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第1章「人生の転機になったいくつかの話」#13そして今、私はカナダでひろいひろい世界があることを知った

「自覚はない。でも、きっと始まりは誰かの一言。」

2010年10月
カナダ・バンクーバー
「30年前、交換留学楽しかったから、海外行きなさいよ。」
母が高校生の私に常々言った言葉。
部活生の私にはまったく興味をそそられなかった。

来たる大学3年生の秋。
突然ひらめいた。

よし、カナダに行こう。
とりあえず、夏休みの3週間いこう。

なぜ思い立ったのか。それはいまだに謎。だが、
新しい何かがきっと欲しかった。安定ではなく。
でもきっと、母の一言も繋がっている、今はそう思う。

3週間、バンクーバーに行くことにした。
地方の地元でしか動き回ったことのない私だった。
韓国に行くのが海外旅行、なぐらい。

長い飛行機の時間を経てたどり着いたその場所カナダのバンクーバー。
自分が今まで見たことのない街並みだった。
全てが新しく、自分がおしゃれになったような気がした。
角を曲がればあるスタバでさえも、全部おしゃれ。
しかしながら、英語は全く話せなかった。
スタバの注文さえもできなかった。
下手すりゃ挨拶もカタコトだった。

たった3週間だったが、語学学校に行って、たくさんの友達に出会った。
筆者と同じレベル、拙い英語で必死にコミュニケーションをとった。


毎日同じ
[Hello, how are you?][I’m good. Thank you.]
定型文しか言えなかった。


もっと勉強しておけばよかった。そう思った。

それ以上に、片田舎の女子大にいた私には、性別国籍関係なくみんなでワイワイする、そんな些細なことさえも新鮮で、
今までいた世界が狭く、全てではないと悟った。

初めての留学、赤ちゃん以下の英会話、
それで得たものは「経験」ではなく「発見」だった。

ホストマザーに散々言われた、外に出なさいと。
でもいかなかった。
いけなかった。
英語を話せなかったから。
初めの1週間、時間がとてつもなく長く感じ、苦しかった。

毎日いろんな国の人とパブやカフェで話したかった、
でも、話せなかった。
自分に自信がなかったから。

この留学で関東圏の友達がたくさんできた。地元にいたら決して出会えなかった友達。
彼らのおかげで、残りの2週間は外に出るようになった。
そして、9年経っても会いに行く大切な韓国人の友人もできた。

私にとっては十分すぎる「人生のきっかけ」になった。

日本にいたら分からなかったこと。


帰国すると皆口々に質問してきた。
「英語話せるようになった?」と。
3週間で話せるようになったら天才だ。
と気づけたことも、
行ったから分かったこと。

何かを始めれば、何か新しいものが自分に舞い込んでくる。


みんな元気かな?
出会ってくれてありがとう。

そして、今の私に導いてくれた全ての言葉をくれた人々に、感謝。

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