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島本の葉っぱ

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習作の小片。 500字~1,000字程度のもので、シーンの切り取りのようなもの。
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記事一覧

夏の共犯(掌編)【シロクマ文芸部】約1,100字

 夏は夜中に目を覚ましてしまうことが多い。冷房を入れようか、窓を少し開けて夜風で凌ごうか…

島本葉
4日前
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水曜日のひとつ結び(掌編 約1,300字)

水曜日のひとつ結び「おはよう、結愛《ゆあ》ちゃん」  松原先生はとても優しくて大好きな先…

島本葉
13日前
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ラムネの音(掌編)【シロクマ文芸部】

 ラムネの音がカラリと爽やかな音を響かせるのを聞いて「うん、今のpはいいですね」とカトち…

島本葉
2週間前
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(掌編)電車は走る(約650文字)

 窓の外に見える沿線の町並みは瞬きする間に勢いよく流れゆく。戸建ての家に公園、子供を前後…

島本葉
4か月前

(掌編)「甘くて」(約1,500字)

「寒いねぇ。なんか飲む?」  アルバイトの帰り、一緒に歩いていた笹塚さんが言った。飲む?…

島本葉
5か月前

(掌編)夢、多い(1989年 元旦)

 おせち料理ってどうしてこんなものを食べるんだろう。大きな3段の黒い箱を開けても、なんだ…

島本葉
5か月前

(掌編)夢追い(2013年 元旦)

 テレビから聞こえてくる「おめでとうございます」という着物姿のアナウンサーの声を聞きながら、忠雄《ただお》は台所の方へ顔を向けた。視線の先には朝食の片付けをする彼の妻の姿があり、カチャリ、カチャリと小さな音を立てて、洗い終えた食器を水切りかごに丁寧に重ねていた。  忠雄が妻の方を見るのはもう何度目だろうか。先程からそわそわと落ち着かない様子でいた忠雄だったが、妻の方は一向に気づいているのかいないのか、黙々と朝食の後片付けをしていた。  やがて、ぼんやりとテレビを眺めていた忠雄

(掌編)早朝のジョギング

「あ、ごめん。起こした?」  ぼんやりと寒さを感じて布団を引き上げ身体を丸めると、浩介く…

島本葉
6か月前
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(掌編)歌詞カード

 引っ越しの荷物を整理していると、押入れに仕舞い込まれていた箱から懐かしい漫画が出てきた…

島本葉
6か月前
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(掌編)プレッシャー

 ひっきりなしにピンが弾ける音やボールがフロアに落ちる音が響いているのに、やけに静かに感…

島本葉
6か月前
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