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『本質』シリーズ5『人権の本質』

※今回は、参考書として『武器としての国際人権』(藤田早苗著)を挙げておきます。


『人権』とは何か?ということも、一緒に考えてみましょう。

さて、前回は『お金』は『人権』に直結するという話をしました。
だって、今日本は『お金がなければ医療も福祉も受けられない国』になってますから。

じゃあ『人権』とは何でしょう?
人権とは、『思いやり』と『優しさ』ではありません。
だって、みんなに『思いやり』や『優しさ』を持って接するのは無理でしょ?
嫌いな人は嫌いだし、苦手な人は苦手。
でも、仲が良い人は別ですよね。

また、こんな例があります。
歩道の段差を登れない車いすの人がいます。
あなたは、その人を介助してあげた。
では、この車いすの人の人権は守られたのでしょうか?
答えはNOです。
あなたが優しかったから、車いすの人は段差を登れただけ。
あなたがいなくなったら、登れる保障はどこにもありません。
本当は、あなたのような優しい人がいなくても、段差が登れる状況が望ましい。
それが『人権』の視点です。


『人権』は誰もが等しく有するものです。
そして、国が人権を保障する義務を有するということです。
いいですか?
『国が人権を保障する義務がある』んです。
そしてそれは憲法に明記されています。

私達に深く関わる憲法25条。
「健康で文化的な最低限度の生活」
誰もがそういう生活を送る権利があり、国はそれを保障する義務があります。

そして「健康で文化的」であることが大事です。衣食住に困り、明日の生活もわからない。そんな不安定な生活は「健康で文化的」でしょうか?
安定した収入があり、余暇も楽しめ、医療アクセスも気軽にでき、働けなくなっても保障される。
それがほんとですよね。

そのために必要なのが『お金』ということです。
『お金』は、本当の豊かさと交換する道具なんです。
それを国が発行しているというわけです。


医療、福祉サービスにアクセスするために、私達は社会保険料を払い、さらに窓口負担や実費負担払いますよね。
そのお金、元々国が発行したお金です。

でも国が何を言ってきたか?
『国はお金がないから、皆さんに広く負担してただく』
お金を発行できるのに、お金を発行できない市民に広く負担していただく。
おかしいですよね?


さらに介護職は全産業平均より100万円収入が低い。
介護は公定価格です。
つまり、通貨を発行している国が価格を決めている。
通貨を発行している国が、『金がない』と言って国民から金を徴収している。
通貨を発行している国が、介護職を安い賃金で働かせている。
そして、私達介護職も、介護保険料払ってるんですよ。
自分達の給料の一部を、自分達で払ってるって、おかしいでしょう?


で、その介護職、全産業平均より100万円低い賃金で、「健康で文化的な生活」出来ますか?

魅力発信、やりがい発信で来ていただく世界は、「健康で文化的な最低限度の生活」を営める世界ですか?

つまり、人権を擁護する側の人権は保障されているのか?
人権を保障する義務がある国に、私達の人権を守れと声をあげているか?
そういうことです。

利用者さんの笑顔のためには、あなたが笑顔でなければいけません。
利用者さんの人権を守ると同時に、あなたの人権も守られなければならないんです。

だって、人権は誰にでも等しくあるものだから。

しかし、今はそうではありません。
次回は『社会問題の本質』を考察します。

キーワードは『新自由主義』です。

お付き合いいただきありがとうございました😊

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