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発達に個性を持つ子どもたちからのメッセージ ~子育て・教育の新たな可能性~【前半】  

子どもたちはそれぞれ異なる個性を持っていて、同じ子は一人として存在しません。発育や発達に関しては、年齢や学年が一般的な指標として使われますが、これらは目安に過ぎず、すべての子どもに当てはまるわけではありません。身長や体重はもちろん、手先の器用さや力の強さ、柔軟性、恐怖を感じるポイントまで個人差があります。
それは大人でも同じなのに、急激な成長を遂げる子どもの能力を、年齢だけで決めることで、その子の可能性を奪ってしまうことにもなりかねません。

そこで今回は、医師から発育・発達が遅れていると診断された子どもたちに対してユニークな関わり方をしている岡田ゆらさんの実体験を紹介します。
保育の現場から新たな可能性を見出している彼女にお話を伺いました。

【プロフィール】
岡田ゆら 20代 女性
両親と6歳上の兄、3歳上の姉の5人家族の末っ子として生まれる。多忙な両親に代わり、兄が教育や躾を、姉が母親のように身の回りの面倒をみてくれた。度重なる父親の浮気が原因で両親の喧嘩が絶えず、幼い頃から家庭が崩壊する不安や恐怖に怯えていた。そんな家庭環境で自分の価値を一切感じられない幼少期を送る。中学時代には部活でいじめを体験し不登校になり、その後、難病やパニック障害にも苦しむが、転機が訪れた。
現在は、保育園で子どもたちの成長をサポートする仕事に就き、子どもたちの心を開放し、自分らしさを見つける手助けをしている。

目次
~前半~  
◆発達に個性を持つ子どもたちが見せる驚きの変化
・重度知的障がい児と診断された男の子A君の変化
・自閉症と診断された女の子Bちゃんの変化

~後半~
◆心の奥にしまい込んだもの
◆いじめに遭い、不登校になる
◆思考テクノロジーで自分を理解することが人生の転機に
◆先生と子どもが共に育み合う、新しい保育のカタチ
◆先生や保護者の皆さまに伝えたいこと
※編集後記

☆interview☆
<インタビュアー:山下愛子 ライター:福田みどり>

発達に個性を持つ子どもたちからのメッセージ【前半】
~子育て・教育の新たな可能性~

❒発育や発達が遅れていると診断されたお子さんが、最初に施設に来られた時からどのように変わっていったのか、その驚きの変化について、ゆらさんにお話を伺いました。

★重度知的障がい児と診断された男の子A君(5歳)の変化

どこの施設でも受け入れを断られていたA君が初めてやって来た時、
私は「この子のどこが問題なの?この子は大丈夫だよ!」と思いました。
そこから毎日7時間、マンツーマンで私が担当することになりました。

すると、受け入れた日から5日目にして、変化が起こり出しました。

彼は、言葉が話せなくて、自己表現がうまくできないため、手が出てしまう子どもでした。
でも、私を求めて「せんせい!」と初めて声を上げたのです。

9日目には、何度やっても出来なくて、家族も諦めかけていたトイレトレーニングに成功!

11日目には、「ゆ!ら!せんせい!ぶーぶ!いこ!」と、3単語も話せるまでの急成長!
「ありがとう!」も言えるようになっちゃったんです!

これにはお父さんお母さんもビックリされていました。

そこから愛情表現をいっぱいするようになったり、ジェスチャー付きで表現するようにもなり、怒って手が出てしまうことも減っていきました。
悲しい感情も”涙”として出せるようになりました。

こんなにも可能性のある子がいるのか!と思うほど、どんどん変化を見せてくれました。

★自閉症と診断された女の子Bちゃん(5歳)の変化

何をやるにもこだわりが強く、色は、青しか選ばなかったり、毎日同じものを食べていたり、好きじゃない音楽が流れると泣いてしまう女の子でした。

「それでは困るから」と集団保育や支援では、その行動をなおそうと考えてきたと思います。
でも、私はBちゃんがやりたい事に、「それもマル!」「Bちゃんの好きなことなんだもんね!マル、マル!いいよ、いいよ」と受け入れ、すべてにハナマルを出しました。

すると、彼女はとっても嬉しそうに、「ゆらせんせい〜、ハナマルって言って〜!」と、受け入れて〜と言ってるみたいに、甘えられるようになっていったのです。

色のこだわりもなくなり、レゴブロックも青以外のカラーを使ってプロ並みの作品を作れるようになりました。

ミカンも緑色しか食べなかったのですが、「甘くて美味しいミカンはオレンジだよ」と教えると、食べ比べして、「美味しい!」と自分で気づいたことで、色の選択よりも、美味しさで食べ物を選ぶようになったのです。

また、Bちゃんの名前や、好きなものを歌詞に入れて替え歌を作ると、嫌がって泣いていた音楽も、嬉しそうに歌えるようになりました。

さらに、ペンを1人でもって書くことのなかった彼女が、1人で塗り絵をはじめるなど、どんどん表現が広がっていきました。

そして、なんと!
お祭りの太鼓の発表会では、司会までできる様になったのです!

はじまりの挨拶を大きな声でしっかり務め、太鼓を力いっぱい叩きながら、楽しそうに笑顔で踊り、表現している姿を見て、私は感動で涙が溢れました。

みんなで、「すごいね!頑張ったね!」と嬉しさを分かち合うと、いつも1人で孤独だったBちゃんの中に友情が芽生えだし、周りの子たちとの一体感が出てきたことにも感動しました。

我が子の将来に不安を感じながら、期待と諦めの混ざった気持ちでいた保護者も驚くばかりでした。


すごい変化ですね!いろんな面で「うちの子は少し他の子と違うかもしれない」と思うと不安な気持になると思いますが、焦らずに成長に寄り添うことの大切さを感じます。
その子の表現することを大人の物差しで測ることなく、理想を求めず、あるがままを認めている様子が伺えました。

それにしても、こんなにも変化が現れたのは、子どもと関わる上で何が特別なことを意識されているのでしょうか?それについて聞かせてください。


子どもたちがどんな表現をしても、咎めたり正そうとしないで、その子が何を伝えたいのかを感じて受け取っています。それは私にとって無自覚な自分を発見し、そのまま受け取っていくという作業でもあるんです。

私は、過去にいじめられた経験があり、それを機に不登校になり、難病やパニック障がいも経験しました。自分にまったく価値を感じられず、周りと比べて自分を否定ばかりしていました。
でも思考のテクノロジーを知り、学んだことで、強烈な自己否定や無価値感を手放せていけたんです。その経験が、今役に立っています。


❒自分を認めることができずに難病まで発症したゆらさんが、どのようにして変わり、今に至るのかをもっと聞かせいただけますか?


はい。私の生い立ちからお話しますね。


後半では、強烈な自己否定感を持っていたゆらさんが、思考のテクノロジーを学んだことで新たな視点を得て、今に至るプロセスをお伝えします。そこには、子育てや教育において大切なエッセンスがたくさん詰まっています。

後半につづく
https://note.com/vast_eagle460/n/n267f3858c272



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