雨の音に包まれて

カフェで作業をする時は，AirPods pro から雨の音を流している。
しとしとと雨の降る音に包まれながら過ごしていると，驚くほどに集中できる。しかも無音よりも落ち着くのだ。

私は人の目よりも，音が気になっていたらしい。
これはノイズキャンセル機能を使い始めてから実感するようになった。

元々聴覚優位なこともあって，人の声や環境音に反応してしまう。特にカフェのように沢山の話し声や音が聞こえる場所では，目の前の会話に集中するのが難しいということもよくあった。

これは会話に限らず，読書をしていても作業をしていても同じなのだ。
音が聞こえると意識が自然とそちらに向いてしまって，集中が途切れてしまう。どんなに視覚的に空間を区切っても音は遮断しきれないので，困ったなと思っていた。

けれどノイズキャンセル機能のおかげで随分楽になった。
雨の音に包まれている限り他の音はほとんど耳に入ってこないので，安心して目の前のことに集中できるのだ。誰かといるときは流石にイヤホンを使うことはないが，ガヤガヤしているところではじっくりとした会話は避けるよう意識しただけでも全然違った。

苦手なことを無理にする必要はないし，気合いで乗り切るのではなく物理的に遮断してしまうのも一つの手だ。できない自分を責めることもなくなるし，何よりすごく気持ちが楽になる。

最近はそうやって，苦手と真正面から向き合いすぎないようにしている。
できない自分を目の前にすると，どうしても私は自分を責めてしまう。それが自らの首をしめる行為だと気づいているのにやめられなかった。
もちろん苦手でも挑戦したいことであればやってもいいと思うけれど，しなくていいことだって沢山ある。

イヤホン一つで楽になるならその方がいい。
それを許せた私は前よりもずっと息がしやすくなった。

できれば世界もそうであってほしいなと願っている。