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あの時の北京の空気 ③北京で感じたこと


6年前に行った北京は、行く前のイメージとはかなり違っていた。特に印象に残ったことベスト5。


デジタル化が進んでる!


本当に楽で便利!と駐在妻Yちゃん。
スマホで欲しいものはなんでも手に入るとのことだった。
野菜を買って配達を頼むのも、レストランでのオーダーもそれぞれの支払いもすべてスマホで完結するという。
日本のように支払い方法が多岐にわたってないのもシンプルでいいとのこと。
くどいようだが、6年前の話だ。日本ではいまだに、支払のときにレジで「これは使える?使えない??」みたいなやり取りでもたもたする場面も多いのに比べると、当時、支払い方法が一つというのはかなりスマートに感じられた。

ただ、観光地でよく遭遇した、田舎から観光に出てきたおじさんおばさん達までそのデジタル化の恩恵を受けているのかは不明。ぜったいに格差はあると思う。

ちなみに個人同士のメッセージのやり取りは、中国版のLineのような、WeChatが便利。しかし、わたしのスマホはどこをどうしてもWeChatのインストールを拒否して、ついぞ入れられなかったので、まあ、そういう場合もあるということで。


治安が悪くない!


治安の面での不安はないのか、と駐在員Y氏に聞くと、「外国人を傷つけると、中国人を傷つけたときよりも罪が重い」そうで、犯罪面で危険を感じたことはないそう。見た目では区別がつかなそうだけど、やはり違いがわかるものなのか。

そんなわけで、大通りしか歩いてないけれど、夜道を歩いてもそれほど怖いとは感じなかった。欧米の方がよほど緊張を強いられる。

夜道を歩いてWalmartへ。生鮮食料品売り場には、生きたカエルちゃんも。


交通ルールはない!



旅行中のわたしのメモにはこう書いてあった。
「車は暴走。タクシーはほぼ暴走。電動バイクはさらに暴走。バスですら暴走。」ラップか。

タクシーでもバスでも、かなりスリリングな乗車体験ができるのが北京。自分が歩行者の側になったときには、さらにこの運転の粗さがリアルな恐怖として感じられる。
歩行者は、車の運転手にとっては、いないも同然。信号も気休めにしかならない存在。大きな道路も車の通行が切れた瞬間を狙って走って渡るしかないのだ。歩道を歩いていても轢き殺される可能性がある。道路を渡り終えた都度、生きている喜びを感じられる場所だ。

しかもタクシーでさえ車はポンコツ。帰る日の空港までの途中で、まさかのエンスト。違う意味のひやひやも味わえた。駐在員は、会社から運転を止められているとの話もうなずける。

各種車両、もれなくマナーが悪い。


調子にのってラップ調にしてみたYo

爆走北京

車は暴走バスも暴走 電動バイクもタクシーも暴走
運転手カリカリ乗客ピリピリ 求めてないスリル身体にしみる 
無いも同然道交法 あっても意味ないのは信号
運転手には歩行者は幽霊 ぼやぼやしてると本当に幽霊
命からがら渡る大通り 生きてる喜びそれだけであり
我先に行く積極性 まごうことなき国民性
道路の上のポルシェとポンコツ 走れば一緒なのは内緒 
Yo Yo


頭に浮かんでいたのはCreepy Nutsなんだけど、完全に吉幾三に支配されてるな・・・。


言葉の壁は…あるけどない。



駐在妻のYちゃんは、北京語を勉強していて、タクシーやレストランで会話ができるほどだったけれど、仕事で北京語を使わない駐在員のY氏は、覚えた言葉は「ビールください。冷たいの。」だけだと言っていた。確かに、レストランでの彼の発音は流暢に聞こえた。

わたしが現地の人としゃべる必要が生じたのはマッサージを受けたときだ。
個室なので、頼りにしていた駐在妻Yちゃんの通訳がない。Yちゃんからは、「着替えを貸してください」という北京語だけ教えられて、部屋に送り込まれた。忘れないように呪文のように何度も繰り返し、マッサージ師さんに会うなり「着替えを貸してください」。ちゃんと通じたのか、最初からその予定だったのか、着替えはちゃんと貸してもらえた。
マッサージはなかなか力強いもので、時々悲鳴を上げそうになるくらいだったが、何と言っていいかわからないので、ひたすら耐えた。
その話をしたら「いくらこっちの人でも、Noくらいはわかるよ」って。そうか、No!って叫べばよかった。
ちなみに、最後に額のシワを伸ばすべく、めちゃくちゃごしごしされたね、って言ったら、そのサービスはわたしだけだった模様。どうやら個人に合わせたプレミアムな施術が受けられたということのようだ。

基本的に、ホテルでしか英語は通じない。しかし、そもそもわたしのような旅行者はそんなに観光業以外の人と話す場面がないので、北京語がわからなくてもなんとかなる。
さらには、耳で聞いてわからなくても、文字で見るとなんとなくわかるのが助かる。ありがたや、漢字の世界。

字と絵の上手い先生が何かを教えてくれるのであろうお店。


北京の空気はやっぱり悪い



PM2.5で、北京の空は真っ白です。というニュースがメインだった頃だ。喘息持ちのわたしにとっては、一番気になる部分だった。
幸い、旅行中の4日間は、快晴で青空。空気もきれいでよかったね、と言われたけれど、日本に比べれば空気が重い、なんとなく臭い感じはつきまとっていた。
タワーマンションの友人宅には、空気清浄機が複数台あって常に稼働状態だった。PM2.5がひどくなった時のためのマスクもあるから安心して!と見せられた医療用のマスクは、当時は「すごい、こんな大げさな!」と驚いたものだけど、数年後のコロナ禍ではよく目にすることとなった。
ちなみに、北京で使われなかったそのマスクは、友人が帰国の際に持ち帰り、コロナの始まりの時期に病院に寄付して相当喜ばれたそうだ。

人気観光地、后海。

行く前に抱いていたイメージよりも、良い方向に裏切られた北京での4日間だった。もちろん、旅行者が快適に過ごせるようにアテンドしてくれたYちゃん夫妻のおかげだ。
北京に詳しい知人から、ビル1棟、まるまる偽物しか売ってないところがあるから行ってみれば、と言われていたけれど、そういうところは行かずじまいだったし。

転勤前、北京に行くなんて…と駐在についていくか迷っていたYちゃんが、「住めば都」と言っていたのには、かなりホッとした。同じように、駐在に同行して北京に来た人の中には、どうしても馴染めずに帰ってしまった人もいたそうだ。

空港での別れ際、Yちゃんに手を振りながら、彼女の異国での頑張りに思いを馳せて、ちょっと泣きそうになったのは秘密にしてある。


友人夫妻は既に帰国済み



おしまい



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