新しい私に気づかせてくれた一言

アイライナーを新調した。
お気に入りのラブライナー。ひきやすい上に滲まないのがいい。
ここ数年はずっと,ダークブラウンを愛用している。

先日友達と話していた時に「ゆらちゃんブラック似合いそうなのにブラックは使わないの?」と言われた。「え?」と思わず言葉につまる。
言われるまで,なぜ自分がブラックを避けていたか考えたこともなかった。

避けていたというよりは,はなから選択肢になかったと言う方が正しい。たしかラブライナーを教えてくれた友達がダークブラウンを使っていたから,深く考えることなく同じ色を選んだ,というのが始まりだった気がする。
その後は当たり前のように同じ色を選び続けていただけの話だ。
特に意味はなかった。そこに私の意思もなかった。

ドラッグストアでダークブラウンの横に並ぶブラックを手に取る。
なんだか強そうに見えなくもないが,ひと昔まえのような囲みメイクをするわけでもないし,いいかもしれない。
意思がどうとか言いながら,またしても友達の言葉に影響を受けてブラックを購入することにした。ラインの色が変わるだけのことなのに,なんだかドキドキしてしまう。

帰宅して,もうどこにいく予定もないのに鏡の前にたつ。
数年ぶりのブラック。本当に似合うだろうか,変に浮いてしまわないだろうかと,不安な気持ちが押し寄せて試さずにはいられなかった。

まぶたの上にすーっとラインを引いて鏡を見つめる。
そこには,ダークブラウンの時よりもすっとした私が立っていた。

どうして最初からこっちにしなかったんだろうと思うくらい,馴染んでいる。もはや,今まで使っていたダークブラウンの方が浮いていたんじゃないかと思うほどだ。
新しい自分に出会えた気がしてすごく嬉しくなった。

♦︎

私はずっと,自分のことは自分が一番分かっていると思い込んでいた。
けれど友人の見立てはたしかで,私よりも私に似合う色を分かってくれていた。そして,それをそのまま伝えてくれたことも嬉しかった。

私はこっちの方がいいかも,と思っても本人が好きだったら悪いしなと思って言えないことが多い。でも押しつけるのでなければ,私はこう思うって自分の意見を伝えてもいいのかもしれない。彼女が伝えてくれたおかげで,私は自分に似合う色を知ることができたわけだし,そうじゃなければずっと気づいていなかっただろう。

「あなたのためを思って」というフレーズはあまり好きではない。けれど,「私からみてあなたにはこんな選択肢もあるように思うけどあなたはどう思う?」だったら話は別だ。

最終的に決めるのは相手だということを忘れなければ,私はこう思うよって言ったり言われたりするのって,実はとても素敵な関係性なのかもしれない。そのことに気づけて私は今とても嬉しい。

そのお気持ちだけで十分です…と言いたいところですが、ありがたく受け取らせていただいた暁にはnoteの記事に反映させられるような使い方をしたいと思います。