレーニング」、それを専門とされている方のことを「ボーカルコーチ」と言うのです(一般的なイメージのボイトレはこちらの方ではないかと…)

だから実際のレッスンでも朗読や会話用の発声練習がほとんどを占める場合もありますし、歌の歌い方についてお任せしきってしまう場合もあるんです。
特に配信活動をされている方や、俳優などの活動をされている方を相手にしたレッスンですと「発声の習得」がメインになります。

歌い方を「教えない」もう一つの理由

僕自身がボーカリストでもあるので、歌い方を突き詰めるレッスンの方が多いのも間違いありません。
僕からしたら、どんな曲に対してもある程度は歌い方の正解が見えているもの確かです。

けれど「教える」というスタンスで行うことはかなり少ないかなと…
なぜかというと、
歌う方法を選び、実践するのはボーカルの役割、或いはディレクター(監督)の役割だからです。

歌い方の正解は一つじゃありませんので、「正解を教える」と言うのは違うよなと僕は考えています。
なので実際のレッスンでは、
「ボーカルさんと一緒に歌い方を探す」ようにしています。
僕は「歌の探検家」で、地図を読み慣れている人ですから、行き詰まった時に、
「こんな風にするのはどう?」「こんなテクニックもあるよ!」「これ試してみない?」と言うように提案をすることはあります。
でも道を「選ぶ」のは常にボーカルさんなんです。

あ、でも音程やリズムの正解を教えることは多いです…笑

まとめ

やらかしたぜ…
こんなに長文書くつもりなかったのに、気づいたら2時間もかけて文章書いていたよw
サクッとまとめにかかるのでもう少しだけお付き合いください!!

「ボイストレーナーの役割」

これはあくまで僕の考え方ですが、

ボイストレーナーというのは、
トレーニングを受ける方のパーソナルトレーナーとして発声を鍛え、心身のコンディションを管理し、モチベーションを育くみ、迷った時に選択肢を提示する役割だと考えています。

(一般的な「歌い方を教える人」という認識は、だいぶズレているんですよね。)

生徒様が趣味目的でもプロ志向も関係ありません。
僕は生徒様のパートナーであり、コーチであり、サポーターなんです。

文章にしてみるとやたらかっこよいですね。笑

どうでしょう?
習ってみたくなっちゃいましたか?

「気になっちゃったそこのあなた!!問い合わせカモン!!!」

…えー、今回はここまで(笑)
ここまで長々とお付き合いくださりありがとうございました!
今後もこんな感じの記事をポロポロと投稿していきますね。
そのラジオ版が上部のYouTube、Instagram投稿版が下記になりますのでよかったらフォローお願いいたします!

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