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するりとかわして笑えたら

髪を耳にかけるたび、マスクの下でほんの少し口角があがる。

イヤリングカラーがいい色味になってきて、気づいてもらえることが増えた。
思いがけず好評で、それもまた嬉しい。
あくまで自分が好きでやったことだけど、人から見てもいいと思ってもらえるって素敵なことだ。
それに私は、慣れないことをすると周りの反応を気にしてしまうので、そういう意味でも嬉しかった。

♦︎

たまにしか会わない同業のお姉様は、いつもお洒落で上から下まで美しい。美魔女ってこういう人のことをいうんだろうなと思う。

この前会った時には、服装がお洒落なのはもちろんのこと、髪の毛もピンクのグラデーションでとても綺麗だった。いいなと思いつつ、実際にやるとなると結構勇気がいりそうだ。人目を気にしているうちはきっと無理だろう。目立たないようなことはできるけど、目立つことになると途端に臆病になってしまう。

こっそり憧れの眼差しで見ていたら、近くにいた人がお姉様に声をかけた。子どもももう大きいのに、その髪型はすごいね、みたいな言葉だった気がする。
(ちなみにお姉様のお子さんは大学生らしい)
私はお姉様がなんと答えるのか気になって、思わず聞き耳を立ててしまった。

お姉様は全く意に介す様子もなく、
「可愛いでしょ〜。子どもたちにも染めちゃいなよって言ってるけど誰も染めてくれないのよね。ピンク可愛いのになぁ」と笑っていた。

清々しいくらいさっぱりした、それでいて素敵な返しに思わずその場で拍手したくなった。私ならヘラヘラと愛想笑いでその場を乗り切って、後からうじうじ悩みそうだ。お姉様のような返しはきっとできない。

♦︎

言葉をそのまま受け止めず、上手に流せる人のことを心底尊敬している。真っ直ぐ受け止めてしまうと、時々棘が刺さってしまうことだってある。あれって、一度刺さると痛いし、次からが怖くなってしまう。

でも、するりとかわせたら相手もそれ以上何も言わないし自分も変に傷ついたりしない。そういうスキルはとても大切で、健やかに生きていくためには欠かせないものだと思う。

私はまだ愛想笑いと自虐くらいしか引き出しを持っていない。だからもっとスルースキルの引き出しを増やしたいな、と思う。お姉様のように、誰も傷つけない方法で返せるように。そのために、日々修行を積もうと思う。まずは、いいなと思った返しを自分のものにするところから。

悪意のある言葉にも、「これ素敵でしょ?」ってキラキラの笑顔で返せたら最強になれそうだ。

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