#2:不思議な体験 No.1

1. まえがき、注意書

先日、家族三人(娘, 妻, 私)で実両親の実家へおじゃました時に、
娘が襖の開いていた仏間を見て急に泣き出した。
仏間は娘が泣き出すような人形や絵は飾っていない。
単に畳が敷いてあるだけの和室である。
しかしそんな部屋なのだが、かつて私が体験した出来事があった。
それをこれから長々と書いていこうと思う。

今この記事を読んでいただいている皆様の中にも
不思議な経験をされた方がいらっしゃるかも知れません。
このような体験談をいろいろ見聞するのも楽しいだろうなと思い、
ここに過去の不思議な体験を書くことといたしました。

日記を読み返しながらゆっくりと書いていったので
今回も長くなり申し訳ございません(総字数約4600字)。
気ままによろしくお付き合いくださいませ。

※   注意書
これからの話は私の実体験であり、投稿日現在(2022年06月23日13:30頃)
怪談師の方等に話していないことになります。
もし話の内容を怪談の朗読チャンネル等でご利用するというお話であれば、事前に私本人の許可をお願い申し上げます。

それではゆっくりしていってね


2. 不思議な体験の夜

実家での不思議な体験の夜、家族(両親, 弟)は2階のそれぞれの部屋で就寝、
私のみが1階の仏間隣にある小部屋で就寝だった。
寝る部屋に行くため階段を1階に降りている途中あたりで
何かがいる気配を感じた。その気配は強いものだった。

私以外は2階にいたためこれはおかしいはずで、
「まさか忍び込んでいる泥棒がいるのか」と思い、
突然のエンカウントに備え「叩ける硬いもの」を持って、
全部の照明をつけ1階全体を捜索することにした。

だが....いない。玄関や窓は全て施錠済、
人が侵入して隠れられるようなところはくまなく見て回った。
見落とし防止のため繰り返し見てまわったが誰もいない。
人どころかゴキブリ1匹いない。
しかし、何かがいる気配は消えることもなく
何処かに潜んでいるように感じていた。

一人暮らしするまで住んでいた実家なので何があるのかは
大体わかっていたし、全ての照明をつけていたため1階全体が明るい。
なのに見つけられない。
ヒトサイズの大型動物がいるはずと思い込んでいた私の脳みそには、
なぜこうも気配の存在が見つからないのか理解することができなかった。

いないってどういうこと?


これはヒトではなくネズミサイズの小動物がいるのかもしれないと思い、
聞き耳をたてて音の感覚を研ぎ澄ませてみたが無音、
それでも押し黙っているなら物を叩いて驚かせてみたが無反応、
臭いについても感覚を研ぎ澄ませてみたが動物臭はない。
やはり見つけることができず諦め気のせいにして寝ることにした。

この時の自分はオカルトに属するものの存在など
胡散臭いウソとしか思っていなかったし、
現在も気配を感じさせている忍び込んでいるものが小動物ならば
撃退することなど容易であるから気にせず寝てしまうことに決めた。

捜索で疲れたこともあり、その後はいつものようにすぐに寝ついたと思う。
眠り落ちてどれくらいの時間が経ってからだろうか。
突然に「それ」が始まり私は起きてしまった。
トントントンと叩いてる音が聞こえているのだ。

電気は消していたので真っ暗であったが、
寝ている私の斜め上から音が出ていることがわかった。
私が寝ている部屋の上は広いベランダになっており、
眠れない弟がそこで何かやってるのかなと思った。

横になりつつ音の出どころ付近をぼーっと見ていたのだが、
体を起こすと急に音がしてこなくなった。
このとき私は「止まったからいいや」ではなく「おかしい」と思った。
偶然ではなく私が行動に出ること確認して止めたように感じた。

それに、大きさ・強さ・間隔もあまりにも規則的すぎて妙だった。
音の原因最有力候補は依然として弟であるが、
普通ではないと感じていたので音の正体を確認することにした。

2階へ上がって様子を見てみたところ、弟は寝ていた。
寝息をたててしっかりと。寝たふりはしていない。
一応決めていた妙な音の原因最有力候補から弟が外れた。
これは問題である。他に何が原因かもうわからない。
気持ち悪いと思いながらも再び自分の布団に横になったところ、
時間はそれほどあけずにあの軽く叩くような音が再開した。

今度はしっかり起きていたので音の出どころがはっきりとわかった。
ベランダからではない。もっと低い、つまりはこの部屋からだ。
この小部屋と仏間を仕切る襖の上にある桟から音がしているとわかった。
まさかここから音がしているとは。

身長160以下の人では叩けないかもしれない。小動物がクライミングできるスペースもない。

あり得ない事態がこの場で起こっているということを実感した。
見つからなかった気配の存在主はこの者か!
侵入者(ヒト)なんて最初からいなかったわけか!

トンと聞こえた時にすぐムクっと起き上がると音は止む。
すぐに電気をつけ締めきった室内隅々を探しても何もいない。
逃げている音も何一つ聞こえない。小動物でもない。

起きたついでに試しに桟木を叩いてみたら、
さっきから聞こえているのと同じ音がした。
照明を落とし再び横になると叩く音は再開される。
これが繰り返しになっていた。

「何をしている。やめろ」と言っても無視され音は続く。
ひょっとしたら言葉はわからなかったかもしれない。

この当時は一切信じていなかった類のものから
こんな嫌がらせを受けるだなんて思ってもいないことだった。
怖いなどは一切ないが、音がいつまで続かわからないのは困る。
静かな夜更けの室内で桟木を叩く音は意外に通る。
寝ようとしても気になってしまう音であった。

しかし長丁場になると疲れてきて段々と眠くなってくる。
音がするだけで他に何もなかったので寝かけていた....ら、
まさかの実力行使が始まったのだ。

暗闇のなか音が聞こえていた上桟が急に眩しく光り、
光は長く伸びて筋になり左右にくねらせる。
その光は寝ている私の頭の斜め上で静止し、
筋が集約して丸くなり光りながら空中浮遊を始めたのだ。
ここまでほんの一瞬の動きだった。

筋は残光か。実体(もしくは幽体)は球体か。
よくわからないものが突然急接近してきた。

ほぼ寝かけていて完全に隙をつかれた私にはまさかの動きであり、
もはや驚くことしかできない。
一瞬のことと眩しく感じた光で瞼を開けることができなかったが、
これは見ちゃダメだと感じた。
「なんだお前は」と話しかけるのもNGだろうと思い、
寝たふりをすることにした。

だが寝たふりを上手にしていると思いたくても、
冷や汗と体の震えは止まらないのでバレてるんじゃないかと思った。
こんな様子「光る球体」に気がつかないはずがない。
頭がぶつかるくらいの極至近距離にこれが在るのだから。

ちなみにだが、「光る球体」がそばにいる時は桟木を叩く音はなかった。
音の主がこいつだったことを理解した。

暫く時間が経ったように思うが、これはなかなか移動しそうにない。
いつまでこれが続くかわからないが、どうすることもできない。
こ奴に対し早く消え失せろと願いつつ寝たふりを続けるのみ。
こ奴からは悪意は感じないが行動の真意は全くわからないので、
余計な私からのアクションはしない方がいいと考えていた。
ただ耐えるのみであった….が、次に気がついたら朝になっていた。
スズメだったと記憶しているが部屋の外で鳴いているのがわかった。

寝ついた(もしくは意識を失った)あとからは
どれくらいの時間が経ったかはわからないが、
不思議と体の疲れが全然なく頭も気分もスッキリしていた。
記憶がなくまる前までは切羽詰まった状況であったあの時から思うと、
目覚めてからの体調の良さは自分でも理由がわからなかった。

でもすぐには瞼は開けなかった。
もし気配を消され静かにして佇まれていたと思うと怖かった。
おかしな気配はすでに無くなっていたが念のため待つことにした。

しばらくして家族の誰かが起き出したのか足音が聞こえる。
「この歩き方は父さんだな」とわかり安心したのを覚えている。
父さんに続いて母さん、それから弟が起きてきて1階に集まった。

私はかなり慎重だった。
いや、慎重にならざるを得なかった。
「もう絶対大丈夫」と確信して瞼を開けて起きることにした。
この時もしスズメの鳴き声から始まる一式全てが「光る球体」の
ダミープレーだったとしたら本当に恐ろしいところだった。

4人が揃ったので朝ごはんをみんなで食べることに。
久しぶりに実家に泊まったこともあり「よく眠れた?」と聞かれた。
夜中に起きたことを正直に話すかどうか一瞬躊躇したが、
今回のことが続くかもしれないと思い話してしまうことにした。
こんな話を不意にしたのだから当然家族はみんな驚く。
絶句というのはこういうことを指し示す言葉なのだな。
シーンと押し黙っていた。

朝から何言ってんだ….大丈夫なのか….


少ししてから「そんなこと今までなかったよ」と言ってきた。

もし私が起きて青白い顔していたり具合を崩していたら
寺に行くなどに話が移ったかもしれないが、
元気そうにしている私を見ていればそれは大丈夫と判断できるはず。
家族は心配する様子もなかった。
ちなみにその日以来今日まで私の体験したことと同じようなことがあった
という話も聞いていない。
あれはたまたま起こったことなのかもしれない。

そして不可思議存在の正体について話が移っていったのだが、
ご先祖様、飼っていた犬・金魚、などいろいろな意見が出てきた。

いずれも守護をしてくれそうではあるが、
もしご先祖様だとして昨夜のようなことをしてくるのか?
いくら出来の悪い子孫であるからって、もっと優しい接し方があるはずだ。

ご先祖様でなければ飼っていた犬・金魚であろうが、
昨夜のような行動をとってくるのか疑問に感じる。

結局何が現れたのかはわからないままだが、
タチの悪いものではなく良かったと思う。

3. おわりに

この不思議な体験の後から、霊感センサーを感じるようになった。
それまでは一切そんなことはなく周りの人や飼っていた犬を通して
間接的に「ここから離れた方がいい」と判断して逃げることがあった
くらいであったのに、
30歳もすぎてから一夜にしてオカルト的存在を自分自身で感じて
判断できるようになった。
何なんだこれは。こういうものなのか。

予期せぬこととはいえせっかく体得したこの感覚なのだが、
ここ1年間ほどは彼らを感じるようなシチュエーションには遭遇していない。
単にそのような存在が近くにいないだけなのかもしれないが、
なんとなくだが感覚は鈍化している気がする。
要は感覚と呼ばれるものは何であれ、
使わないと鈍ってしまう物であることに例外はないのかもしれない。
直感、異性・子ども・動物の心理を読み解く感覚、料理の感覚、運転感覚、この霊感であれ全て。

また、遭遇頻度がかなり減って鈍ったことに伴い、
検知の際の体状態がマイルドになったなとも思う。
空間ごと体が押さえつけられる激しいものは無くなった。
これがないだけでもいいかもしれない。

今回も長々とお付き合いくださりありがとうございました。
このような不思議体験もまた載せようと思いますし、
もちろん他のテーマも出していきます。
写真も動画もない話題はYouTubeには出しにくいですからね。
noteは色々なテーマで出しやすいことが魅力かなと思います。
次回もまたお立ち寄りしていただければ幸いです。
またの機会にお会いいたしましょう。

〜 2作目 『完』 〜 



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