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春の涙:木島櫻谷、大倉集古館、OHANAMI KITTE、そして…

先日、六本木に出かけて、小さな美術館をハシゴしました。

まずは泉屋博古舘東京『ライトアップ木島櫻谷』展。

泉屋博古舘東京の入り口

大正期を代表する日本画家、木島櫻谷を取り上げた展覧会です。
自然や動物を写生した作品が中心ということで、自分の好みに合いそうだなと思って出かけました。直感が当たり、見入ってしまう作品がいくつも。
四季を連作で描いた大屏風が、とりわけ見事でした。
  麗らかな空気が漂う、柳に桜
  尾形光琳より写実性を感じる燕子花
  装飾性豊かで色彩感覚もヴィヴィッドな菊
  凛と咲く姿が清らかな、雪の中の梅
季節の移り変わりが繊細で味わい深い日本に生まれて良かったと、つくづく思います。

次に訪れたのは、大倉集古舘で開催中の『大倉集古舘の春』です。
「新春を寿ぎ、春を待つ」をテーマに掲げ、「末広がり」でめでたい扇作品から展示が始まります。

大倉集古舘 ポスター

外光が映りこんでしまって見にくいですが、上記ポスターの上部の作品が、宗達派による17世紀の作品『扇面流図屏風』です。
品のよい華やかさで、「春を寿ぐ」のにぴったりだなあと感じました。

ホテル オークラ東京 ロビー


続いて今日は、東京駅そばの商業施設KITTEで行われているイベント『OHANAMI KITTE』を覗いてきました。
一階のアトリウムに、日本各地で春を彩る10種類の桜を再現した、大きなオブジェが出現。

OHANAMI KITTE オブジェ


さらに俵万智さんの春を詠んだ短歌が、館内数か所に展示されています。
印象に残った短歌がこちら。

『OHANAMI KITTE』の短歌ギャラリーにて

何故この歌が心に刺さったかといいますと…

この数年の私の最大の推し、フィギュアスケート選手の宇野昌磨さんを思い浮かべたからです。
宇野選手の長年の頑張りとスケート界への貢献、とりわけ北京オリンピック以降の大奮闘、そして今シーズンのあれこれを踏まえて、様々に思いが巡る数日を過していたところに、この歌が飛び込んできた次第です。

それにしても、見ている人はちゃんと見て、分かっているものですね。
ファンの一人としては読んでいて思わず涙が滲んでくるような、温かくも、適切な距離感を保った観察眼が光る記事です。
     ↓   ↓   ↓
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80185

宇野選手を長らく見てきて、『雪持柳』※の清廉さ、しなやかな強さを連想します。
※日本画や着物などの文様のひとつ。しなやかな柳が雪の重みに耐える姿をデザイン化したもので、やがては雪をはね返す弾力を有する柳の生命力と、春を待つ心が伝わる文様。

「スポーツは真剣勝負の先にある美しいもの」

これは宇野選手が、平昌オリンピック後、JOCのインタビューで
「宇野選手が感じるフィギュアスケートの魅力とは?」
と問われて発した名言です。
「スポーツは真剣勝負の先にある美しいものだと信じています。
 真剣に戦いながら選手同士が上下関係なくいい関係を築いていることも、
 フィギュアスケートならではの魅力だと思います。」

宇野昌磨選手が、今後についてどのような選択をするにせよ、応援し続けていこうと改めて強く思うのでした。


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