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2024年4月の記事一覧
夏目漱石「行人」考察 芳江は直と一郎の子ではない?(9) 芳江は誰の子?
(写真は、新宿区立漱石山房記念館で購入したグッズを、私が撮影したものです。)
https://soseki-museum.jp/
1、一郎は子ができない?
これまで散々、芳江は直と一郎の子ではない旨を書いてきた。
では誰のどういう子かというと、現時点での私の推測では、
「一郎がなんらかの事情で子づくりできないため、直側の親戚の子を、密かに養子にもらった。対外的には実子として育てている」
と
夏目漱石「行人」考察 芳江は直と一郎の子ではない?(8)―1 なぜか離婚されない直
1、堂々と不仲をみせつける嫁・直
「あれだから本当に困るよ」と母が云った。
(略)
「―― 直の方から少しは機嫌の直るように仕向けて呉れなくっちゃ困るじゃないか。あれを御覧な、あれじゃまるで赤の他人が同なじ方角へ歩いて行くのと違やしないやね。なんぼ一郎だって直に傍へ寄って呉れるなと頼みやしまいし」
母は無言のまま離れて歩いている夫婦のうちで、唯嫂の方にばかり罪を着せたがった。これには多少自分にも
夏目漱石「行人」考察 芳江は一郎と直の子ではない?(7) 「一人っ子」確定
1、二人目はいらない?
これまで、芳江の存在自体にほとんど誰もふれない・語り手の二郎も想起しない不自然さについてふれてきた。
似たような話であるが、一郎・直夫妻について
・「そろそろ二番目の子は」~ との話が全く一度も語られない・語り手の二郎が内心での想起もしない
またこれと重なるが
・一郎が長野家の長男であるにもかかわらず、「男の子も~」との話が全く一度も語られない。これも二郎も想起もし
夏目漱石「行人」考察 芳江は一郎と直の子ではない?(5) 自宅で急に出て来る
(画像は、新宿区立漱石山房記念館内の展示を私が撮影したものです)
https://soseki-museum.jp/
1、ようやく名前が示される「芳江」
繰り返すが、芳江の存在については大阪旅行中わずかに1回だけ、直とお兼との会話でふれられる。
―― 最後に子供の話が出た。すると嫂の方が急に優勢になった。彼女はその小さい一人娘の平生を、さも興ありげに語った。――
(「兄」四)
(※ 著作権
夏目漱石「行人」考察 芳江は一郎と直の子ではない?(4) みな自宅以外では芳江を想起しない・紀三井寺のベンチ
(画像は新宿区立漱石山房記念館内の、無料公開箇所の展示を私が撮影したものです)
https://soseki-museum.jp/
(夏目漱石は本名・金之助。養子先の塩原家から実家に引越しても戸籍はしばらく移せなかったので、若い頃は本名が「塩原金之助」
「塩原金之助」の卒業証書)
1、例によって存在にふれられない娘・芳江
「それでは打ち明けるが、実は直の節操を御前に試して貰いたいのだ」
(「
夏目漱石「行人」考察 芳江は一郎と直の子ではない?(3)―B みな自宅外では芳江を想起しない・和歌山の夜
(画像は、新宿区立漱石山房記念館の展示物です。撮影は私)
https://soseki-museum.jp/
1、和歌山の夜でも想起されない娘・芳江
「行人」で前半部分にして最大のクライマックス、二郎と嫂(あによめ)・直とが二人きりで嵐の晩をすごす和歌山の夜である(「兄」二十七~三十九)。
その晩を含む大阪旅行全体で芳江の存在はたった一度しかふれられていない。それ自体不自然だが、この和歌山