フランスの植物由来の新興企業に新風が吹いているが、世界的なインパクトはまだない
一時のブームが落ち着き、プラントベースの代替タンパク質などの企業のニュースは少なくなっています。本日はフランスより現状を捉えた記事がありましたので、ご紹介いたします。
Umiamiはヨーロッパ市場を狙うフランスの代替食肉スタートアップだが、競争の激しい分野だ。
フランスのフードテック企業Umiamiは、今月初めに3,250万ユーロという素晴らしい資金を確保した。この最新の資金調達により、わずか3年前に設立された同社が調達した資金の総額は1億ユーロを超えた。
同社は、スイス、ベルギー、オランダ、スペイン、イタリアにおける既存の流通を活用し、主にホスピタリティの専門家をターゲットとした企業間取引（B2B）戦略を通じて、ヨーロッパ全域でのプレゼンス拡大に照準を合わせている。
「当社の戦略は、さまざまな地域で同時に展開することです」とUmiami氏はEuronews Businessに語り、英国、ドイツ、オランダが同社の製品にとって最も「成熟した」市場と考えられていると説明した。
同社はシカゴに事務所を開設し、アメリカ市場にも進出している。
ウミアミは、「独自のタンパク質テクスチャリング技術」である「ウミ化(umisation)」と呼ばれる肉の切り身の食感を模倣する技術に賭けたという。
また、加工食品に対する批評家を黙らせるために、10種類以下の原材料しか使用せず、完成品には「論争の的になる」保存料を使用していないと主張している。
さらに、「100％フランス製」の旗を誇らしげに掲げ、余裕がある限り地元産の製品を好むという消費者の時流に乗じている。
「シリーズAラウンドの大成功と、投資家とパートナーからの信頼を非常に誇りに思います」と創業者たちは声明で述べた。
シリーズAラウンドとは、通常、創業者、友人、家族から資金を調達するシードラウンドの後、ベンチャーキャピタルから資金を調達する企業の最初の重要なラウンドを指す。
この資金調達の成果は、フランスの産業界を活性化させるための幅広い取り組みを反映している。フランスは2021年に540億ユーロの投資計画を開始し、一連の提案募集を通じて2030年までにフランスを世界経済のリーダーに位置づけることを目指している。
市場分析会社Xerfiの食品加工専門家であるマッテオ・ネリ氏の説明によれば、Euronewsを含むメディアの大きな注目にもかかわらず、植物性食品市場は依然としてニッチであり、その成長は世界規模で鈍化している。
「植物由来の牛乳、デザート、代替肉など、植物由来の製品市場はすべて、フランスのマーガリン市場に匹敵します」と、彼はユーロニュース・ビジネスに語った。
「このような小さな市場からスタートした場合、もちろん2桁の成長率はありますが、2022年には衰退してしまいました」と彼は付け加えた。
オー・ルヴォワール・ミート、ボンジュール・ベジ製品
カンター・ワールド・パネルによると、フランスの家庭のほぼ半数にフレキシタリアン（主に菜食主義者だが、時折肉を食べる人）がいる。
潜在的な消費者の数が増えているのだから、企業がヴィーガンやベジタリアン向け製品市場で大きなシェアを得ようとしているのは当然で、フランスの新興企業数社がこの争いに参入している。
Happyvore社もフランスのビーガン専門企業で、今年6月にフランス中心部に工場を開設し、さまざまなレストランチェーンを通じて製品を販売している。
ベーコンを模倣した製品に特化したラ・ヴィ・フーズも、近年かなり拡大しており、非常に目に見えるマーケティング戦略、フランスのバーガーキング440店舗との提携、2022年に2500万ユーロを調達している。
この新興企業は、ヨーロッパで約4,600の提携小売店を数える。
2023年に実施された調査によると、フランス国民の約40％が植物由来の製品をより多く摂取したいと考えているが、実際の生活では必ずしもそうではない。
人間は常に矛盾に満ちている、とネリは指摘する。
「意思表示と実際の購入には大きな乖離があります」と彼は説明する。
植物性食品のパラドックス
Good Food Institute Europeの分析によると、植物由来の製品は2020年から2022年の間に21％成長し、この分野は58億ユーロという記録的な金額に達した。
しかし、この成長から最終的に利益を得るのは誰かという疑問が生じる。
フランスの新興企業は繁栄しているものの、世界的に大きなインパクトを与えるには至っていない。植物由来の代替食品市場を世界規模で支配しているのは、ケロッグのような大手企業だ。
例外は新興企業のビヨンド・ミートで、2019年に新規株式公開を発表したが、ここ数カ月は市場で困難に直面している。
さらに、消費者が植物由来の選択肢を求めるようになっても、必ずしも代替肉に目を向けるとは限らない、とネリは言う。
「植物性代替食品にとって最も強力な競争相手のひとつは、肉ではなく植物です」と彼は説明する。
食品加工部門の中心的な拠点であるオランダは、これらの製品に強い関心を示している。英国とドイツも有望な市場である。
一方、フランスやスペインのような国々は、伝統的に食事の時間や食事そのものを神聖視している。また、フランス人の半数以上が食品産業に対して不信感を示しているのに対し、イタリア、オランダ、スペインは35％程度である。
この特徴的な市場環境は、フランスの新興企業が国内市場のみに注力するのではなく、欧州市場に進出することを後押しする重要な要因となっている。
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